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フィンランドの保護者は現在の遠隔学習に満足しているか?

(2020年4月22日時点の記事です)

現在フィンランドでは新型コロナウイルスによる学校閉鎖に伴い、オンラインツールを活用した遠隔学習が行われています。そんなスタイルの教育が3週目に突入した先週、わたしの住むオウル市が保護者の満足度に関するアンケートを実施しました。

全体で6812人の保護者がアンケートに参加し、「課題が明確である」「子どもが自立して課題に取り組めている」「課題の量は適切である」などの項目について、どのくらい同意するかを回答しています。

全体の調査結果としては、おおむね保護者は満足しているとのこと。上記の項目についても、程度には差があるものの過半数が同意しており、特に課題の明確さについては5848人が明確であると回答していました。

この項目に「完全に同意しない」を選択した保護者はなんと81人、わずか1.3%しかいないことになります!この緊急時にすばやく指導アプローチを変更し、家庭・生徒に明確な指示を出して教育を続行している学校や先生たちは本当にすごい!

この調査の信憑性を測るべく、知り合いでお子さんがいらっしゃる方の何人かに話を聞いてみましたが、学校の種類は違っても(一般的な総合学校インターナショナルスクールなど)、やっていることはほぼ同じで指導が体系的に成り立っている様子がうかがえました。

例えば、基本的に先生からの指示はWilmaというコミュニケーションプラットフォームを通して伝達されます。それを保護者が確認して「今日はこれをしなさい」と子どもに伝え、子どもは与えられた課題を自分で進めていきます。

課題が終わったら先生からの指示に従って成果物をアップロードし、それに先生がコメントを返す形でコミュニケーションを取っているそう。

最近ではそのコミュニケーション手段がMicrosoft Teamsを使ったよりインタラクティブなものに進化してきたらしく、クラスの生徒が全員指定された時間にミーティングに入室し、先生と顔を合わせながら直接指示を受けたり、直接質問できるようになってきたという話も聞きました。まるでホームルームのようなイメージでしょうか。

この話を聞いたのは保護者であり学校関係者の方ですが、両方の立場を知っている彼女曰く、先生と生徒が一番ベストな方法を模索しながら少しづつ改善していっている印象があるとのこと。

子どもの自立度に関しては、10~12歳のお子さんがいらっしゃる保護者の方に聞いた話だと、保護者が付きっ切りでフォローしなくともある程度自分で課題を進めていっているそう。

フィンランドでは小学1年生の頃からスマホを持つ子が増え、授業でアプリを使ったりMicrosoft Teamsにログインしたりする機会が元々あるため、自分である程度ツールをつかいこなせる点も保護者への負担を減らしているようです。

またデジタル機材がない家庭へのサポートや保護者向けの遠隔指導に関するガイドラインの配信も市が行っており、行政と学校が協力して各家庭での教育をサポートしています。(このガイドライン、おうちでの学習環境のつくり方や精神的なフォローの仕方、休憩の取り入れ方、また子どもと一緒にどう1日の学習計画を立てるかといったアドバイスもあってなかなか面白いです。)

フィンランド語ですが、オウル市が出しているガイドラインのリンクはこちら

もちろん課題もまだまだあって、学校によってはこのシステムがまだうまく稼働していなくて先生とのコミュニケーションが取れなかったり、クラスのみんなと繋がれずに取り残されてしまうケースもあると、アンケート調査の結果報告にも記載がありました。

学校から物理的また精神的に離れた状態で、どうモチベーションを保っていくかというのもまた別の課題だと思います。

ですが、遠隔授業だと単位を認めないとか言ってる文科省、プリント配布で保護者に任せざるを得ない環境の学校という日本の教育の実態よりははるかに進んでいるし、私が保護者だったらフィンランドの学校に子どもを通わせたいと思う。

参考:「対面指導」崩さぬ文科省 オンライン授業に壁

アンケートの元リンクはこちら(フィンランド語ですが)

さて、修論の執筆に戻ります(そろそろやばくなってきた)。

より多くの人に教育的な課題について考えてもらえるよう、研究・執筆を続けていきたいと思っています。ぜひサポートしていただけると嬉しいです!