世界の美しさを思い知れ(額賀澪)

自分は双子ではないし妹はいるけれど弟もいない
けれども、親しい人を亡くしている
それはその人が死を選び決行した結果で、自殺
その頃の自分はまだ幼くもあり、さながら幼虫から蛹へと変化する蝶とも蛾ともつかない、そんな頃合いのお年頃で
その頃はまだ自殺だとは知らなかった
ただ歳を重ねていくにつれて、ある人の言葉が引っかかって、気付いて、知ってしまった

この物語は色鮮やかだ
「死」という灰色の世界を明るい絵の具で塗ったように、鮮やかだ
死者の目を通して見る世界なのに鮮やかで、それは想像していた灰色の世界ではなかった
そこが少し、なんというか肩透かしを食らったような感覚で、物足りなかったな

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