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「コロナで亡くなった人の数」で正しく現状認識ができるのか

ついに自宅での出産を余儀なくされ、新生児が亡くなるという事態が起きてしまいました。

メディアでは「新型コロナでの死者数」が毎日報道されています。しかしそれによって、現状を正しく認識できるものでしょうか。

その数字は、「コロナによる直接死」の数字でしかありません。感染者が増えて医療体制が崩壊したいま、医療関係者が懸念しているのは、コロナに限らず本来なら受けられるはずの医療を受けられない人が、亡くなったり症状が極端に悪化したりする人がでることです。こうした死者は、間接的にはコロナの死者ですが、そうはカウントされません。隠れてしまうのです。

震災では直接死だけでなく、その後の避難生活や間接的な影響で亡くなる人が増えて問題となりました。「長岡モデル」という認定方法ができて、「災害関連死」が災害の死者としてカウントされるようになったのです。そして新潟県中越地震では初めて、「関連死」の数が「直接死」を上回りました。その後も関連死は災害の死者に算入されるようになり、災害の規模はその総数で把握されるようになりました。

コロナも本来なら、「関連死」の数を含めて初めて実態を反映できるのではないでしょうか。現在、公表されている「コロナでの死者」は直接死だけだということを認識していないと、実態の把握を誤ることになるのではないでしょうか。

東日本大震災の場合、福島県では、避難生活が長期化し暮らしを見通せない状況が続くなか、自殺した人が「震災関連死」として認定されたケースもあります。コロナでも同様ではないでしょうか。

「災害級」というのなら、把握の仕方も災害級にしていただきたいのです。それで初めて、災害級の被害の全容が見えてくるのではないでしょうか。

「コロナ関連死」、国はもちろん古巣のNHKをはじめ、メディアの皆さんにはぜひご検討いただきたいことです。

Photo/Camilo Jimenez

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