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【読書記録】2023年4月2日〜4月8日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 年に何度か、小説家さんとの劇的な出会いがあります。昨年で言うと中山七里さん、朝井リョウさん、そして薬丸岳さん。このスイッチが入ってしまうと、他の積読は横に置いて、その作家さんの作品を集中的に追いかけてしまいます。
 そんなこんなで、今は3月に出会った〝シューカツ!〟をきっかけに石田衣良さんにどハマり!!
 今週はほぼ石田衣良さんの1週間でした。

 …ということで、今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年4月2日〜4月8日に出会った本たち】

●明日のマーチ

著者 石田衣良
【内容紹介】
 解雇。それは張り紙一枚の出来事だった。ある日突然、僕らは年収200万円の生活からも見捨てられた。どうしよう。どこに行って、何をする?-歩く。それが、僕らの決断だ。クビを切られたカメラ会社がある山形から、東京へ。600キロ。4人で始まった行進は、ネットを通じて拡散し、メディアを賑わし、遂には政府が動き出す。僕らの青春を等身大に描いた、傑作ロードノベル。
裏表紙より

【感想】
 ある日突然派遣切りで仕事も住む場所もなくした4人の青年が、職場があった山形県の鶴岡から東京までの600キロを歩くというロードノベル。
 メンバーはネットに詳しい伸也、中国残留孤児3世の豊泉、巨漢で無口なバックパッカーの修吾、そして特別なスキルを持たないごく普通の陽介。
 特に修吾の秘密は衝撃的。4人で始まった旅は最初大きな目的やメッセージがあったわけではないけれど、ネットの力を借りて思わぬ方向へ広がっていきます。
 夏で、4人に少しの蓄えがあって、アウトドアの達人がいたからできた旅とも言えますが。
 主人公・陽介の最後の決断に拍手!

●アキハバラ@DEEP

著者 石田衣良
【内容紹介】
 社会からドロップアウトした5人のおたく青年と、コスプレ喫茶のアイドル。彼らが裏秋葉原で出会ったとき、インターネットに革命を起こすeビジネスが生まれた。そしてネットの覇権を握ろうとする悪の帝王に、おたくの誇りをかけた戦いを挑む!TVドラマ、映画の原作としても話題の長篇青春電脳小説。
裏表紙より

【感想】
 読了後もドキドキが止まりませんでした。
 秋葉原をこよなく愛するそれぞれ異なった特技と欠点を持つ6人の男女が、Googleや Yahoo!に負けない画期的なAI搭載の検索エンジンを開発。大手IT企業に目をつけられ、敵に回してしまうことで一時は全てを奪われてしまいますが、知恵と勇気と工夫で奪われたプログラムを奪還するという、ジャンプ漫画のような王道ストーリー。
 読み始めから主人公たちの勝利は明かされているけれど、途中のワクワク感が止まりません。特に90年代半ばに秋葉原をちょっとだけ徘徊していた自分にとっては懐かしい物語でした。九州じゃんがらラーメンとかね。

●不死鳥少年 アンディ・タケシの東京大空襲

著者 石田衣良
【内容紹介】
 太平洋戦争が激化する一九四五年、東京下町の春。敵国アメリカ人の父を持つ14歳のタケシは、学校や軍需工場でいじめの標的にされていた。空腹で苦しい日々にも親友、家族、初恋と、かけがえのない時が訪れるが、儚い夢を描く少年の頭上に、ついに焼夷弾が降り注ぐ…若者のリアルを見つめる著者が祈りを込めて描く、少年たちの戦争。
裏表紙より

【感想】
 私の中では石田さんといえば「平成の若者の生と性の表現者」というイメージだったので、この本のタイトルに驚き手に取りました。
 主人公はアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれ2つの国籍を持つタケシ。
 舞台は昭和20年3月8日〜10日までのたった3日間。この3日間に戦時中の憂鬱さや息苦しさがギュッと詰まっています。しかしそんな窮屈な時代でも、若い恋人たちは肩を寄せ合い愛を囁きあうし、子供達はすべてを遊びに変え、眩しい笑顔を見せてくれました。
 ファンタジー要素については賛否両論あるかも知れませんが、この要素があるおかげで若い世代にも受け入れやすい物語になっていると私は感じました。
 そして焼夷弾の恐ろしさが前面に押し出されている物語でした。

●スイングアウト・ブラザーズ

著者 石田衣良
【内容紹介】
 大学卒業から十一年、ほぼ同時に彼女に振られた同級生三人組。冴えない彼らは、大学時代のあこがれの先輩・河島美紗子がはじめた男性向けエステティックサロンの第一期特待生になった。腕利き講師たちが用意した数々の課題をクリアして、目指すはずばりモテ男! 見た目だけでなく内面まで磨き上げようと悪戦苦闘の空振り三人組は、女心を動かす男に変身できるのか――
裏表紙より

