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【香港99日間 #20】「竹の足場」に注目!香港の文化と密接に関わっていた!!

香港の景色を香港らしくしているのが、竹でできた足場です。建物を建設する際や、改装するときに、建物の周りで職人さんが作業しやすいようにするものですが、日本ではスチールでできた足場を使うことが一般的です。

しかし、香港では何故か足場は竹で作られています。最初はなんて危ないんだ・・・と思っていましたが、非常によく工夫されていて、改めてよく見ると芸術的でもあります。

調べてみると、この竹の足場は「搭棚」または「築棚」と呼ばれており、香港の文化と密接に関わっていることがわかりました。今回は私が撮影した写真とともに、この「搭棚」についてご紹介します。


竹の足場「搭棚」は訓練された職人が組んでいます。専門学校や国家資格もあるそうです。実は竹を使うことは合理的で、金属の足場に比べ材料費が5分の1程度と安価で、湿気の多い香港でも錆びたりせず、しかも重量が軽いというメリットがあります。建物に沿わせて作ることができ、複雑な香港の現場の状況にあわせて柔軟に組めるという利点もあるそうです。

基本的にはナイロンの細かい紐で竹同士を連結していきます。竹には節があるので滑ったりせずにしっかりと固定できそうです。人が乗るところは多くの竹をつかっています。

地面に当たる部分は先が尖った竹をつかっています。滑りにくくなりそうですね。金属の足場と比較すると、アスファルトを傷つけることもなさそうです。

こちらは店の看板を取り替えるための足場でしょうか。格子の間隔が均等で非常に美しく組まれています。格子状に組むだけでなく、斜めに筋交いをいれ、強度を高めていることも分かります。

建設の進行状況と要件に応じてさまざまな組み方をしていきます。こちらは香港名物の道にせり出した看板の工事用の足場です。近年このような看板は減ってきていますが、メンテナンスするときにはこの足場が大活躍します。足場も道にせり出しています。この足場の下には車がバンバン走っているのでちょっと心配になってしまいますが、しっかりと固定されているようです。

マンションの窓の取替えでしょうか。このような場面でも、竹が使われています。ビルにはこのような足場を引っ掛ける金具がついており、その金具と竹を連結しているそうです。

こちらは高層ビルの工事に使われています。中層階に見えますが、15階くらいの高さがあります。

建物全体に組まれています。本当に見事です。一体何本の竹が使われているのでしょうか。人間が乗る場所や、ところどころにある筋交いの様子がよくわかります。

竹を使用した足場をつくる技術は広東から始まり、その後、香港の植民地化以降の人口の増加や建物の高層化と共に発展し、徐々に香港の文化の象徴となったそうです。看板の修理に使える「招牌竹棚架」、外壁の修理に使用される「懸空棚」10階以上の建物をカバーする「雙層竹棚」など様々な形態があるそうです。

2013年のデータでは職人として登録されている人数は1,751人、関連する会社は200程度あるようです。しかし搭棚職人になろうとする人は年々減っており、継承者不足が深刻化しているそうです。人材不足はどの国も同じですね。材料の竹についても不足しており、現在は広東省からの輸入に頼っていますが、他の地域からの調達が必要であったり、代替品を使うなどを検討しているとのことです。規格化された金属製のものに置き換わっていく可能性もあるかと思いますが、長年築いてきた文化が失われていくというのは寂しいものでもあります。

聽日見!


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