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埼玉県 秩父三社のうち二社詣り

奥秩父は都心から一番近い国立公園

秩父三社の中でもパワースポットとしても名高い三峯神社。
秩父神社も宝登山神社も里の駅から近い便利な場所にあるのだが、ここだけは【奥秩父】という山岳地帯の中に在る。
1,100mの山上におわします社殿まで山道を運転して登る自信がなく、西武秩父駅からの直通バスに乗ろうと。駅から神社まで75分…長いな。
秩父へは、都内からだと西武の特急ラビューが便利だ。池袋から77分。あれ?バスの乗車時間とほぼ同じか。計画を立てている時には、私の脳内には《大型観光バス》のイメージが。
まさかフツーの路線バスで75分、立ンぼで揺られることになろうとは😢
しかも満員の状態で急な山道をくねくねと曲がりながら登って行くので、思わず踏ん張る足にも余計な力が入り、数日間、足腰にきた。あと吊革に掴まっていたため腕まで痛い。ああ、もう若くない。
でもあの狭い山道をもし自分で運転していたら、とてもすれ違いとか無理だったと思う。ツアーの観光バスも多数走っていたし、駐車場待ちも大行列で、停めるのに大変時間がかかっていた。私達の乗ったバスも駐車場内にバス停があり、最後は「この後、歩いた方が断然早いです。」と運転手さんに促されて数百メートル手前でみんな降りた。
そんな山の上の神社だが、さすがに大勢の人がやって来るだけある。素晴らしい景色と立派な境内に、苦労してきた甲斐があったな、と思う。

2019年デビュー西武特急ラビュー 
窓も大きく、飯能(はんのう)~西武秩父間は、列車前方の景色が画面で愉しめる
写真は帰り(上り)に撮ったもの

杉のご神木が立ち並ぶパワースポット

苦難を乗り越え(笑)辿り着いた三峰神社は、三ツ鳥居という珍しい鳥居を備えている。(トップ画像)   奈良の大神(おおみわ)神社の禁足地との結界にも同じ形式が見られるらしいが、起源やその関連性は不明。 ネット情報によると、正しい三ツ鳥居のくぐり方、というのがあるらしく、8の字に3つともくぐるお参りの仕方が∞無限大の文字のように、図説してあった。そうとは知らず、真っすぐに一礼して通ってしまった。まぁいいか。
三峯神社は1900年余りの昔、日本武尊が東国の平安を祈り、伊弉諾・伊弉冉の二神をお祀りしたのが始まりとされ、『三峰』の名の由来は、雲取山・白岩山・妙法ケ岳(奥宮が在る)から。役小角、空海も修業した古くからの霊場とされる。
日本武尊をこの地に導いたのが、山犬(オオカミ)と言われ、鳥居両脇のご眷属は、狛犬ではなく、オオカミだ。「お犬様」と呼ばれ、神様のお使いとして尊ばれ、参道のあちこちで見受けられる。いかにもオオカミ、という風情のものもあれば、子犬のようなかわいらしいお犬様もある。拝殿からさらに奥まった場所にはオオカミを大口真神(おおくちまかみ)という神様としてお祀りする御仮屋神社まである。今は絶滅したとされる『ニホンオオカミ』がこの地に息づいていたのだろうか。三ツ鳥居脇にある秩父宮記念三峰山博物館には、オオカミが村人たちを助けたという伝承話や、珍しいニホンオオカミの毛皮が展示され、解説文には、今もまだどこかで生き続けているのでは…という期待も書かれていた。

たしかにオオカミらしく筋骨隆々としたお犬様 
昔、家にあったビクターのワンちゃんを思い出すのは私だけ?

本殿・拝殿は、江戸時代に造られた総漆塗りのきらびやかな造りで、周囲の清々しい杉木立とはかなり趣を異にする。私的には、もっとシックな色合いの方が自然に溶け込んで神社らしい気がするのだが、徳川の時代にはこれが流行りだったのかしら?

