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My Blue Heaven

 先日、一人暮らし準備中の女の子と雑談する機会があった。まだ物件を見に行く前の段階で、あれこれと悩みが尽きないようである。
 そんな話を聞いていると、こちらも引越しをしたい気もちが起こってくる。物件の比較をしたり、内見をしてまわるのって、たのしいんですよね。

 さて一人暮らしをしよう、というときには、使える時間と予算、立地や環境などといった、色んな条件に折り合いをつけていくことになる。他人の好みや都合によって建てられた物件の中から選ばなくてはならないのだから、何もかもかんぺき! とおもえるものは見つからないといっていい。
 あるいは住みはじめには満足していても、時間の経過と共に状況が変わってきたりする。
 暮らしを丸ごと移動させるのだから、何かとめんどうではあるのだけれど、居場所が整っていく快感というのはいい。

 いまの住まいに特別な不満があるわけではないけれど、他人のそのような、今現在とは違う環境に移ろうという様を見ていると、その楽しさが思い出され、魅力的におもえてくるのだ。

 物件選びのコツや、優先順位みたいなことを訊ねられたけれど、それには個人の好みや性質、ライフスタイルなどなどが絡んでくるので「これだよ」って差し出せるものははっきり言って、ない。
 けれど、自分なりのポイントというのはあるかもしれない。それをいくつか話してあげた(ような気がする。あまり覚えていない)。

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 ずっとむかし、子どものころには自分の家というのにひたすら憧れたものだった。うちの両親は住まいというものに特にこだわりもないようで、事情が変わるたびに適当なところを探して住んだ。
 こだわりもお金もないから家を建てよう! という気も起らなかったらしく、店も住まいもひたすら借りものだった。
 自分好みの家に住みたい、そんなことをおもっていた。

 高校の学科で、図面をひくことを教わり、えんぴつでカリカリ描いたり、コンピューターを使って立体的に描画する授業はそんな私のわくわくを加速させた。
 けれども建築を専門とした科ではなかったし、ハウスメーカーみたいなところにも今ひとつ興味が持てず、さらに将来への真剣さが欠けていた私は、いつしかそのような世界から遠い人生を送るようになった。

 今でも、人が、暮らすだけでなく働いたり、休んだりする場所としての建物や内部のつくりへの興味は失われていないから、そういう色々のスペースを訪ねたり、見たりすることは好きと言える。
 めったに入れない、よその会社とか、人んちとか、どうしてもわくわくしてしまう。

 ちょっと前の、観た映画からの欲求につながるけれど、暮らしとは別に自分のスペースをつくるのもやっぱりいいかもなあ、などとおもえてくる。

 そのうち不動産情報などをつらつら眺めているかもしれない。

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今日の「変化」:引越しほどのイベントとは比べものにならないけれど、冷蔵庫を買い換えました。冷蔵庫が新しくキレイになって、ささやかなよろこびを感じております。

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