コンビニ人間

元々読書することは苦手で、小学生の頃に十数ページの「てのひら文庫」ですら読み切ることは出来なかった。
10年経った今、知人に教えてもらった「コンビニ人間」を読むことにした。元々、コンビニでアルバイトをしていることもあり、読みやすいと思い読んでみたが読み切った時に、映画を見終わった後の余韻があった。具体的に説明することは難しいが、感想を述べていく。
冒頭にコンビニのバイトとはどんなものかっていうのを具体的に書いてあり、コンビニバイトをしたことが無い人でもイメージがしやすいだろうし、「そうなんだ〜」ってなるような事が細かく描写されている。
1番思った事は、共感することが多いこと。例えば、客が財布を出すかスマホを出すかで、電子マネーなのか現金なのかを判断したり、迅速に対応することを心掛けてるところ。
心境でも共感したところは、「お客さんが揚げ物売り場を見ている。」「なにかお取りしましょうか?というのは少し図々しく感じるかもしれないので聞くのはやめた。」ここの部分は自分でも考えたこともあり、共感の部分では1番印象に残っている。

作者というか主人公の考えも読んでいて面白かった。
周りの人の言動・容姿を1つの要素としてしか見てなくて、その要素を少しずつ自分に取り入れる。感覚的には有名人が着けてるアクセサリーを欲しがったり、尊敬する人を目指したりするのとなんら変わらない気がする。
というより、やっていることは変わらないが考え方が違うのか。主人公の真似する理由としては、修正に近いというか修正していて、普通の人(という言い方も良くないが)は憧れ、尊敬、満足感のような理由がある。
後者は正しく思われ、前者は異となってしまうのも良くないと考えてしまうが、それは偽善からきているものかもしれない。ただ、疑問としてどっちが正しいとかはないはずなのに、少数派の意見が否定され敬遠されるのは意味がわからない。「人間って考えられる生き物でしょ?」「そこら辺の動物と違って考えられるんだから、少数派の意見を嫌悪することを考え直すべきだろ?」って思う。
話は逸れたがコンビニ人間を読むと、というか娯楽に触れると色々な考えが生まれてくるのは新鮮で、自分によって文字を打っている自分に悪い気がしない。

あと思ったことは、白羽!クソバイターですぐバイト辞めて白羽はクソだねーで終わりかと思ったが、そうでも無くて最後まで白羽を持ってくるとは驚いた。白羽については、所々共感できる部分もあり、男女の関係を茶化してくる周りに対しての発言は共感できる。相手を見つけないと色々言われたりするのはよく分からない。先程述べたように、人によって考え方っていうのは違うわけで何を思うかは、自由で強要するのは間違いだと。だから自分の考えに反対な意見があった時は、疑問から入り多様性を見出そうと心掛けている。
白羽の考えはあまり理解することは難しかった。白羽の意見を受け入れようにも、空想の話というか現実的ではないし、成し遂げようと努力もせず上っ面の話を広げるからだ。
そんな嫌いな白羽でも、最後の主人公が就職の面接をするはずがふと立ち入ったコンビニで働き始め、止めに行った時はまともな人間、一面があるんだなと感じた。何も主人公が悪いとかではなく、直感ではそう思ってしまった。
最後の最後に主人公が何年ぶりか、何月ぶりかにコンビニに寄って、コンビニの音を聞き、バイト時代の考えが働き始め気づけば体は商品を前出しを始めている。
たまに聞く話だが職業病でほかの店にいる時に「いらっしゃいませ!」って咄嗟に出たりするのと同じ感覚なのかもしれない。自分も他のコンビニに行くとこっそりと商品の前出しをしてしまうこともあるから。
主人公はコンビニが好きで働いている訳でもなく、お金が欲しいとかでもなく、主人公の中で間違いなんだなと思ったことを修正する性格と、24時間サイクルするコンビニが調和していることからコンビニ人間なのかぁと。
コンビニ人間を読んで直感で感じる感想よりかは、自分の考えと対比することが多く、読んでいる時は自分と照らし合わせることが多い小説だった。
主人公の考えは分からなくもないことがよくあったので、著者の他の話も読んでみたいと思ったし、久々に本を読んでみて読み終わったあとの余韻は映画と同じ感覚になるが、本だと自分の考える時間があるから、本の良さも少し理解出来たのかも知れない。



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