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感じること①

八丈島に滞在中、ハワイアンロミロミ(マッサージ)の施術を受けた。
施術が始まる前、施術者のタロさんがうつ伏せの私の背中にふんわりと布をかけてくれた。
素肌に触れたその布が、あまりに心地よくて。
わ、気持ちいい、冷たいような温かいような、ふんわりしてるようなサラッとしてるような、この不思議な心地はなに…?と思ったとき、私の体がその心地よさを全力で味わおうと「感覚優位モード」になったのを感じた。
「感覚優位モード」になると思考が弱まる。五感が強まる。今に集中する、とう感じになる。

その瞬間、私はずっとそのモードをオフにしていたことに気づいた。
夏にショックな出来事が続き、辛い感情にとらわれてしまっていた時期があった。苦しくて仕方がなかった私は「感覚優位モード」をオフにした。感じ方のアンテナを弱めた。ふんわりもやのかかったような状態にした。それ以上、苦しさを真正面から浴びたくなかった。
でもこの「感覚優位モード・オフ」の難しいところは、感情を取捨選択できないところ。私は嬉しいとか楽しいとかそういう感情も50%くらいで感じるようになっていた。残りの50%は思考で埋めてた。「今、楽しいみたいだよ。これ、好きみたいだよ。多分」そんな感じの思考。
涼しくなったぐらいからメンタルを持ち直して元気になっていたけれど、「感覚優位モード」はオフにしたままだったことに気づいていなかった。

私、怖かったんだなぁ

感じることが怖かったんだ。思っていたより、傷ついてた。辛かったんだなぁ…
ロミロミの心地よさにうとうとしながら、胸の中ではあったかさや、懐かしさ、さみしさ、泣きつかれて眠ったような心地よい疲労感、ぽんぽんと背中をたたいてもらったような安心感、さまざまな感情がないまぜになっていた。それはデトックスのような感覚だった。

感じるって、世界に対してオープンになるということなんだ。何でもかんでも鮮やかに入ってきてしまうから、私が世界に対して安心していないとその力に集中できないんだ。まだ少し怖いという気持ちがあるけど、今はそれ以上に「もったいない」という気持ちがあるから大丈夫。取りこぼすのはもったいない。
今後また悲しみに暮れる出来事は起こるかもしれない。その時はどうするかな。しばらくオフにしてみてもいい、けどそれをオフにしたことを忘れないようにしていたいかなぁ。
もしかしたら、訓練次第では感情を選び取れるようになるかもしれないしできないかもしれない。わからないけど、自分なりの形を見つけていきたいなと思う。感じることをあきらめない私でいたい。


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