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喫茶店あれこれ

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喫茶店やコーヒーまわりのあれこれを集めました。
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#jazz

心癒すJazz|#26 

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喫茶店百景-ジャズ・トロンボーン-

 最初の店は私が生まれる前から始めていて、Sという町にあった。子どもたちの成長過程で母が仕切る時期があり、両親が夫婦関係を解消したあとは父がひとりでやりくりした。  S町もずいぶん様子が変わり、多くのチェーン店にお客を取られ喫茶店もすたれてきた。S町のその場所に見切りをつけた父は、ちょうど話があったらしくMという町の居ぬきの店に場所を移した。一度外に出てから長崎に戻ってきていた私は、M町の店にもちょくちょく出入りするようになった。厨房も客席もなかなかの面積をもったこの店では、

アートブレイキーと小さな町の喫茶店

 昨日父のところにコーヒーを貰いに(買いに)行ったとき、記事用のLPジャケットを撮影していたら「これ聴く?」と渡されたのがトップのCDだった。 MOANIN’ by ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS  父は年代的に言ってもジャズにずぶずぶと首まで浸かったひとで、所有しているレコードの枚数も多いし、プレイヤーもまだ2台を持ち続けている。その口からはするするとミュージシャンや時代背景、LPを手に入れたときの感動などが泉のように湧き出てくる。

喫茶店百景-だいすきなおじさん-

 小さいころにかわいがってくれたおじさんの話。  Tというおじさんは、父の同年代でよくコーヒーを飲みに来ていた。ふたりの娘がいて、下の子は私と同じ保育園に通う同い年のA子。おじさんには弟のYがいて、ここの家の息子も同じ保育園の同い年だった。家族ぐるみでは弟家族の方が仲が良く、Tおじさんは店に来るときも我が家にくるときも奥さんや娘を連れてはこなかった。家庭と離れたやすらぎが欲しかったのかもしれない。  我が家と、Yおじさんちの家族、Tおじさんともう一人仲良しのおじさんとはし