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【コンビニで15年働いた私語録vol.11 2004〜2009の記録】

* ナナコカード *

セブン銀行が開設された(2001年)と同じ頃、
これまた今では当たり前の、セブンの電子マネーカード(カードにチャージして支払)=ナナコカードの運用が始まった。

この頃の電子マネーと言えば、鉄道乗車時のみ利用可の交通系スイカ、イコカ等の類で、コンビニ等での買い物利用はまだ不可であった。

キャッシュレス小売販売の先がけは、EDY(現楽天Edy)と記憶しているが、巷にはまだまだ浸透していなかった。

因みに、セブンイレブンで出来たキャッシュレスでの支払は、クオカードや、ビール券、ハーゲンダッツ等の金券類のみで、クレジットも使えなかったのだ。(クレジット利用可となったのは、ナナコ払いより後)

私の想像ではあるが、
自社のセブン銀行と同じ様に、毎日入金される売上金送金分(※)を上手く回す目論見から、鈴木会長はセブングループ内で利用する電子マネーに目をつけたのではないだろうか。

《(※)当時、セブンイレブン店舗数は10,000店 ✕ 平均売上70万円/1店舗、それが毎日本部へ振り込まれていた計算になる。》

***

それまでのコンビニでは、決済のほとんどが現金だったので、客がキャッシュレス支払をする時は、レジ操作に戸惑いがあったことを覚えている。

と言うのも、なかなか利用者が増えず、レジでの扱いもたまーにしかないため、店員の操作があまりなかったこともあるのだが。

ナナコカード、という存在が今までにないものなのだから、まずは、セブン関係者は認知度を増やす事、その利用者を増やす事、に専念せざるを得なかったのである。
(セブンイレブンだけではなく、ヨーカドーなどグループ全体で宣伝していたから、社運をかけてのプロジェクトだったに違いない。)

***

ナナコは、作る時に300円が必要!

「誰が300円も出して、そんなカードを作るんだよ?」
そう思えてしまうのが普通だよな、と私は思っていた。

しかし、そう言ってしまってはなかなか新たなカード利用者は増えないこともわかっていた。

ナナコ作成時の300円はセブングループのものになってしまう。
(カード作成や様々な経費と思えば不思議でも何でもないが)

スイカは初期費用はかかるけれども、支払った分は購入者が全て使える。

先にあるモノと比べてしまうのが、世の常だから、オススメは本当に大変であった。

(>_<)ナナコカードを作ってもらうことの営業たるや、コンビニの仕事とは思えなかったさーーーーーっ!!!

ナナコカード利用者を拡販するキャンペーンが次から次へとあり、ナナコを何枚作った(カード会員を増やした)か、バイトの名前が下に並んだ棒グラフが、バックヤードのウォークイン(ドリンクを冷やすための部屋)の壁等に貼られたりする。

確かに、
「小銭などの現金払いではなく、カードをレジにかざして決済の何と楽チンな事か!」
と操作を繰り返すうちに、店側の人間は皆思っていった。

しかし、
「日本人は現金払いが好きな人種なようで、ナナコ電子マネーの良さを、なかなか理解してもらえないなー(泣)」
と私は、運用が始まり5年は思っていた!。

とにかく、はじめは話しやすい人にと思い、
必ず毎日買い物に来てくれる、隣銀行の女性部長さんには、真っ先にナナコを紹介した事を記憶している。

彼女は直ぐ作ってくれて、もちろん買い物の度ごとにナナコ支払をしてくれた。

たぶん私よりも先に、ナナコの良さを分かって使ってくれていたのだと思う。

そのようなお客様がひとりいるだけで、
「ナナコカードを作りませんか?」
と声がけが出来たのだから、不思議なものである。

運用スタート直後からの彼女の毎日の利用が、当時の店舗従業員のナナコカード獲得に多大な影響を与えていたと言っても過言ではない。

***

あの頃から約20年ほどが経つ。

今や、電子マネーと言われるカードや、スマホでの決済払いは日常化している昨今だ。

やり方は同じキャッシュレス。

ただの時代の流れなのか?

金融機関や大手企業など、経済力がある会社や団体に還元される仕組みであることは間違いない。

このお金がどの様に動いているかをわかっている人は、西暦2023年の今、どれほどいることだろう。

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