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行為への愛しさと怖さ

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読書記録 2024年2月
「よるのふくらみ」/窪美澄

「セックス=非言語的コミュニケーション」だと思ってる私がこれを読んだら、「もし、恋人とのセックスがなくなってしまったら…」って読みながら何度も何度も考えた。

穴モテ暗黒時代からの今ひとりの人を大事にして大事に思ってもらえて、という経験があるゆえに、みひろの気持ちも彼女のおかあさんの気持ちも共感できてしまうことが多々あったな。
この経験があってこそ気づけたことに、あそばれてた頃はやっぱり甘い言葉にのらりくらり流されるようにして泣いていた夜があったけれど、今見えるのは甘い言葉よりも、相手のことを大事にしてるからこそ言葉より行動に示したいという気持ちがあるから、慎重になったり考え過ぎたりっていうのも同じくらい嬉しくなったり、自分を大切にできるようになって、自分を好きな自分まるごと愛してくれることの寛大さがある人を大事にしたいなって思うようになった「思考の変容」があって、読んで、恋人に出会えて変われたことを思い出して、というか改めて気づくことができて、ありがとうという気持ちがまず出てきて、
だからこそ「非言語コミュニケーション」である、というのも(※理解しようとしても完全に男の人ではないから分からないこともたくさんあるけど)相手を性的に思っていなかったらそもそも成り立たないとか、相手のことを思いやらないと責任を伴った行動をしないとか、あるいは行為をした後に、相手のことを愛おしく思っていなかったらめんどくさいような感情が芽生えてしまう、だとか他にも表面的な言葉ではなくて、無意識に態度で感情が現れやすいセックスに痛いほど愛おしく感じたり時には苦痛にも感じたりするセックスについて、恋人とのあいだにこの愛おしさが詰まった行為がなくなってしまったらどうしようって、不安にも駆られた一冊だし、ふたりの時間をもっと大事にしたいな、とも思う一冊でした。

ショウくんと里沙さんと裕太がお別れするシーンもうとてつもなく泣いて泣いて、泣きまくって布団のうえで読んでたんだけど、気づいたら水溜りになってた。ショウくんとの会話にはどうしようもなさとやるさなさを感じて、里沙さんの最後の夜のシーンはやさしさと冷酷さを同時に感じて、そして外見が綺麗では無かったとしてももこういう何気ない言葉や態度が色っぽくて魅力的な女性っているよなぁ、と思ったな〜

窪美澄さんのはっとするような、普段生活していて思い浮かばないのにすっと伝わる、懐に入り込んでくるような比喩が好き。もう一冊も読んでみよう🔍

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