【感想】
 石田衣良的モテ男養成講座!
 大学を卒業して11年。仕事は順調ながら同時期に彼女にフラれたヤノッチ、コバ、ホリブが、大学時代の憧れの先輩が経営するエステサロンの「モテ男養成講座」を受講することになったという物語。
 「恵比寿駅改札前でナンパ実習」というのはどうかと思うけれど、参考になる部分はたくさんありました。モテポイントは4つ。
 ①ルックス
 ②経済力
 ③性格
 ④教養
 このうち経済力と性格はそうそう変えられるものではないので、手軽に取り組めるのはまずルックス。これは「高級な服を着ろ」と言う話ではなくて、「自分にあったサイズの服を選べ」という話でした。うーん、確かにいつも少し大きめのサイズの上着を来てるかも。
 そしてもう一つが教養。この本にあるように「月に2回、5000円を握りしめて、少しだけ背伸びした教養が身につきそうな本を買いに行く」。ここまでではないけれど今年に入ってから、「週に1冊新書を読む」という形で実行はしています。
 あと大切なのは「傾聴力を磨く」こと。どうしても相手のことそっちのけで、自分のことを話したくなっちゃうから。
 …というか、そもそもこの歳になってまでモテようってのは…。

●眠れぬ真珠

著者 石田衣良
【内容紹介】
 出会いは運命だった。17も年下の彼に、こんなにも惹かれてゆくー。孤高の魂を持つ、版画家の咲世子。人生の後半に訪れた素樹との恋は、大人の彼女を、無防備で傷つきやすい少女に変えた。愛しあう歓びと別離の予感が、咲世子の中で激しくせめぎあう。けれども若く美しいライバル、ノアの出現に咲世子は…。一瞬を永遠に変える恋の奇蹟。熱情と抒情に彩られた、最高の恋愛小説。
裏表紙より

【感想】
 45歳、更年期障害真っ只中の女性版画家の咲世子が、17歳年下の映像作家・素樹と恋に落ちる物語。
 お互いにクリエーティブな仕事をしているからか、それとも未婚だからなのか、はたまた打算のない純粋な気持ちだからなのか、とても美しい物語に感じました。女性が年上という設定も大きいかもしれません。
 これは私の偏見かもしれませんが、どうも中年男性と若い女性の恋愛物語にはあまり良い印象がありません。これは僻みかな。
 何はともあれ男性の石田さんが、更年期障害に苦しむ女性を描くというのが衝撃的。
 ふと考える。これから自分が17歳年上の女性と恋に落ちることはないことだけは確か。だってもしそうなったら、それは恋愛というよりはもはや介護の領域だろうから。

●再生

著者 石田衣良
【内容紹介】
 妻を自殺で亡くしたシングルファーザー、恋人から突然別れを切り出されたOL、不況に苦しみ、鉛のような心と身体をもてあます会社員…思うようにいかない人生に、苛立ち絶望しながら、それでも新たな一歩を踏み出そうとする勇気。苦しんでも、傷ついても、人は夢見ることをやめられないー。平凡な日常に舞い降りたささやかな奇蹟の瞬間を鮮やかに切り取り、かじかんだ心に血を通わせる感動の短篇集。
裏表紙より

【収録作品】
再生
ガラスの目
流れる
東京地理試験
ミツバチの羽音
ツルバラの門
仕事始め
四月の送別会
海に立つ人
銀のデート
火を熾す
出発

【感想】
 石田衣良さんが描く挫折と希望の全12編の短編集。そこには石田さんお得意の残酷シーンも濃厚な性描写もなく、ごく普通でちょっと上手くいかない、様々な年齢の大人たちの日常が描かれています。
 どの話も心に染みて甲乙付け難いのですが、年齢的に定年退職した男性がタクシー運転手を目指す〝東京地理試験〟や、若年生アルツハイマーと向き合う夫婦を描く〝銀のデート〟そして、リストラの対象になった父親と定職につかない息子の話〝出発〟は他人事とは思えませんでした。障害児を抱えた家族の物語3編もgood。
 またお気に入りの短編集が増えました。

●戦争とは何だろうか

著者 西谷修
【内容紹介】
 軍事力で平和は守られるのか?敵は誰なのか?宗教戦争からテロリストとの戦争まで、戦争の歴史を辿る。日本の戦後が終わり、世界が戦争状態に入ろうとしている今、改めて戦争とは何なのかを考える。
裏表紙より

【感想】
 世界の変化に伴って戦争がどう変化してきたかを解説した本です。
 まず押さえておきたいのは、どんなに正義を声高に叫んでも、戦争は「破壊と殺戮」以外の何物でもないということ。
 国家vs国家の戦争は、世界全体を巻き込む世界規模の大戦へと広がり、核兵器の登場と開発競争による米ソ冷戦の状態を経て、現在は国vsテロの戦いへと変化しています。
 国家は個人の命を害してはならないとして死刑制度が廃止される一方で、テロ組織との戦争は「問答無用で人を殺すこと」、「殺されてもいい人間がいること」を肯定したという話は衝撃的でした。
 戦争を操っているのは国家ではなくて国債ファンドやグローバル企業を中心とした経済であるという話も。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週は最初にも書きましたが、もう「石田衣良さん一色」と言っていいくらいの一週間でした。
 本文でも書きましたが石田さんって「バイオレンスと濃厚な性描写の作家さん」だと勝手に想像していましたが、読んでみてその引き出しの多さに驚きました。
 このブームはまだしばらく続きそうです。何せ30冊以上買い込みましたから。
 よかったらお付き合いくださいね。

最後に、
 読書っていいよね。


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