自然葬とは?樹木葬と海洋散骨をメインに解説!

自然葬という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ここでは、そもそも自然葬とは何か?その種類と特徴について解説します。

■自然葬とは

□自然葬の特徴

自然葬とは、亡くなった方を自然の循環の中に回帰させようという葬送の総称です。英語ではNatural Burialという言葉がありますが、海外では土葬の文化もあるため、ご遺体をそのまま自然の循環に還すという葬法も含まれます。
日本国内では、火葬が前提ですので、自然葬とは、火葬後の遺骨や遺灰を従来の墓や骨壺ではなく、自然の中(土や海)に還す葬送を指します。

・樹木葬
自然葬というと、樹木葬を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、必ずしも樹木葬=自然葬とは限りません。日本での樹木葬は、岩手県のお寺の里山墓地からはじまったと言われていますが、樹木葬とは、墓地と指定された場所に埋葬し、墓石の代わりに樹木などを墓標とする方法です。したがって、樹木葬は、基本的には墓地であり、遺骨は土に直接ではなく、ステンレスなどで出来た骨壺に納骨した上で埋葬される場合もあります。遺骨を土に直接埋葬する場合は、自然葬と言えますが、骨壺のまま埋葬するなど従来の墓地とほとんど変わらないものも含まれています。

・海洋葬・海洋散骨
海への散骨は、遺骨を直接、海に葬るので、自然葬であるということが言えます。そもそも、自然葬という言葉は、1991年にNPO法人葬送の自由をすすめる会が設立された際に使われはじめ、狭義では、散骨を表す言葉として一般化されました。現在の日本で、散骨を問題なくおこなうことができるのは、海洋上ですので、自然葬というと、海洋散骨のことを指す例が多くなっています。

・その他の自然葬
墓地以外の土地、山や森林などに遺骨を埋葬せず散骨することは、厳密には違法ではありません(土中に埋めることはできません)が、条例で散骨場を禁止している自治体もあるので注意が必要です。私有地でも国有地でも、遺骨を撒く行為が民事訴訟に発展するリスクがありますので、日本国内では、陸地での散骨は推奨されません。

■自然葬の流れと費用と場所

□樹木葬

・流れ
自然葬の選択肢として、樹木葬を希望する場合は、まず現地を見学に行かれることをお薦めします。遺骨が、土に還る方法で埋葬されている、本来の意味である自然葬かどうか、アクセスや環境、管理の状況など、イメージと相違がないか確認しましょう。
自然葬といっても、他の人の遺骨と合葬されるケース、個別に納骨袋や土に還る骨壺に納めて埋葬されるケースなど、さまざまです。
見学した上で、契約を決めた場合は、通常の墓地の購入と同じ流れになります。契約・入金後に墓地の使用許可証を受け取ります。
実際の納骨は、墓地の管理者と納骨日を決めて、おこないます。納骨の際は、火葬場で発行された「埋葬許可証」を持参します。
・費用
樹木葬の費用は、その場所や形態によって、5万円~80万円まで、かなり幅があります。通常の墓石を建てる墓地よりは安価で、また、ほとんどの樹木葬は、永代供養といって、承継を前提としないため、年間の管理費は期間が区切られていることがほとんどです。詳細は、個々の樹木葬墓地によって違いますので、直接問い合わせてみましょう。
・場所
樹木葬の場所は、大きなカテゴリーでは、里山型と都市型に分けられます。樹木葬の発祥となった里山型霊園は、郊外の寺院の敷地内の森林などに埋葬するため、より自然葬に近いカタチと言えるでしょう。最近増えている都市型樹木葬は、寺院墓地や霊園の一角に、区画整理されたカタチで造成されているものが多いです。

□海洋葬・海洋散骨

・流れ
樹木葬と同じように、海洋散骨も、事前の見学として、体験クルーズを実施している事業者もあります。
散骨をおこなう海域と業者を決めたら、申し込みとなりますが、散骨実施日の前に、遺骨を粉末化する必要があります。
業者と日程を決めて、遺骨を引き取りに来てもらう、あるいは指定の場所まで持ち込み、粉骨をおこないます。
粉骨された遺骨は、散骨の当日まで預かってもらうか、自宅に安置し、当日持参します。
・費用
海洋散骨の費用は、プランや場所によって、5万円~50万円と幅があります。
プランは、大きく分けると、チャーター、合同、代行の3パターンの方法があります。チャーターは、船を一隻貸切るので、船の大きさによって金額は20万円~50万円と大きく変わります。合同散骨は、一隻の船を複数の家族でシェアしますので、チャーターよりは安価です。代行散骨は、遺骨の数によって金額が変わりますが、1柱あたり5万円前後が相場です。その他、粉骨やお花など、プラン以外にかかる費用もあるので確認しましょう。
・場所
海洋散骨の場所は、北海道から沖縄まで全国の海で、出航が可能な海域があります。散骨をおこなうことができる場所は、エリアごとに違いますので、詳しくは散骨業者に確認しましょう。海域によって、使用する船舶も違いますので、場所と同時に、どのような船で散骨をおこなうのかもチェックしましょう。

■自然葬・散骨をする際の注意点

・ご家族とのコミュニケーション
自然葬という葬送は、徐々に広まってきていますが、まだ一般的な葬送とは言えません。いろいろな考えの方がいらっしゃいますので、なぜ自然葬を選ぶのか、事前にご家族と納得のいくまで話し合いをしましょう。
・手元供養はしておく
自然葬は、自然の中に遺骨を還す葬送ですので、一度おこなってしまうと、二度と遺骨を取り戻すことはできません。すべての遺骨を手放すことで拠り所を失ってしまうことも考えられますので、少し手元に遺す「手元供養」を選択されることをお薦めいたします。
・散骨の場所
自然葬は、公共の自然の中でおこなう葬送という側面から、公衆衛生や、周囲の方への配慮が必要です。
とくに、散骨をおこなう場合は、場所の選定は慎重におこなうべきです。実績の豊富な散骨事業者に依頼をし、安全な場所でおこなうようにしましょう。

■まとめ

「自然葬」と呼ばれる葬送について、解説をいたしました。日本国内では、自然葬よりも散骨という言葉が一般的になってきましたが、元々は、自然から生まれてきた私たちが自然に回帰するという考え方で、昨今、エコロジーやSDGsと言われるような、持続可能な循環社会を実現する葬送であるとも言えます。


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