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今日から魚釣りをやってみようという人が単独で1から始めるにはどうしたらいいのか真剣に考えてみる。

何の手掛かりもなしでいきなり魚釣りをしようというとき、いったいどうすればいいのだろうか。もしかして無理ゲーなのでは?
解決法もちゃんと考えてみましたし、無理な理由は少しネガティブな内容を含みます。無視してもいいので目次から適当にすっ飛ばしでください。

はじめに

最近ブームらしいっすよ、釣りが。
密にならない遊びが求められる世の中で、吹きっさらしの野外で家族や仲間など少ないメンツで遊ぶにはいいだろう、ということらしいですね。

私も稀に「魚釣りをしてみたい」という相談を受けることがあります。
近くの人なら「じゃあ一緒に行きましょう」となるのですが、インターネット上で知り合った遠方の方だとそれも難しい。

まったくの初心者にどういうアドバイスをするのが最適かというのは前々から考えているのですが、ソロで1から始めるというのがなかなか難しいのではないかな、と思うのです。

釣りは師をとれ

「釣りは師をとれ」という格言があります。

魚釣りをやる人ならほぼ全員がその通りと思うのではないでしょうか。
「師」とは言いますが、師匠と弟子というような厳格なイメージでモノを言っているのではありません。
人に教えてもらうのが最適な方法、という意味なのです。

人に教えてもらうのであれば、道具の扱い方、仕掛けの選び方、エサの付け方、場所の選び方、すべてその人に教えてもらえばいいのです。
初心者が気が付かないような細かい道具もその人が持っているでしょう、そして師と同じモノを買いそろえれば、立派な釣り人のいっちょ上がりです。

私も魚釣り未経験者といっしょにイカ釣り船に乗ったことや、堤防で釣りの指南をした経験もありますが、最終的には魚を釣ってもらいました。

例えば友達や職場の同僚に釣りのやっている人がいれば、これ幸いです。
その人に魚釣りのやりかたを習いましょう。

多くの釣り人を見てきましたが、魚の釣れない人というのは、
「よくわからないまま、よくわからないことをしている人」
なのです。人から教わることでそういった「よくわからない時期」を早くに脱出できます。

では、そういう教えてくれる人が居ない場合はどうしたらいいのか。

本を開いてみる

「魚釣り入門」と書かれている本をひらいてみましょう、本屋さんや図書館にいけばきっとあるはずです。私も数冊持っています。

するとそこには多種多様な魚とその釣り方、釣りに行くときの注意点が記されています。なるほど確かにこれは役に立つかもしれない。

では、まったく釣りの知識がない人が、この多種多様な釣りモノから自分にピッタリの釣りモノを選ぶことができるでしょうか?

魚釣りをしたことがない人は、魚釣りをしたことがないので自分の身近な釣り場にどんな魚がいるのか知らないのです。
つまりどの魚を狙っていいのかわかからないのです。

しかも魚と釣り方によって難易度が違います。
その場所でその釣り方はちょっと難しいぜ、ということを本はあまり教えてくれないのです。

ということで、本を読んだだけでさあ実戦となるとなかなか難しいところが出てきてしまうように思います。

かといって入門書を否定しているわけではありません。どういった道具が必要なのか、注意点は何なのか、糸の結び方や仕掛けの作り方、なんだったら料理法までが1つの本にまとまっています。

まずは1冊お手元に用意することをオススメします。私も25年に渡って愛読し、ボロボロになるまで読み込んだ入門書があります。
知らない世界を知るきっかけには良い選択であることに間違いはないのです。

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私の手持ちの一番古い釣りの本。1983年発行の「海釣り入門」。

ネットで調べる

なんつうか、うーん。
ネットで検索して、ちゃんとした情報にたどり着ければいいね、っていう。

Webマガジンで釣りライターやってる私が言うのもなんだけどサ。
みなまでは言いませんけど。

後述しますけど、専門用語が出てきたときに、その専門用語をすぐにググって理解する、という使い方ができるのは強いなと思います。

糸の結びかたなどは、画像だけでなく動画で見ると、指の使い方・運び方もわかるのでスキルアップに繋がります。

youtuberがやってるようなのは、玉石混淆なので、見て「楽しそう!」くらいにしておくのがベターかもしれません。

インターネットにある初心者向けの情報で、系統だてられて順に説明されているものを選べると良いのですが、なかなか難しいところです。

その点で各釣り具メーカーさんが作ってる初心者向けのコンテンツは良く出来てると思います。こういうのは見るととても参考になります。

参考:マルキユー https://www.marukyu.com/tsurifun/
参考:ハヤブサ https://www.hayabusa.co.jp/special/beginner/

