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【香港99日間 #76】香港の英語事情〜英語は通じる?香港英語の特徴は?

香港では多くの方が英語が話せるというイメージがあります。確かに英語は香港の公用語になっていますし、アジアの国の中では英語が使える方は多いです。この記事では長期間過ごしてみると香港の英語について知ったことが気づいたことをご紹介します。


香港では観光客が行きそうな場所ではほぼ間違いなく英語でコミュニケーションがとれます。ホテルやガイドブックに載っているようなレストランや観光地であれば困ることはありません。もちろんビジネスの場では100%の方が英語ができますし、平均値で比べると、日本人よりも香港の方々の方が英語のレベルは高いと思います。

タクシーやローカルなレストラン(茶餐廳など)では広東語のみという場合がありました。それでも、外国人に慣れているので、なんとか身振り手振りでコミュニケーションをとっていただいたり、英語が話せる方を呼んできていただく場合もありました。

香港の人はなぜ英語が話せるのか?

御存知の通り、香港は1841年から1997年まで100年以上イギリス領でした。もちろんその影響はありますが、以前ご紹介したように(https://note.com/99dhk/n/n1c49b603aaea)、香港ローカルの人々にとっての母語は広東語です。英語はネイティブのような話せるかというとそうでもなく、学校で勉強する第二言語のようです。早くて幼稚園から英語を学んでいる人もいますし、高等教育になるにしたがって授業そのものが英語で行われることが多くなります。大学についてはほぼすべての授業が英語で行われています。

もちろん香港には多くの外国人がいますので、英語を学んでおいたほうがチャンスに繋がりやすいという動機もあります。また、テレビも英語のチャンネルがあり、書店にも英語の本が並んでいますので、自然と英語に触れる機会が多いというのもその理由でしょう。

実際に仕事やプライベートで知り合った香港の人々と英語で話をすると、香港の方であっても「あれ英語で何ていうんだっけ」みたいなことはありますし、考えながら話しているような印象があります。もちろん私より流暢に話しますし、WhatsApp(日本でいうとLINE)などでは、整った文章が送られてきますので、やっぱりしっかり勉強されているんだなーという感じがします。英語コンプレックスがある日本人的には勇気づけられますね。

余談ですが、先日、九龍公園で散歩をしていたときに、赤い袋を持った小学校1,2年生ぐらいの子供が、私に広東語で何か話しかけてきました。英語で「ごめんね、広東語わからないんだ」みたいなことを伝えたところ、急に英語に切り替えてくれて、募金活動をしているということが分かりました。すごい・・・

募金をしたら、下の写真のようなシールを服に張ってもらいました。ちょうどこの日はFlag Day(賣旗日)といってチャリティー活動の日だったようです。昔は募金をしたという証が旗だったそうですが、今はシールになっていて服などに貼るそうです。

香港英語の特徴

まずは語彙からですが、香港の英語は基本的にはイギリス英語ですので、エレベーターがliftですし、センターはcentreです。このあたりは御存知の通りです。

ちょっと困ったのが、香港独特の語彙として「chop」というものがありました。これはビザの申請について調べているときに出てきた表現で、「componey chop」が必要と書いてあったのですが、私がもっていた辞書にも載っていなくて、何のことかわかりませんでした。きちんと調べてみると「印鑑」のことのようです。そもそも英語圏では印鑑文化はないですが、本来は「seal」ですね。この表現は会話でも一度聞いたことがあるので、日常でも浸透しているようです。

その他、面白いと思ったのが、”Add oil"とう表現です。これは中国語の「がんばれ」を意味する「加油」から来ています。WhatsAppのグループチャットで見たので、その場限りの造語だと思っていましたが、調べてみたところ、わりと一般的に使われているようです。そもそも英語には「がんばれ」に相当する表現がありませんね。近い表現としてはtry your bestとかwork hardとかでしょうか。

語彙については知っていればわかるのですが、発音に関しては慣れていないと全く聞き取れず困る場合があります。特に私が感じた多くの日本人にとって聞き取りづらいと思われる香港英語の発音の特徴をご紹介します。

ピッチの高低差が大きい

もともと香港の方々が話す広東語は音の高さ(声調)で単語の違いをだす言語です。しかも中国の標準語である北京語より声調の数が多く、もっと厳しい印象があります。

そんなこともあり、音の高さが強調されるのだと思います。日本語が音の高低差をあまりつけない上、聞き慣れているアメリカ英語やイギリス英語よりも高低差が大きいぶん、聞き取れなくなってしまうのだと思います。

単語の語尾の子音がほぼ聞こえない

例えば、「cut」は日本人英語では「カット」ですが、香港英語では「カッ」と聞こえます。「cut」なのか「cup」なのか全くわかりませんので、文脈で判断するしかありません。(cutは動詞でcupは名詞なので、このケースの場合はなんとかなります)

これも理由は広東語にあると思っています。例えば、「日」という単語は広東語では「yat6」と発音します。これは日本語の「やったー」というときの「やっ」で止めて、舌のポジションだけ、次の「た」の「t」にする感じです。日本人の私たちには「t」はほぼ聞こえません。この感覚で英語の「cut(切る)」を発音すると、「カッ」になるというわけです。

逆に日本人は子音で終わる英単語もその後に余計な母音を加えて「カット」「カップ」と発音してしまいがちなので、私たちにはより分かりにくくなるのでしょう。

その他の発音の特徴

細かく挙げればまだたくさんありますが、「n」が「l」になります。これは広東語でも「你好」の「nei5 hou2」を「lei5 hou2」と発音する方が多く、もともと「n」と「l」をあまり区別しないのだと思います。それに影響されているのでしょう。他にも「pr」が「po」になります。「program」などは「ポーグラム」と聞こえます。

香港英語を聞き取れるようになる 方法

香港の英語に限らず、どの国でも独特のアクセントがあります。私なりの方法ですが、克服するコツをご紹介します。

  1. ある程度英語の正しい発音方法を知っておく
    どの国の人も、アメリカ英語やイギリス英語をお手本に学んでいます。当然、日本語訛の発音よりも、標準的な発音のほうが、近いはずです。先程の「cut」の例では、日本語訛の英語では「カット」、標準的な英語では「カッt(ちょっと息が漏れる)」、香港英語では「カッt(舌だけtの形)」のように子音の発音を見ても、日本語訛よりも標準的な英語のほうが近いです。自分が発音できなくても知識として知っておくだけでも違うでしょう。

  2. 訛のパターンをある程度知っておく。
    ある程度でよいので、どのようなクセがあるのかを知っておくだけでも、聞き取れなかったときに候補を絞ることができます。例えば「カッ」と聞こえたときに、「cut」や「cup」という候補が想像できるので、聞き取れる可能性は高くなります。

  3. 実際にYouTubeで訛を聞いてみる。
    1と2をやったうえで実際に聞いてみると、少しずつ慣れてきます。ある程度英語が聞き取れる方でしたら、1〜2時間聴くだけでも耳が慣れてくるはずです。

2については、このWikipediaが非常に参考になります。(残念ながら日本語版はありません。) 

3については、以下のような動画があります。他にも「Hong Kong English」などで検索するとたくさん出てきます。

他に役に立ちそうな教材として、RTHK(香港電台)という香港のテレビ局のポッドキャストにも香港訛の英語がよく出てきます。香港のニュースを知ることもできて一石二鳥です。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/hong-kong-today/id161573618

聽日見!


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