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オンライン授業が難しい日本の学校の現状を考える

(※2020年4月20日の記事です)

日本でコロナウイルスの蔓延が進む中、これまで以上に通常の授業が制限され、オンラインへとシフトがすすむことを予想し、これまでの記事でオンライン授業に使えそうなツールをざっと紹介してみました。

しかし、実際の学校の現場ではそもそも物理的に不可能な状況がたくさんあるのではないでしょうか。


オンライン授業は、モノさえあれば可能です。フィンランドもそうですが、海外のたくさんの学校が休校措置を取る中、オンラインで授業を進めているのは事実です。


ただ、ここでいろいろ役立ちそうな発信をしたとしても、本当に今困っている学校の現場ではあまり必要とされていない情報かもしれないというギャップも感じています。


各家庭に1台パソコンがあるとも限らないし、自治体がタブレットを無償で貸し出ししている事例もあるようですが、それも一部の話。あったとしても、保護者の方のサポートがなければ、子どもひとりではツールを使いこなせなかったり、ログインできなかたり、最初の導入の時点でつまづきがたくさん。


フィンランドの場合は、ほとんどがリモートワークで対応できているので、保護者の方がおうちにいながらお子さんの勉強をサポートすることができているようです(それもまた大変なことですが…)。日本はリモートワークの普及率からも、そういったサポートが難しい子どもたちはたくさんいると思います。


(こんな時に民間の寺子屋的なサポートがあればいいけど、コロナで集まれないからそもそも無理だし…)


日本の学校がいまどんな感じでこの状況をしのいでいるのか、気になって修論の執筆も集中できないので、いろいろ検索してみました。

【独自調査(1)】教職員の7割以上が4月中の学校再開に反対】見切り発車な再開でいいのか?

【独自調査(2)】休校になって教師は何をする?なぜオンライン交流を始めないのか?

【休校中に学校、教師は何を進めるべきか】こんなときこそ、時間の使い道をよ~く考えよう

いつまで続く「昭和な」授業、コロナ休校で露呈する学校現場の遅れ

学校によって状況は違うと思いますが、大体のイメージは

紙のプリントを配布→保護者が採点(家庭にまかせる)→保護者の負担が大きい

こんな構図ではないでしょうか。。

ここに思いをはせても何も生まれないのはわかってるんですけど、なんとかならないかな…せめて紙のプリントはPDFにしてデジタル配信、メールで提出くらいにはなってほしい。


ちなみにフィンランドの小学校では、コロナ以前からもMicrosoft Teamsを使った生徒と先生が繋がれるプラットフォームがあったようで、先生からの指示・連絡を共有したり、質問などのコミュニケーションもここでできるようになっているみたいです。


小学校2年生のお子さんがいらっしゃる方の話を聞いたところ、ブログベースで指導がされているようです。子どもたちが先生の書いたブログを読んで、課題の指示を確認しながら自習していき、成果をコメント欄に記入して先生に報告したりしているとのこと。


自習した内容や工作の授業として作った作品を写真撮って送ったり、音読したファイルを添付したり、そしてそれに対して先生がコメントを返す。こんな感じで、オンラインでの授業でなくとも先生と生徒が繋がって、保護者のサポートも借りつつ学習を進めているみたいです。


こういうやり方なら、日本でもできそうな気がするけど…どうでしょうか…


例えば小学生の高学年とかならみんなスマホ持ってそうだし、LINEでクラスのグループ作って、そこに先生が課題と指示を出して共有。全体のグループとは別に少人数でグループを作って、それぞれのグループチャットで課題のわからないところを教え合ったりできるようにし、先生がたまに訪問してチェックする。宿題の写メや音声ファイルは先生の個人ラインに送って提出みたいな。で、その小グループでたまにグループビデオ通話して進捗とか生徒の状態を確認したりとか。

スマホなら子どもでも使いやすいし、新しいツールの勉強したり、プラットフォーム整備しなくても、LINEはみんなインストールしてるし先生も使いやすそう!


小学生なら担任の先生が複数の授業をみてるから、このやり方で各科目をサポートしつつ、長期戦になりそうなら上記のような簡易ブログを作って、そこで運用してみたりできそう。


中高生なら、反転授業(Flipped-classroom)とか、相互教授(reciprocal teaching)のメソッド使って、LINEを使いながら自習とオンラインをうまくmixさせて…とかできそうな気がする(このメソッドについてはまた別記事で詳しく書こうと思います!)。


こういった形で対応しつつ、長期化しそうならその間にGoogle classroomとかMicrosoft Teamsとかのプラットフォームを準備してすすめるのもいいかもしれない。先生のデジタルリテラシーにもよるけど、副担任の先生と協力すればシンプルなものなら週末つかって準備できそうだし!

わたしが思いつくのはこの辺ですが、実際の現場の声を聞いてみたいです。どんなことが可能で、不可能なのか。でもきっとこの状態は長引くはずだから、無理だと思わずに、まずはやってみる先生が増えてほしいと思います。ちなみに海外諸国では、9月まで学校を閉校する方針という話もでています。


通常の授業に追いつかなくとも、今この機会だからこそできる学びがあってもいいと思います。受験に必要な学力の積み上げなら、学校の授業じゃなくてもオンライン講義聞いたり自習してなんとかできるし(個人差はありますが)、こんなときこそ先生が主体性を発揮して、カリキュラムどおりではない違った学びを提供してもよいのではないでしょうか?


日本の場合は学校が文科省に厳重に統括されていて正直その辺厳しそうですが、いかにフレキシブルに対応できるかがこの状況下では重要になると思います。ガイドラインが出ない、オンライン指導は物理的に不可能などのしがらみによって、子どもたちの学びが一時的に止まってしまう、いわばノータッチの状態にならないことを祈ります。。

より多くの人に教育的な課題について考えてもらえるよう、研究・執筆を続けていきたいと思っています。ぜひサポートしていただけると嬉しいです!