こちらは拝殿 精巧な細工が施されている
手水舎、八棟木灯台も同じように朱色の漆塗りで竜などの作り物がたくさんある
拝殿のお賽銭箱の手前の足下に!
ちょうど12年前の辰年に御出現  今年の干支でもあり手を合わせて感謝

拝殿前のご神木、二本の大杉もきっとパワー満載、参拝者は列をなして恭しくご神木に手を合わせていた。(もちろん私も)
参拝後、大変〝効く”と噂の【氣の御守】を戴きに。数種類の色があり、中でも決まった日にだけ戴ける白いのがスゴイ、と数年前にネットで騒がれていたらしく、求める人の多さで近隣が大迷惑して平成30年6月に、白は頒布を中止したとのこと。社務所まで行き、迷った末に【桃色の氣守り】を戴いた。どんなご利益がやって来るかな?
その後、「ヤマトタケルノミコト銅像」と奥宮遥拝殿をお詣りして、ようやく茶店でお昼ご飯🍚 お昼時を過ぎ、座敷も空いていたので、疲れた足を思いっきり伸ばして休憩~(≧◇≦)

偶然乗れた秩父の名所案内満載のラッピング電車

帰りのバスも惜しくも座席には座れず、秩父神社にも立ち寄るつもりでいた私は、一時間後の次の便を待つ選択はなく、また山道を進むバスの中、踏ん張って揺られていた。途中、もう相当疲れていたのと、小雨も降り出したので、「ああ、宿に行ってお風呂に浸かりたい」という気持ちがムクムクと湧いてきて、諦めて宿を目指すことにした。揺れるバスの中、どうにか時刻表などを調べて、バスを途中の【三峰口】駅で降りる決心をした。宿に行くには、ここから秩父鉄道に乗る方が良さそうだった。
ここは、歩いて三峯神社を参拝する人の登山口でもある。(ひぇ~、あの道のりを歩くの!?) 他にもいくつかの登山ルートがあり、ハイカーの出で立ちの人が十数名、見受けられた。皆さんけっこうなお歳のご様子、自己嫌悪。
この駅は恐らく鉄道マニアには有名だろう。週末には蒸気機関車が走り、駅横の転車台での方向転換も見られる。時間があれば、転車台のある公園まで行ってみたかったが、こちらの電車も一本逃すと1時間近く待たねばならない。遠くから眺めるだけにして改札を入った。するとなかなかに賑やかな列車が待っていてくれた。

山犬を連れた日本武尊が孔雀と鯉と共に描かれている

後で分かったのだが、このラッピンッグ電車、そうそう走っていない模様。翌日、何度も秩父鉄道に乗るが、フツーの車両ばかりだった。ラッキー❣
車体にも、車内にも、至る所に日本武尊やお犬様、寶登山(ほどさん、寶は旧字体)神社、長瀞ライン下りなど、沿線の名所のイラストが描かれている。嬉々として写真を撮りまくっているうちに、列車の発車時刻となった。

明るいうちに宿の露天風呂に浸かり、ほっと一息。周りは竹林が続いており、すぐ近くからウグイスの鳴く声が…姿は見えず。そのうちに雨が本格的になり、夜中から早朝にかけ、かなり強い雨に。早めに宿に入って大正解。ツイてる!
夕飯では、女将ご推奨の《幻の日本酒》を戴いたのだが、今までに飲んだ日本酒の中でも5本の指に入るくらい絶品でした。もちろん秩父の酒蔵です。
ほろ酔いの身体をマッサージチェアに預け、ウトウト…癒される~(#^.^#)
次第に強さを増す雨に、翌日の予定を決めかねていたが、朝、ウグイスの声に起こされて窓の外を見ると、どうやら小雨になっている。
よし。居心地よい宿を後に、しっかりお宝ゲットだぜ!

寶登山神社は、ほどほど登山

観光案内のパンフなどには、《宝登山神社》と当用漢字が使われている。
(ほどさん)と読む。まさに宝の山が戴けそうな、金運アップ間違いなし!
感が名前にほとばしっている。ところが、ご由緒によると、元は《火止山》だったらしい。三峯神社と同じく、日本武尊がお開きになった神社だという。
この山の美しい姿に感じ入った日本武尊が、ふもとの泉で禊をして山頂を目指した折、突然の山火事で火に囲まれ進退窮まった時に、山犬(オオカミ)たちが現れ、たちまちに火を消し止めた。日本武尊は山の神(大山祇神)がご眷属の山犬をお遣わしになったのだと悟り、この地を《火止山=ほどさん》と定めて、神武天皇、大山祇神、火産神(火の神)をお祀りなった。後の世に禊の泉から宝珠が飛翔した、という奇跡が起き、《宝登山》と改めた。
私が面白いと思ったのは、山犬がどうやって火を消したか、ということ。川に飛び込み、ずぶ濡れになって現れ、体を揺さぶって水しぶきを飛ばした、と伝わっているそうで、たくさんのお犬様達のその姿を想像して思わず微笑ましくなった。