釣具屋にいってみる

魚釣りの知識がまったくない人が、単独で魚釣りをはじめるとき、
半分くらい正解に近い方法が釣具屋さんにいって相談することだと思います。

しかし、釣具屋にいってみたら素人扱いされ馬鹿にされた、という報告をたまに目にします。
常連がたむろしていて相手にしてもらえなかったという話もたまに聞きます。
とても残念なことだと思います。
そういった対応をする店員は少数だとは思いますが、そういったことが無いことを祈るばかりです。

実は釣具屋さんにはいくつか種類があります。

1.海の近くにあり、エサや氷を売ることをメインにしているお店
個人経営の小さなお店が多いと思います。地元の情報にはとても強いので、どこどこで何が釣れているのかを聞くには最良です。どの仕掛けを買っていけばいいかもアドバイスがもらえると思います。
道具を一式そろえるよりは、消耗品を補充するほうが得意なので、手ぶらでいきなり突撃するには向いていません。なんとかしてくれはしますけど。

2.ある種類の釣りに特化した専門店。
これも個人経営のお店が多く、ある種類のルアーフィッシングに特化したお店です。プロショップを名乗っているお店もあります。
やりたい釣りが明確にわかっている場合はアリですが、そうでないとちょっと厳しいかもしれません。
良いお店になると、釣行会に参加させてくれたりするので、ケースバイケースです。

3.でっかいチェーン店
でっかい資本のでっかいチェーン店です。
地域によってどのお店があるかはまちまちです。
上州屋、ポイント、フィッシャーズ、フィッシング遊、かめや、フィッシングマックス、イシグロ、キャスティング…えーっとあと何だっけ。とにかくそういったチェーン店です。
接客マニュアルがちゃんとしている傾向にありますし、初心者向けに道具をセット売りしている場合もあります。

お店によっては講習会などを開いている場合もありますので、まずはお近くの大きそうでチェーンっぽい釣具店を探すのが良いかもしれません。

たまにホームセンターやアウトドア用品店で釣り具が売っている場合もありますが、ここはやはり専門店で相談するのが良いかと思います。

専門用語多すぎ問題

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釣りって専門用語が多いんです。
それでちんぷんかんぷんになってしまう場合があります。

「初心者はノベ竿でウキ仕掛け使った小鮒釣りがいいよ」
という1文も「ノベ竿」と「ウキ仕掛け」がすでに専門用語です。
魚釣りをやる人は意外とこのへん気づいてないのです。

ルアーフィッシングになるとカタカナ語が多く登場し、ヤード・ポンド法の単位まで登場します。

先述の書籍に用語集が付いている場合がありますし、今はわからなければスマホでググれば解決します。

わからなければ「わからない」と正直に伝えて教えてもらうほうが良いでしょう。

その初心者向けはほんとに初心者向けなのか

初心者向けと紹介されやすいのが「チョイ投げ」と「サビキ釣り」です。

うーん、実際どうなんッスかね?
この2つがホントに初心者向けかどうか考えましたが、ダメ出しをしようと思えばいくらでもできちゃうんです。それは本意ではないのです。
やってみないと始まらないのは確かにそう
ということでササッと触れるだけにします。

「チョイ投げ」は文字通りチョイと投げる釣りなので、砂地でやればキスなどが狙えます。
簡単でオススメですが、うっかり岩礁帯でやるとすぐに仕掛けが地球にひっかかります。はじめて3秒で仕掛けをなくして釣り終了になります。

「チョイ投げ」をするなら、どこでやったらいいのか釣具屋さんで相談してみてください。

「サビキ釣り」は「サビキ」と呼ばれる擬餌針がついた仕掛けです。
詳細はググってもらうとして、確かに簡単だし、アジなど美味しい魚を狙うことができます。
6本も鈎がついた全長1.8mの仕掛けです、操作を誤るとぐちゃぐちゃに絡むし、釣具屋さんにいくとサビキがずらりと大量に並んでいます。
それらは糸の太さと鈎の大きさが違います。このとき選択を誤るとぜんぜん釣れません。

「サビキ釣り」をするなら、どの仕掛けを買えばいいのかを釣具屋さんで相談してみてください。もちろん場所も合わせて聞くと良いでしょう。

どちらも確かに簡単なほうな釣りですし、食べることができる魚が狙えます。便利な仕掛けも多くありますので、この2つから始めるのは悪くない選択肢かもしれません。

鮒に始まり鮒に終わるとは言うけれど

鮒(フナ)です。
昔からよく言われている格言ですね。
この格言の始まりの「鮒」は小鮒釣りのことを指し、終わりの「鮒」はヘラブナ釣りだと言われています。ホントかな。

確かに小鮒は狙いやすい相手です。
海まで遠いところに住んでいる方でも近くに川はあるでしょう。
短いノベ竿と小鮒仕掛けがあれば狙えます、おすすめです。

川によっては漁業権が設定されていて、フナ釣りをするにも遊漁券が必要な場合がありますので、お近くの釣り具屋さんで確認されると良いでしょう。

参考:遊漁券とは https://www.fishpass.co.jp/news/archives/357

管理釣り場はどう?

