見出し画像

【読書記録】2023年4月16日〜4月22日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 あっというまに4月も下旬。
 よく「読書の秋」なんて言いますが、実は読書に最適なのは、春から初夏のこの時期なのではないかと思ってしまう今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 そんなこんなで、今週出会った本たちをざっくり紹介します。

【2023年4月16日〜4月22日に出会った本たち】

●REVERES

著者 石田衣良
【内容紹介】
 ネットで出会い、メール交換だけで親しくなった千晶と秀紀。仕事や恋愛について、身近な人間には話せないような本音も、メールでなら素直に語れる。けれど、ひとつだけ、嘘をついていることがあった。実はふたりとも、性別を偽っていたのだ。相手を同性と思いながらも、次第に心惹かれてゆくふたりだったがー。性別や外見など、現実の枠をこえて心を通わせる男女の、新しい出会いと恋の物語。
裏表紙より

【感想】
 アパレルの輸入商社に勤める女性・千晶と、ウェブデザイナーの男性・秀紀。二人はお互いに性別を偽り、ネットの世界で交流を深めます。
 主人公二人がリアルとネットでは逆の性別で、仕事や恋愛の相談をしているので、読者としてはそれを整理しながら読んでいかないと誰の話なのか混乱してきます。
 読んでいていつも使っている読書脳の隣の部分を使っている感覚でした。
 大筋はネット上で盛り上がって、実際に会って失敗して、最後にはお互いを認め合った上でのハッピーエンドでめでたしめでたし。

●余命1年のスタリオン 上・下

著者 石田衣良
著者 石田衣良
【内容紹介(上巻)】
 芸能界への登竜門「スタリオンボーイグランプリ」でデビューし、“種馬王子”の異名を持つ小早川当馬。俳優として着実にキャリアを積み、プライベートも好調だったが、突如、がんの宣告を受ける。余命は一年ー。残り少ない時間で、自分は世界に何を残せるだろうか。俳優として、一人の男として、当馬の最後の挑戦が始まる。
裏表紙より

【感想】
 芸歴15年の中堅俳優・小早川当馬は肺癌で余命1年を宣告されます。
 そこから当馬は自分の生きた証を残すために、自ら主演を勤める映画を作ることを決意します。
 上巻は、いわゆる闘病モノの辛くて、苦しくて、悲しくて、感動して…。という物語とはひと味違います。なにせ主人公の当馬は「種馬王子」の異名を持つ下ネタありありの二枚目半俳優。もちろん彼女も複数人となかなかに派手。
 全体に軽いタッチで書かれているとはいえ、やはり癌であることと余命を知らされた後の母親の言動、そして小児癌の少年との約束にはグッときました。
 この物語、主人公は余命1年を宣告された俳優の当馬ですが、新人マネージャーのあかね、そして当馬と同じコンテストで優勝した新人俳優・勇馬の成長物語でもあります。
 下巻は映画のキャストも決まり、やっとクランクイン。当馬のまさに命を削るような演技、それに応える共演者たち、スタッフたちの映画にかける情熱。やはりベテラン女優にして当馬の恋人の一人でもある都留寿美子の存在感が抜群です。
 映画制作に加え、もう一つ当馬が願ったことは…。
 最後は抗がん剤の副作用と闘う延命治療ではなく、大切な家族と自分の家で穏やかな時間を過ごす緩和ケアを選択する当馬。
 短い人生を直向きに駆け抜け、しっかりバトンを渡した種馬の人生に乾杯!

●約束

著者 石田衣良
【内容紹介】
 涙のあとには、きっと明日を生き抜く希望が生まれるはずー人生の難局に立ち止まった人々がもういちど歩き出す瞬間を、小説の名手が鮮やかに切り取った珠玉の作品集。クラスの親友を目の前で突如うしなった男の子の深い傷と再生を描く表題作をはじめ、息子の車椅子を押す父親が家族を思い歯を食いしばる「青いエグジット」、十歳のひとり息子が病魔に襲われ、大手術にのぞむ一家の奇跡を綴った「ハートストーン」などのほか、本書書き下ろしとなる「みどりご」を加えた全八篇を所収。
裏表紙より

【収録作品】
約束
青いエグジット
天国のベル
冬のライダー
夕日へ続く道
ひとり桜
ハートストーン
みどりご

【感想】
 難病、引きこもり、障害、別れなど、どん底からの再生がテーマのグッとくる短編集です。
 特に2001年に起きた池田小事件に衝撃を受けて書かれたという表題作〝約束〟、引きこもりで片足をなくし自暴自棄になった青年が、再び人生を歩み出すまでを描いた〝青いエグジット〟、そして不登校の少年と廃品回収業の老人の交流を描く〝夕日へ続く道〟は特に心に残りました。
 自分の年齢から、どうしても父親の目線で物語を読んでしまいますが、5年、いや10年後、〝夕日へ続く道〟の源ジイのような含蓄のある言葉を、自分は子供や孫に残してあげられるだろうか・・・。

 ちなみにこの本はもともと角川書店から単行本、文庫本が刊行されたものを、小学館文庫として再文庫化したもので、この中に収録されている〝みどりご〟は角川文庫版には収録されていません。ご注意を。

●コンカツ?