宿を出ると雨も上がり、電車に乗っている間に陽もさして来た。晴雨兼用の傘で正解~。後で知ったのだが、この日、東京はすごい大雨で関東地方は梅雨入り。ここだけ雨が上がっているとは、山の神様に歓迎されてる!?
秩父鉄道・長瀞駅から歩いてすぐ、寶登山神社の大きな鳥居がある。そこからさらに徒歩10分ほどで、神社の境内に到着。
駅からは真っすぐに坂を上がっていくのだが、不思議と本殿と鳥居は右手90度の方角にある。最初の鳥居からの参道とは直角に位置し、右向け右、をして本殿への階段を上がる。
雨上がりということもあって、とても清々しい良い気が流れている。「美しい所だな」と感じた。

とても気持ちの良い本殿
本殿を左手に回り込むと
日本武尊が禊をしたと伝わる泉(玉の泉)が

時間の制約があって迷っていたが、思ったより駅からも近く、境内も三峯神社よりはだいぶ狭かったので、大急ぎで奥宮へ上がってみることにした。
(今PCの変換で、奥宮→億宮になって、なんか嬉し✨)
奥宮の在る山頂へは、ロープウェイで上がれる。
宝登山は、標高497.1m。ハイキングコースも整備されて一時間足らずで山頂まで歩いて上がれるそうだ。たとえもし時間に余裕があったとしても、私はロープウェイ派だが(;^_^A
ロープウェイの山頂駅から、さらに登って10分足らずで奥宮に着く。ここは…本当に神気に満ちている感じがした。

【山の神】とだけ書かれたシンプルな扁額が掛かっている
ご眷属はもちろんお犬様

こちらの奥宮にもちゃんと社務所と茶店があり、私はこちらがとても気に入ってお守りを戴くことにした。中で珍しく黒いお守りがあり、何となく惹かれるものがありそれを戴いて帰った。吉祥寶守と銘打ったそのお守り、後でよく見てみると、書いてある文言が素晴らしかった。
『心の豊かさを満たしてくれる宝とは、大切な家族や友達、その全てが貴方にとって宝です。この御守は、その宝がこれからも豊かに、そして大きく成長(登る)ように。』
…なんとありがたいことか!
そしてお守りの裏側には鯉と龍の刺繡が。里宮のご本殿の裏側の欄間にある、逆巻く水瀬を泳ぐ鯉と、激流を登って行く龍の彫刻からのもの。出世を表すとも言われるこの彫刻は、荒波を泳ぐ鯉が大滝を登って成長すると龍に姿を変え、またこの龍もまだ竜の子・飛龍であり、さらに上へ上へと昇って大きくなって行くようにと願いが込められている。大事に大事にしよう。

欲張って岩畳

登って来た時と同じロープウェイ・モンキー号に乗り、山麓まで下りると、小走りに長瀞駅へ向かう。帰りの電車まで少しだけ時間があるので、国の天然記念物「岩畳」を一目見ようと急いでみる。ちょうど長瀞駅を挟んで反対側に流れる荒川沿いだ。長瀞と言えばこっちの川下りの方が有名らしく、だんだん人が増えて来る。駅から川に向かう道はお店が立ち並ぶ細い商店街。時計とにらめっこしながら人混みをかき分けかき分け進む。

川下りで有名な長瀞の荒川 厳密に言うと振り返った方に大きな岩畳がある
 人の映らない範囲で撮影  雨模様にも拘らず観光客は多い

ゆうべの大雨できっと川下り舟は出ないだろうと踏んでいた。しかし、好シーズンの日曜日、何艘か舟はいた。今度長瀞に来たら、絶対に乗りたい。
そう思っていたら、小雨が降り始め、とんぼ返りでまた駅に引き返す。ぎりぎりで、駅員さんに急かされつつ、どうにか間に合った。これを逃すと帰りのラビューに乗れないところだった(;'∀')

秩父の美味いもん😋

お宿の食事は、もちろん夜も朝も最高でした!
そして、疲れた体を癒してくれた三峯神社の茶店の昼飯が、こちら!

素朴なお味のなめこ汁と卵ご飯❣  どちらも私の大好物

秩父の郷土料理は、わらじかつ丼、手打ちそば、炙り豚みそ重、おっきりこみ・ねじ(どちらも小麦粉で作るうどんのようなもの)、みそポテト、などで、農作業の合間に小腹が空いたら食べる《小昼飯 こちゅうはん》という風習があるらしい。長瀞の商店街にも《小昼飯》をうたったお店が目に付いた。
お宿で出た『しゃくし菜漬け』が大層美味しかったので、お土産に買いたかったのだが、走って電車に駆け込んだので買いそびれてしまった😢
今度、長瀞に来たら、ライン下りをして、お腹を空かせて《小昼飯》しよう。

令和6年6月の旅


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