散骨に必要な書類と手続きとは?書類以外に準備しておくべきものもご紹介

海洋散骨をおこなうにあたって、届け出は必要なのでしょうか?手続きにはどのような書類を用意したら良いのでしょうか?
ここでは、海洋散骨に必要な書類と手続き、また書類以外にも準備しておくべきものをご紹介します。

■散骨とは

海洋散骨は、祭祀の目的をもって、故人の火葬したあとの焼骨を海洋上に散布することをいいます。(一般社団法人日本海洋散骨協会ガイドラインより)
自分の死後は自然に還りたい、大好きだった海に眠りたい、といった故人の意志や、様々な事情でお墓に入れない、お墓を持てないという悩みをお持ちの方に最適な葬送方法とされています。
海洋散骨の方法として、「船舶でおこなう方法」と「ヘリコプターやセスナ機で沖合いまで飛び、空から撒く方法」があります。

■散骨に必要な手続きと法律

◇日本では散骨に必要な手続きは存在しない

海洋散骨をおこなうにあたって、地方自治体、市区町村の役所などで行政的な手続きは現在のところ、特に必要ではありません。
これは、日本国内において、海洋散骨という葬送方法に対する法的・行政的な手続きの仕組みがまだ追いついていないとも言えます。
他国の状況を見てみると、例えばアメリカでは、カリフォルニア州など、海洋散骨をおこなうにあたって行政に届け出をおこなうことが義務付けられている州もあります。

◇墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)

行政の手続きをおこなうためには、原則として根拠となる法律が必要となります。
現在、日本の法律で散骨について明文化されているものはありません。
火葬後の遺骨について明文化されている法律としては、「墓地、埋葬等に関する法律」(略して墓埋法)があります。
墓埋法の規定では、遺骨の埋葬は、墓地以外の区域におこなってはならないと定めています。「埋葬」とは、遺骨を土中に埋めることをいいます。納骨堂などの建造物に遺骨を納めることは「収蔵」といいます。
現在の日本の法律では、「埋葬」と「収蔵」については規定がありますが、「散骨」については特に明確な規定がないのが現状です。

◇散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)

2021年3月30日に、厚生労働省のホームページに「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」が掲載されました。これは、2020年におこなわれた厚生労働科学特別研究事業における報告書の一部として、提案されたものです。
このガイドラインでは、散骨をおこなう際の手続きについて、利用者と事業者の間で、しっかりとした契約を締結すること、という消費者保護の観点が明文化されています。

■散骨に必要な書類

◇申込書(契約書)

上記で紹介したガイドラインが発令されてから、散骨事業者は、あらかじめ散骨に関する契約内容を明記した約款を整備し、公表するとともに、利用者の求めがある場合には、約款を提示することが求められるようになりました。
海洋散骨を依頼する事業者が用意している約款をよく読み、納得の上で、申込書に必要事項を記載しましょう。なお、散骨に係る契約の方法は、文書によること、ということがガイドラインには定められています。

◇埋火葬許可証

事業者の所定の申し込み用紙のほかに、「埋葬許可証」のコピーが必要になります。「埋葬許可証」とは、自治体が発行する「火葬許可証」に、火葬場の火葬証明の印鑑が押されたもので、焼骨を墓地に埋葬する際に必要となる書類です。
墓埋法第14条「許可証のない埋葬等の禁止」では、墓地の管理者や納骨堂の管理者に対し、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理しなければ遺骨を埋葬、収蔵してはならないと規定しています。
現在のところ、散骨業者に対する許可証受理の規定はありませんが、お預かりするご遺骨が事件性がないことを証明する書類として、提示が必要になります。

◇改葬許可証あるいは除籍謄本(墓じまいの場合)