著者 石田衣良
【内容紹介】
 仕事はバリバリ、スタイルだって顔だって悪くないのに、なぜか恋愛がうまくいかない29歳の岡部智香。あだ名は、デートでいい雰囲気になっても最後までいけない“ヤリスン”。仲良しアラサー4人組で、理想の結婚を目指して合コンをくり返すのだが…。働く女性たちのリアルな泣き笑いを描く婚活エンタメ決定版!
裏表紙より

【感想】
 29歳、大手自動車メーカー勤務の智香、智香の大学時代の同級生彩野、大学時代の先輩でバツイチの沙都子、肉食系ロリータデザイナーの結有。一つ屋根の下で暮らす4人の恋愛感と結婚感を綴った物語です。
 男同士だってそんな話になるわけだから当たり前といえば当たり前ですが、とにかく赤裸々。その女性の本音(なのかな)を男性作家さんが書いているというのがまた衝撃。女性がこの本を読んだらどう思うのか感想を聞いてみたいです。
 「お見合いパーティは誘えない男と待ってるだけの女で大繁盛」、「いい勘違いの連続が恋愛」という言葉が心に残りました。
 4人全員がそれぞれの幸せを掴むことができてよかった。
 あとひとつ、主人公・智香の両親の離婚とそれぞれの恋愛。60歳過ぎの恋愛や性というのも、ちょっと新しいテーマに感じました。

●ブルータワー

著者 石田衣良
【内容紹介】
 悪性の脳腫瘍で、死を宣告された男が200年後の世界に意識だけスリップした。地表は殺人ウイルスが蔓延し、人々は高さ2キロメートルの塔に閉じこめられ、完璧な階層社会を形成している未来へ。「…この物語は平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。『ブルータワー』へようこそ!夢みる力が決して失われる事のない世界へ」。
裏表紙より

【感想】
 石田さんにしては珍しい本格SF作品です。
 主人公は脳腫瘍の末期で余命いくばくもない男性。彼は脳腫瘍の発作に襲われるたびに21世紀から200年先の未来へ意識だけが飛ばされます。
 その200年後の世界というのが、人類が作り出した致死率90%の強毒性インフルエンザに恐怖する世界。80年代のアニメ「戦闘メカ ザブングル」の世界観に近いかもしれません。いや強毒性のインフルエンザに恐れるという点から考えると、むしろコロナ禍の現代か。
 物語の中で幾度も語られる「全力で誰かのために働くことが、実は自分自身を救うことになる」という言葉が心に残ります。

●骨音 池袋ウエストゲートパークⅢ

著者 石田衣良
【内容紹介】
 世界で一番速い音と続発するホームレス襲撃事件の関係は?池袋ゲリラレイヴで大放出された最凶ドラッグ「スネークバイト」の謎とマコトの恋のゆくえは…。現代のストリートの青春を生きいきと描き、日本のミステリーシーンに新しい世界を切り拓いた、ご存知IWGP第3弾!ますます快調のTV化話題作。
裏表紙より

【収録作品】
骨音
西一番街テイクアウト
キミドリの神様
西口ミッドサマー狂乱

【感想】
 今回の事件はホームレス襲撃事件、地域通貨にまつわるトラブル、レイブとドラッグなど。
 このシリーズには魅力的な芯の強い女性が度々登場します。
 今回は義足のシンガー・トアコ。彼女の直向きさが眩しい。そしてもう一人忘れてならないのがマコトの母。なにせ熱を出して倒れた女の子を自宅に連れ帰ったマコトへの第一声が「おまえ、そんな子どもさらうほど飢えてんの?」ですから。コレは破壊力抜群!

◎心に残ったフレーズ◎

 ほとんどの組織はうまくいかずに努力しているあいだはダメにならない。腐り始めるのはたいてい成功してからだ。
〝西口ミッドサマー狂乱〟より

●sex

著者 石田衣良
【内容紹介】
 好きな人とたくさんー。夜の街灯の下で。図書館の片隅で。入院中の病室で。異国の地で。最後のデートで。まぶたの裏で、なにものかに祈りながら。性がゆたかに満ちるとき、生は燦然とかがやく。だからセックスは素晴らしい。頭と心と身体が感じる最高の到達点を瑞々しく描いた、すべての男女に贈る感動の12編。
裏表紙より

【収録作品】
夜あるく
文字に溺れて
蝶をつまむ
絹婚式
クレオパトラ
ソウルの夜
白い夢
落葉焚
最後の滴
二階の夜
ダガーナイフ
純花

【感想】
 タイトルそのまんまの官能小説集でした。
 どの話もやってることは変わらないのだけれど、やっぱり深いというか、永遠のテーマみたいな。
 どれも純粋なsexの物語で、打算とか計算とか暴力とか支配といったマイナスの要素がなくてホッとしました。
 どの話が好きかを書くと自分の性癖を公言してしまうみたいで恥ずかしいのですが、事故で亡くなった奥さんの幽霊と一夜を共にする〝白い夢〟と、乳幼児突然死症候群で幼い娘を亡くした夫婦の物語〝純花〟はただの官能小説では得られない物語としての満足感がありました。ただ〝二階の夜〟だけはちょっとどうかと。

●漢方的スローライフ

著者 幸井俊高
【内容紹介】
 現代は環境も病気も複雑。部分だけ治しても、根本の改善にはならない。全体のバランスを考える漢方で、きょうから心身をリフレッシュ。
裏表紙より

【感想】
 中医学を学び漢方薬局を経営する著者が、漢方とは、東洋医学とは何かをわかりやすく解説した本です。
 まず「人間の身体は5万年前からほぼ変わっていないのに、生活環境はここ数十年で激変した」という話に納得。そりゃー体調も崩しますよね。
 その後西洋医学と東洋医学の大まかな歴史と考え方の違い。そして体調を崩す4つの原因。体調を崩しやすい体質が5つ紹介されています。
 結論は体質を改善するために最も大切なのは食生活。具体的には野菜多めの和食が基本なのだそうです。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週もほぼ石田衣良さんの1週間でした。
 これまで読んだ石田さんの作品は29冊。IWGPもまだ3冊目だし、人気の高い〝娼年〟シリーズも読んでいないし、しばらくは石田衣良さんブームが続きそうです。
 よかったらお付き合いください。

最期に
 読書っていいよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?