映画「オッペンハイマ―」を見た

原爆の父と呼ばれた「オッペンハイマー」の半生を描いた映画。アカデミー賞7部門受賞、全世界で興行収入1000億円突破という成果を残しながら原爆について描いているということで日本での配給が一時見送られていた映画。アメリカでは昨年7月21日公開、日本での公開は今年3月末だった。

この映画に関して言えば、オッペンハイマーの半生を描いているのでネタバレもクソもない。オッペンハイマーについて調べれば、大体の流れはわかる。タイタニックという映画で、最後に船が沈むのが確定しているように。ただ、ネタバレは嫌だという人も、ある程度の事前知識は仕入れたほうがいいのかもしれない。第二次世界大戦がどんなものだったか、その後アメリカで吹き荒れた共産党員狩りについて、そもそも何故共産党員が目の敵にされたか、その後のオッペンハイマー事件。
当たり前のように「ソ連」という言葉が出てくるが、もはやソ連がなくなってから30年が経過している。このあたりの基礎的な認識がないと、ついていけない部分が出てくる。

ネタバレというほどではないが、この映画には複数の時間軸が存在する。
1 オッペンハイマーの半生
2 オッペンハイマーが失墜させられる公聴会
3 ストローズが糾弾される公聴会
4 オッペンハイマーら科学者達の会議
4は時間軸というほどではないので、実質3つ。正直な事を言えば、3については白黒で表現されているので時間軸がよくわからず混乱した。白黒なのに時間軸的には一番最後ってなんやねん。


この映画を見て思い出したのが、「イミテーション・ゲーム」という映画だ。

これは、イギリスの天才数学者チューリングが第二次世界大戦中にドイツの暗号「エニグマ」を解読し、勝利に貢献する物語。アマゾンプライムで見られる。

この2つの映画は、第二次世界大戦中に直接戦争には加わらずに戦争に大きな貢献をした天才を描いている、という面で似ているが、「戦争を終わらせるために人命を犠牲にしている」という面でも共通点がある。

オッペンハイマーでは、「戦争を終結させ、アメリカ兵を帰国させるために原爆が必要」という論点が度々登場する。
イミテーション・ゲームでは、エニグマを解読し、ドイツ軍の攻撃場所がわかるようになったにもかかわらず「暗号を解読したことがバレないようにするために、何回かに1回は暗号を解読しても伝えない」ということをやる。

戦争中の大義は、戦争を早期に勝利に導くことだ。
犠牲が出るのはもともと戦争だから仕方がなく、終戦してしまえばそれ以上の犠牲者は出なくなる。しかし、そんな単純な理論だけで終わらせていいはずがない。
人類が争い続ける以上、永遠に論じ続けるしかないのだ。


話を戻すと、映画自体は概ね面白かった。
ただ、前述したように話の筋で理解できていない部分があったので、もう一回見たほうがより楽しめるかもしれない(しかし3時間もかかるのがネック)。
あと、唐突に濡れ場が出てきてびっくりした。おっぱいが出るとは聞いてないよ。付き合った後ならともかく付き合う前にデートで行く映画じゃないと思った。前提知識も必要だし、急におっぱい出てくるし。

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