鳥の胸肉のオイルソテー

「これはあなたが自分のために作ったから僕は食べてはいけないんだね」

と言われたような気がする.もちろん,私が食べたくて作ったけども,あなたは食べてはいけない,なんてこれっぽっちも思っていなかった.

私は「そんなことないよ」としか答えなかったと思う.そして,私は「あ」と思う.心の中で,言葉になる一歩手前の「そういうつもりじゃなかったんだよ」が感情として浮かぶけど,言葉になる前に,次のシーンになってしまう.

足りないのはよくわかる.彼に対する私の思いやりがこれっぽっちもなくなってしまった.それはわかる.

言葉も気持ちも出てこないんだよ.選択肢が一つもない.わざとその淡白な返事を選んでいるわけでもないんだ.

思いやりは,いつからなくなったのだろうか.

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