見出し画像

救急外来にAI問診を導入する シリーズ2:U社かP社どちらを選ぶ?

「これは、年間5000台以上救急車を受け入れる二次救急病院で、
AI問診を導入する話」


前回Web問診の中で
AI問診とデジタル問診(AIなし)の違いを説明しました。


様々な疾患が来院する救急外来には、AI問診が適切ではないかと結論づけました。

AI問診は今の所U社とP社しかありません。
では、U社とP社どちらが良いんでしょうかね?
今回はそれぞれの特徴と、考察過程をお話ししましょう。


U社:AIで診断絞り込みの補助をしてくれる!

U社の特徴は、問診内容から疑わしい診断名を絞り込んでくれることです。

あくまでの「診断補助」なので、責任は最終的に診察する医師になります。
AI問診が現代の日本の臨床において難しいのは、AIが「診断する」ことを日本の法律では認められていないからです。
つまり、業者として大々的に「診断ツールです」と言えないことにあります。

あくまでも

💻A I:「こんな診断の可能性があると思いますけど、先生いかがでしょうか?」
🧑‍⚕️医師:「ふむ。僕はAIの提案も含めて考えた結果こういう診断にしよう」

という過程を踏んで、診断されるべきです。

責任は診断した医者にあることを忘れないで活用する必要があります。

U社のAIは、「この患者の回答であれば、この疾患が疑わしいですよ。その根拠は、こういう回答をしていたから!」と示してくれます。
問診の仕方すら勉強になりますね!
また、その後のガイドラインなども提案してくれます。

AIのおすすめの中に、自分の納得する診断があるのなら、その後の治療を調べる手間が省けるわけです。

U社のAIは、医師の診断補助だけでなく、救急外来の看護師の疾患トリアージにも役立ちます。
💻AI「この診断が疑わしいですね。」
🧑‍⚕️看護師「じゃぁ〇〇科の医師に見てもらうのが良いかもしれないですね。」「〇〇科の先生。AIによると、先生の科の疾患の可能性が高そうです。診察お願いします。」

どこの診療科にお願いするか悩むような状況を、道筋をつけてくれるところがかなり優秀です。

AIがサジェストした疾患から、担当科をを決めることに嫌がる医師もいるかもしれませんが、そこは「病院ルールにする」ことで解決します。

「AIをある程度信頼して業務量を減らすか」
「AIは信頼できないから、業務量を増してでもいいから人手でやるのか(それがAIより優秀かはさておき)」
全てに満点が取れる方法がないことを、職員全員で共有しておく必要があります。

これにより、疾患トリアージをする看護師のストレス軽減に非常に役立つと思います。

あくまでの「診断補助」「診察の手助け」であり、最終決定ではありませんが、そこまでの道筋をつけるのには非常に有用と考えられます。

一言で言うならばU社は、「診断おすすめ機能がついたAI問診」と言えるでしょう

P社:大御所医師が監修!痒い所に隅々まで手が届く!

P社の特徴は網羅的に知識をサポートしてくれるところ
P社の特徴は、AI問診から出た症状・エピソードから網羅的に情報を提示してくれることです。
U社はAIによりある程度疾患の疑わしさに濃淡をつけて表現してくれますが、P社はほぼ全て合致するものを拾ってくれます。

研修医と診断に悩む時に、
「この症状から疑われる疾患は。。。。」
っていうのを全部見せてくれます。

「網羅的な教科書つきのAI問診」

という立ち位置になります。
もちろんU社にあるようなガイドラインや、治療の方向性もバッチリです。
AIによる問診記録+Uptodateみたいなものになります。

U社とP社を比較

じゃぁどっちがいいのか。という問題。
先ほど説明した特徴は、
U社:「診断おすすめ機能がついたAI問診」
P社:「網羅的な教科書つきのAI問診」

どちらがいいかは、その病院次第かなと思います

U社:ある程度おすすめに従うことで、ワークフローを削減することができる
P社:診断も含めきっちり医師の取りこぼしをなくすのにこだわる

U社が取りこぼしやすいとか、P社がワークフロー削減に寄与しないとかと言うわけではありませんが、あえて比較するとそこに差が出るかなと思いました。(個人の感想)

ですので、極限までワークフローを削り、多少の医師のこだわりはあえて無視するならU社
医師のこだわりにきっちり合わせる代わりに、診療の決断の一部のワークフローは変えないならP社

となるかなと思います。

救急車、WIと患者が絶え間ない当院ではどちらが適切か考えた結果・・・・

U社にしました。

P社もちろん優秀なAI問診です。
しかし、必要なものは業務量の削減。
確実に患者の待ち時間を減らし、医療従事者の業務量を減らすことが今回のAI問診導入の目的となります。
導入時にワークフローを大きく変える必要がありますが、定着することで一気に仕事量が減ることは間違いありません。
また、AI問診から研修医が学ぶことも多いでしょう。

U社に決定!早速導入の準備をするぞと医療法人本部に申請を出したのですが・・・・

次回予告

🔸本部に申請したら1年間放置された!いつまで経っても返事が来ない。さぁどうする!(医療現場にありがちな、決定の遅さについて)

🔸AI問診を導入するにあたり、ワークフローを見直すことに!

の二本立てでお送りする予定です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?