喫茶店百景-カウンター脇の物置-
両親のやる喫茶店で子ども時代の多くの時間を過ごした。
ガラスのはめ込まれた木製のドアをぎぎっと開けると、すぐ右手は会計の帳場となっていて、反対側がカウンター席のある調理場だった。調理場から見渡せるような格好で、帳場をはさんで客席がコの字に配置されており、つまり帳場は店のおよそ真ん中付近だった。
学校が終ると、自宅ではなくて店に行くのが日課だった。母が仕事を終える19時くらいまで、色んなことをして時間をつぶして待っていた。
だいたいはカウンターに座って本や雑誌を読ん