管理釣り場とは、平たく言ってしまえば釣り堀です。

人工的に作った池、もしくは河川を区切ったところに、ニジマス等の魚が放されています。
必ず魚がいるのだから、必ず釣れるだろうと思われるでしょう。
確かにそういう面もあります。そうじゃない面もります。

ファミリー向けのフィールドがあり、餌で釣ることができる管理釣り場は初心者にもオススメです。釣れるように設定されています。

しかし、ルアー専門で競技として釣りをする管理釣り場もあるのです。
魚釣りの中でも最も先鋭化された世界です。知らずに初心者がいくと囲んで棒で叩かれボコボコにされます。
また専門用語満載のレギュレーション(規則)が設定されていますので注意が必要です。

どういう雰囲気かは管理釣り場によりますので、こちらも経験者に同行するほうがベターかもしれません。

やっぱりハゼだぜ

ハゼはオススメです。これも初心者向けの釣りでよく名前が挙がります。
釣りやすく美味しいので確かにオススメです。

河口などの汽水域(海水と淡水が混ざるところ)に生息するので、河口に向かえばほぼほぼ狙うことができます。

仕掛けも難しいことはありません。オモリと鈎がついていればOK!
詳しいことは長くなるので省略しますが、なかなか奥深い釣りでもあります。

釣具屋さんで「ハゼを釣ってみたい」と相談してみてください。

稀に「ハゼクランク」というルアーを使ったハゼ釣りを紹介されるケースがありますが、これちょっと特殊なやり方です。「ハゼクランク」もしくは「ハゼクラ」をオススメされたら、そうじゃなくて餌釣りで、とお伝えください。

魚釣りって覚えることが多い

そうなのです、覚えることが多いのです。

「どの魚を狙うのか」から始まり、道具、仕掛け、糸の結び方、エサ、ルアー、場所、潮汐などの自然条件、釣りに関する規則や法律…

覚えることが多いから単独で1から始めるのは無理ゲーじゃね?という話になるのです。

魚釣りというものを大げさに言えば、石器時代から人類が培ってきた英知の結晶なんです。それを0から独学で学ぶというのは賽の河原に石を積むようなことなんです。

まったくの初心者がソロで1から魚釣りをはじめる方法

やっと本題にやってまいりました。

例えばこれが、
カジキと竿1本で対峙する世界を釣る男になりたい。
とか
明鏡の水面にただウキを見つめる枯淡幽玄のヘラ師に俺はなる!
とか
明確な目的や、こうなりたいという憧れがあるなら止はしません。私もそういう憧れは大切にしたいので直行ルートを邁進してください。

そうではなく、なんとなく趣味として魚釣りをやってみたいという方に向けた方法です。

先ほどいくつかの方法を挙げました。
「チョイ投げ」「サビキ釣り」「ハゼ釣り」「小鮒釣り」です。
これらの釣りは確かに始めやすい釣りです。当たって砕けろの精神でとりあえずやってみて、失敗しても構わないという方はやってみてください。
初心者向けとされているだけあって情報はたくさんありますし、失敗しても大きな損害を被るわけではありません。

失敗しながらスキルアップするという過程も、魚釣りの楽しみの一つなのです。(いいこと言った!)

釣りの知識はないし、教えてくれる師もいない、調べてみてもやっぱりよくわからないし、なるべく失敗しない方法でスムーズに入門したい。
という慎重派のアナタにお教えしたいオススメの方法を最後にご紹介します。

釣り教室に参加する、です。

「都道府県+釣り教室」で検索してみてください、なにかしら開催されていると思われます。釣り体験という名称の場合もあります。

主催は地方自治体、観光業者、旅館やレジャー施設、釣友会などの有志サークル、釣具店、釣り具メーカーなどさまざまです。

公益財団法人 日本釣振興会が定期的に開催しているものもあります。
参考:日本釣振興会 釣り体験教室 実施予定一覧
(2021年)https://www.jsafishing.or.jp/activity/trial_class/2021/trial-class.html

残念ながら”ご時世”で中止になるケースも多くありますが、こういった教室を最初の1歩にするのはかなりオススメです。
だって教えてくれる人がいるんですから。

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最後になりましたが、魚釣りは最高の趣味です。

釣れたら最高、釣れなくても普段目にしない自然の風景を目にすることもあります。

どうしたら魚が釣れるのか考え、実際に試し、そして答えが返ってくる。
そういった楽しみ方もあります。

これから魚釣りをしようという方が、なるべく嫌な思いをすることがないよう、そして楽しんでもらえるよう考えてこの文章を書きました。



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