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みかんの旧作ザオリク図書館「小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(下)」

 さて、SEEDFREEDOMノベライズ版の下巻レビューです。やっと読了しました。肝心の映画はまだ見れてないんですけどね・・・・・・。でもこれさえあれば、ストーリーは丸わかり! 
 でも完結編だと思うと、なんだか寂しいなあ。1ページ1ページ、噛み締めながら読みました。

 下巻は、オルフェ宰相たちファウンデーションの陰謀で、核ミサイル暴発事件が起き、ユーラシアを脱出したキラたちが、オーブで立て直しを図るところから始まります。
 ファウンデーション一味に誘拐され、旧宇宙要塞アルテミスに監禁されてしまったラクス・クライン。さらにオルフェ宰相は、月にある大量破壊兵器レクイエムを使い、いきなりモスクワを撃って壊滅させる。彼はレクイエムの破壊力で世界を脅迫し、デスティニープラン強制を目論むのだった。
 その後、ザフトのタカ派までもファウンデーション軍の同志に加わり、状況は最悪に。

 一方、上巻の敗北のせいで無力感に苛まれ、精神ボロボロのキラですが、アスランの闘魂注入でなんとか奮起します。この辺の流れが、SEEDらしからぬ体育会系のノリで、興味深いシーン。
 オルフェから愛するラクスを取り戻さんと動き出すキラ。アスランやシン、マリューらメインキャラと共に、新造戦艦ミレニアムに乗り込み、いざ宇宙へ出撃! という熱い流れになります。
 前回の愛機が失われたこともあり、こんな事もあろうかと、エリカ・シモンズがストライクフリーダムやデスティニーの改修機を用意しての、一斉乗り換え!(負けてないアスランは除く)
 うーん、王道ジャンプ映画的ですな。それになんというか、旧来のSEED作品より少しライトな空気を感じる。台詞も妙にコミカルだし(特にシンとか) 後藤リウ脚本の影響かな?




(以降、後半ネタバレです)

 ここから、物語はスピーディーに展開。2時間映画の公式ノベライズですから、のんびりとはやりません、怒涛のごとく宇宙戦争シーンへと突き進み、一気にコンパス逆転劇へ繋がります。
 その勝利の鍵となるのは、技術屋である新キャラ・アルバート・ハインラインの開発した新兵器の数々。この男、世紀の天才メカニックなのです(ミレニアムの特殊装甲やフリーダムの新武装など、兵器開発面で大活躍)
 マリュー艦長なんかは懐かしの戦術・バジルールなんかも使ってましたね(遠隔ミサイル攻撃を使ったナタル・バジルールの得意技)

 さて、ミラージュコロイド技術やメイリンのハッカー能力を活用して、アルテミス要塞からまんまとラクスを救出したキラ。ようやく愛する人と再会します。
 ラクスの方も、オルフェ宰相の籠絡を決然と拒否し、キラを信じて助けを待っていました。今回のラクスは敵味方問わず、「愛」という単語を多用して語るのが印象的。クヨクヨ悩んでいた上巻と違い、腹をくくった下巻では一本芯が通っています。その清廉さに、オルフェや腹心イングリットもたじたじ。

 一方、もう一方の主役であるアスランとシンは、それぞれ前回戦った敵たちとリベンジMS対決です。上巻では心が読める異能集団であるブラックナイトスコードに、相当な苦戦を強いられました。下巻では果たして、どうやって対抗するのか?
 けれど心配ご無用。シンには霊体ステラという強い心の友が。そしてアスランはカガリとの協力プレイで、それぞれの敵を見事に撃墜します。ブラックナイトスコード隊、動揺すると結構脆いですな。
 あ、裏切った月光のワルキューレこと、アグネスもルナ機にボコられてましたw(生きてるけど)

 その後、敵の要塞を脱出したキラは、ファウンデーション軍との最終決戦へ挑みます。ラクスの乗る支援機・プラウドディフェンダーと合体、新形態・マイティーストライクフリーダムとなって、オルフェ宰相の複座MSカルラと渡り合います。キラもフリーダムの複座コクピットで、ラクスと一緒に闘うってのが、好演出ですね。

 戦況は徐々にオーブ軍優位に進み、女王アウラの旗艦もミレニアムに撃沈され、頼みのレクイエムもシンとルナマリアが破壊して、ファウンデーション軍は壊滅します。
 最後に残ったオルフェとイングリットのMSカルラですが、それでも戦いはやめず、フリーダムとの一騎打ちに敗れて、哀愁漂わせながら戦死。悪党になりきれないイングリットは、いいキャラだったなあ。

 カルラまでもが倒され、ここに女王アウラとその子どもたちの野望は潰えたのでした。
 実はこの女王、ラクスの死んだ母親や故ヒビキ博士(キラの実父)とも友人で、かつてはプラントの遺伝子学者。ラクスの遺伝子を理想の指導者タイプに設計したらしい。
 それでラクスをファウンデーション側に引き込みたかったのね。なぜか幼女の姿なのは、昔研究中だった長寿薬の副作用(某国民的少年探偵かよ!?)
 デュランダル議長の盟友でもあり、作品の根幹に関わる重要キャラクターだったが、終盤の艦隊戦であっさり死亡。旧メンデル研究所については、まだ謎が残ってる感じです。

 これにてファウンデーションの乱は収束し、大団円となります。脚本家が途中で交代したため、やや両澤節がライトになっている感がありますが、DESTINY以来のキラたちの活躍が見られたのは、とても感動的でした!(合間にドラマCDとかはありましたが)
 エピローグの舞台はオーブの海辺。キラとラクスやアスラン、カガリのラブラブシーンで締めくくられます。結局キラとラクスは軍から身を引いて、世間から隠遁してしまったよう。
 うーん、やはりこれだとSEEDの続編は難しそうかな? ちょっと残念です。まあ人気次第で、どうなるかわかりませんけど☆
 個人的には、映画のPVであった羽クジラ化石絡みで、まだ続編作って欲しいですけどね(新ASTRAYシリーズはあるかも?)
 むしろ、火星圏や木星圏にまで世界を広げるとか色々できそう(何だったら、流行りの異世界にザフト軍転移してもいいぞ! I LOVEガンダムSEED!)
 
 これだけ映画が大ヒットすれば十分続編いけるいける、とは思いつつも、とりあえずはこの小説が一応のシリーズ完結編。下巻も懐かしいキャラたちが大活躍で、SEEDファンなら必読です! 





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