あいま・すい

Tu fui,ego eris.

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  • 評的なもの

    感じ入った作品についてできる限りのやり方で表現し批評せんとする試み。おそらくニューウェーブなどについての論が多くなるのでしょう。

  • かんたんな毎日

    私を取り巻くノルムレルムを読み解こうというもの。全体的に斜に構えていることがわかる。

最近の記事

記憶草の万象歴

平沢進のギターアルバムが発売される。それは19年ぶりのことであり、そのアルバムに言葉はない。全曲インストゥメンタル。しかしそれは今作の品質を、平沢進であるということを断じて損なわない。植物電子は熱くもなく冷たくもなく、ただ聴くものに寄り添っている。 公式サイトで試聴できる「記憶草の万象歴」を聴いてみてほしい。痩せたクリーントーンの繊細な音があなたの神経をくすぐり、そして柔らかく撫でるだろう。8mmフィルムのように粗く歪んだギターも不快ではなく哀しげにさえ聞こえる。 その音像

    • ゲームからさよなら

      「二項対立」という言葉を初めて意識したのは塾で受けた現代文の授業だった。私は好みでない文章を見るのが嫌いだったから現代文を運任せで解いていた。アーレントとかサルトルの話なら良いけれど、環境問題とか評論めいた話だったら鉛筆ころころ。そんな具合だった。 受験の国語は文学的な感受性を問うてるわけではないというし、これはきちんとしたセオリーを学ばなければならない。曲がりなりにも文学部志望だったからまじめにやる必要があった。結局文学部には落ちたんだけど。 それで講義を受けに行ったらホワ

      • ずれ

        自販機でコーラを買った。もともと自販機にきっちり小銭を入れる方ではないけれど、いつだかにコーラが値上がりしてからは余計に二百円で済ますようになってしまった。だから私がコーラを買うたび二十円のお釣りが出る。十円玉二枚。ところがその日は三枚出てきた。 いや、出てきたのではなく誰かが忘れたのだろうけれど、確かにお釣りの出てくるトレイには三十円入っていた。 雨が降っていて寒い日だった。早く雨宿りがしたかったし、何よりその時の私にはそう時間もなかったものだから、結局二十円だけもらって帰

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