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めっちゃ美味い鰤大根の作り方

表紙

私は釣りライターとは別に、毎年2回のコミックマーケットなどで魚料理について記した同人誌を発行しています。
今年は例のアレでナニでどうしても参加できないので、小さなWeb冊子みたいなのを作りました。noteという媒体が読みやすいというご意見も多々頂きましたのでこちらにnote版として転載いたします。
PDF版はこちら
http://999cc.sakura.ne.jp/ukewatasi/burianddaikon.pdf

冬の味覚、鰤大根。
旬の鰤と大根を一緒に醤油で炊いてしまおうという料理で、旬のものを二つ組み合わせるのだから旨いのは間違いございません。
しかし鰤大根は大根がメイン、鰤はダシを出すためだけに入れているとされている場合があるそうです。確かにそういうイメージはあるかもしれません、実際に鰤を煮込んでいくとだんだんスカスカになってしまいます。
それじゃ鰤があまりにかわいそうです。
鰤の身も大根もどっちも美味しいなら、そのほうがいい。
ということで、今回はどちらも美味しい鰤大根を作ってみたいと思います。

まずは材料を用意します、新鮮な鰤を手に入れるために釣ってきました。
ちょっとサイズ的には惜しいのですが…、晩秋の日本海で鰯を追いかけていた鰤です、良いコンディションで脂もってそうです。
さらにもう1本釣って近所で畑をやっている方の家に持っていきます、不思議なことにとれたての大根が手に入りました。やったぜ。
あとは昆布出汁、醤油、酒、みりん、砂糖、ショウガ、塩を用意しましょう。以上で材料が揃いました。

大根を炊く

なぜ鰤大根の鰤がスカスカになってしまうかといえば、それは単純に煮すぎなのです。
なれば先ず、大根だけで先に炊いておきます。大根は皮をむいて面をとって隠し包丁として切り込みを入れておきます。米のとぎ汁か、米を1つかみ入れて20分ほど大根を煮ます。竹串が刺さるくらいになればザルにあげておきます。

ブリのアラ

大根を炊いている間に鰤の下処理をします。鰤は身とアラを分けます。
今回は三枚におろした鰤の、背骨とそれについている身、腹の骨周辺と、エラの周りの硬い部分をアラとして使います。それ以外の骨が含まれない身のほうは切り身の状態にしておきます。
アラはよく洗って血のかたまりをなるべく落としておきます。これが生臭さの原因そのものです。できるだけ落としておきます。
エラの周辺はカマとも呼ばれる部位で、骨や血合いは多いですが大変美味なところです。塩振って焼いて食べても美味しいです。

鰤の身のほうは軽く塩を振ったのち、出番まで冷蔵庫で休んでいてもらいましょう。 
アラのほうには塩をふりかけて20分ほど放置したのち、熱湯を回しかけます。身が白っぽくなります。

霜降りをした鰤のアラ

いわゆる霜降りとよばれる手法です。いくつかのやり方がありますが、基本的には塩で浮かせた生臭さをお湯で流してしまうという考え方です。
今回は魚が新鮮なので、台所の流しに向かって斜めにしたまな板にヤカンから熱湯を直で流しかけます、楽ちんッス。
塩を降った後、お湯ではなくそのまま焼いてしまう焼き霜という方法もあります。

アラと大根だけ先に煮る

次に、大根と鰤のアラを鍋で炊きますが、このときまだ鰤の身の部分は入れません。
先ほどの米のとぎ汁で大根を炊いた水は捨て、あらためて鍋で昆布だしをとって、そこに大根とアラを入れます。砂糖、酒、醤油、みりんで味をつけ、ショウガも一緒に入れます。
大根に味をつける出汁の役目をアラにしてもらい、食べる身のほうは別で煮ます。こうすることで身がパサついたりスカスカにならないようにするのです。

黄金色に輝く大根

アラの煮始めはアクが出ます。根気よくアクを撮り続けてください。このときの根気が濁りのない透明感のある出汁を生むのです。
アクとりはもういいと思ったら落とし蓋をして30分ほど煮ます。出汁を吸った大根が黄金色になりました。
そしてここでいったん鍋ごと冷まします。味は煮込むことでしみこむのではなく、冷めるときにしみこんでいくものなのです。
冷めたらアラの食べにくい骨などを取り出して、いよいよ鰤の身を煮ます。

鰤の身を投入

うやうやしく鰤の身を入れます。
そしてこんどは短く、15分ほどだけサッと煮ます。鰤の身に火を通すだけで十分です。
さあこれで完成……ではなく、さらにもう一度冷やします。繰り返しますが味は冷えるときにしみこむのです。再度冷ますことで、鰤の身のほうにも出汁の味がしみこんでいくのです。

食べるときに再度温めて召し上がってください。手間と時間はかかりますが、大根も鰤もどちらも主役の鰤大根が出来上がります。

鰤大根の完成

さあ出来上がりました。いろどりに小葱を載せて食卓へと並べていきます。
身はフカフカで柔らかく、脂がまだ残っています。そして大根はたっぷり出汁を吸い、箸で切れるほどに煮込まれています。
写真に写っているのは鰤の身は腹にあたる部位のものです。脂肪が多くとろけるような美味しさです。
素材にあわせて煮込む時間を変えてやることで、大根も鰤もどちらも美味しい鰤大根が完成するのです。
ご飯のお供にしてもいいし、酒を飲んでもいい。私は鰤大根に練り芥子をつけて食べるのが好きです。粉山椒をふりかけて食べるのも意外とお勧め。香りが食欲を増します。
別で煮る方法は手間はかかりますが、寒い冬に台所で火に向かい、鍋を守るというのも悪くない休日の過ごし方です。

材料(おおざっぱに)
ブリ:お店で買うならアラと身を1パックづつくらいあれば良いのではないでしょうか。食べたいだけ鍋にぶち込めばよいでしょう。
大根:半分ほど使いましたが、これも食べたいだけ鍋に放り込んでください。
塩:下ごしらえにつかう程度
昆布:板のものを1枚、大根とアラが浸るほどの水につけておいて昆布だしをつくります。
砂糖:大匙3
酒:200ml
醤油:大匙4
みりん:100ml
ショウガ:半分をスライスして使う
あとは味見しながら調節してください。


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