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ヘンプのジーンズ

COVID-19が始まってすぐの頃だったか、アメリカで行われたZoomセミナーを見たのだが、今後は人造肉と大麻がメジャーになるという、なんとも気味の悪いセミナーで半分ドン引きした。

ただ、これは突拍子もないことではなくて、人造肉がこれからメジャーになるのは、世界的に見て食糧生産が現在の畜産では限界に達していることや、アニマルウェルフェアの考え方が浸透していることが根拠だった。一方、麻薬として名高い大麻が利用されるということにも根拠があって、成長が早くCO2の吸収量も多い大麻草の利用は地球温暖化防止に役立つということだった。

それからしばらく経った今、人造肉、培養肉は研究が盛んで、ベンチャーの参入もあり有望分野の一つと目されている。
大麻の方は、CBDあるいはヘンプオイルが高値で売られている。大麻は大麻草の全てが悪いというわけではなく、日本国内では大麻草に含まれる禁止成分が問題になる。よって、この禁止成分を取り除いたオイルは違法なものではなく、禁止成分を取り除いたCBDやヘンプオイルは高値で売られている。最も抽出が拙劣なメーカーのものには禁止成分が含まれていることもあるようなので、十分な注意が必要ではある。

大麻はデニムでも活用されている。
リーバイスはヘンプ混の生地を主力にする方針を打ち出していて、最近はヘンプ混のジーンズが登場している。

デニムといえばコットン即ち綿の生地であるのが一般的であるが、近年は乾燥地域で栽培される綿花が大量の水を必要とすることが問題とされている。
最近は温室効果ガスの問題ばかりが取り上げられ、SDGs=温室効果ガス削減のような言われ方もされているが、人権、食糧、水資源などもSDGsの17の目標の中に含まれていて、こちらも無視はできない問題となっている。
栽培が容易な大麻草を使うことによって、綿栽培に起因する水の問題を抑制できることがヘンプ混のデニムの登場を促している。

しかしながら一般的にヘンプというものは、肌触りが良いものではないそうである。
確かに麻の一種であるジュートなどはトゲトゲしてとても服にしたいとは思わない。
この辺は、商品開発で克服したそうで、実際に身につけて見ると、さらっとしていて夏でも快適なのではないかと思う肌触りである。

今年はジーンズの元祖であるリーバイス501が誕生して150周年。
同じロットの品番が150年も続くなど驚異的なことであるが、逆に時代に合わせて変化する柔軟性があったからこそ生き残ってきたのであろう。
ジーンズ=コットンという常識からいえば邪道であるが、人類社会の生き残りが危ぶまれている今、この選択は誤りであるとはいえないだろうし、リーバイス501だからこその選択なのではないかと思った次第である。

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