長くお墓に埋葬されているお骨は、埋葬許可証が保管されていないことも多いです。遺骨を墓地から取り出して、別の墓地あるいは納骨堂に移動する際は、「改葬許可証」が必要になります。「埋葬許可証」が存在しない場合、「改葬許可証」がその代わりの書類として有効ですが、すべてを散骨する場合は、自治体で「改葬許可証」が発行されないケースもありますので、その場合は、墓地の管理者に「遺骨引き渡し証明書」を発行してもらいましょう。
埋葬されているお骨の関係性が明らかでない場合は、「除籍謄本」などの書類が必要になる場合もあります。詳しくは事業者に相談しましょう。

■散骨に準備しておくと良いもの

◇粉骨

散骨をおこなうためには、あらかじめ、遺骨をパウダー状に砕いておく必要があります。上記の「散骨に関するガイドライン」においても、「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。」ということが規定されています。
一般社団法人日本海洋散骨協会では、1mm~2mm程度というガイドラインを定めていますが、いずれにせよ、遺骨はそのままの状態で海に手向けることはできません。(刑法190条で定める「遺骨遺棄罪」に抵触する可能性があります)
また、焼骨には、国の環境基準を超える「六価クロム」という有害物質が含まれることが指摘されており、海に散布する際には、あらかじめ中和剤を用いて無害化する必要があります。
通常、パウダー化された遺骨は、水溶性の袋に納めます。
粉骨は、専門の知識があり信頼できる事業者に、あらかじめ時間に余裕をもって依頼するようにしましょう。

◇お花・お酒

遺骨と一緒に海に撒くものとして、お花や、故人が好きだった飲み物やお酒などを準備することが可能です。花は、包装紙や茎を取り除き、花弁だけの状態にして、出来るだけ環境への負荷を軽減します。最近は、水溶性の紙で作ったエコフラワーなども使われます。飲み物の中でも、とくにお酒は大量に撒くと海洋汚染に繋がりますので、節度ある分量にしましょう。

◇手紙

故人に向けて、最期にメッセージを書いた手紙を一緒に流したいと考える方もいらっしゃるでしょう。海洋散骨で遺骨と一緒に海に手向ける手紙は、市販の便箋ではなく、環境への負荷を考慮し、水溶性の紙を使用した便箋を使います。水に溶ける折り紙や、送り鳩といった商品もありますので、詳しくは事業者に相談しましょう。手紙はあらかじめ記入して持参するとよいでしょう。

■海洋散骨に関するお問い合わせは「ブルーオーシャンセレモニー」へ

◇散骨の準備不要

ブルーオーシャンセレモニーは、2007年の創業以来、海洋散骨を専門に運営している事業者です。これまで数多くの実績がございますので、散骨の手続きに必要な書類や粉骨、その他さまざまな準備は、すべて安心してお任せいただけます。

◇体験クルーズで散骨を体験できる

海洋散骨は、ほとんどの方にとって、はじめての経験です。ブルーオーシャンセレモニーでは、「散骨とはどのようなものか?」と疑問をお持ちの方のために、毎月「散骨体験クルーズ」を実施しています。実際に散骨をおこなう船舶で、実際と同じ海域に向かい、疑似セレモニーを体験していただきます。船上でさまざまな質問や相談に応じていますので、迷っておられる方は一度体験されることをおすすめいたします。

◇コーディネーターがサポート

「散骨コーディネーター」という職種は、ブルーオーシャンセレモニー独自のプロフェッショナルの呼称です。葬祭業などで多くの経験を積んだスタッフを中心に、チームでお客様の対応をおこなっています。年間600件以上の散骨施行件数を対応しているコーディネーターが一人ひとりのお客様を丁寧にサポートいたします。

■まとめ

散骨に必要な手続きと書類について、また書類以外にあらかじめ準備するものについて解説いたしました。
海洋散骨という葬送は、社会的に認められており、年々施行件数が増えておりますが、行政手続きなど、法整備が追いついていない部分があることがお分かりいただけたかと思います。
社会の大きな要請もあり、法制度は今後見直しが図られることが予想され、ルールやガイドラインも都度更新される可能性があります。インターネットの情報だけを鵜呑みにせず、最新の情報は信頼できる専門事業者に確認しましょう。


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