いろどりをもつ短編 梅崎春生
あることのために読んだ短編集で梅崎春生の「赤帯の話」に出合った。このひとの作品を読んだおぼえはないから、まあはじめましてといっていいとおもう(恥ずかしながら)。これはシベリア抑留民の一場面を描いた短い話である。赤帯というのは抑留民のうちのある班の親方であるソ連兵のことで、あだ名である。
この短い話は、冒頭と最後の場面で夢の話が出てくる。情景の描写には色の表現がよく出てくる。そんなふうなことを感じながら読んだ。
主人公(「私」という日本人)は、空腹を抱えてくりかえし、食