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【読書記録】2023年8月20日〜8月26日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 お盆が終わり、夏の甲子園の優勝校が決まり、24時間テレビが放送され、北海道・東北以外の小・中・高生の夏休みも数日を残すのみ。
 学生の皆さん、宿題は終わりましたか?
…なーんて質問はヤボかな?
 私はといえば、始業式の3日くらい前になって、やっとお尻に火がつくタイプだったので、何だかこの時期になるとソワソワしてしまいます。

…ということで、今週も出会った本たちをざっくりご紹介。

【2023年8月20日〜8月26日に出会った本たち】

⚪️クランクイン

著者 相場英雄

【内容紹介】
 とある日。広告代理店に勤める根本に、ベストセラー小説を映画にするよう社命がくだる。映画好きの根本は喜び、映画製作に邁進するがトラブル続出……果たして映画はできるのか。『震える牛』『ナンバー』『トップリーグ』の著者が満を持して放つエンタメ小説の快作!

裏表紙より

【感想】
 相場英雄さんといえば重厚な警察小説と経済小説の書き手という印象があって、そんな相場さんが描く映画制作の舞台裏って、どんななんだろうと手に取りました。
 私は映画に明るくないのでピンとこない部分もありましたが、読み始めから名作映画の小ネタ満載で、映画好きは多分ニヤリとすること請け合い。
 主人公の広告代理店勤務・根本が映画のプロデューサーとして奮闘する物語は、根本が小さい頃に亡くなった母親の秘密に迫り…。
 わがまま原作者・庄野への二度の説得に用いた手段に腑に落ちなさを感じ、読了後にレビューで指摘しようと思ったらなんと!?最後の最後でそれもぶっ飛ぶ展開に只々唖然。思わず「えぇぇぇっ!」と声が出てしまいました。この衝撃は、荻原浩さんの〝噂〟や、井上夢人さんの〝ラバー・ソウル〟以来かも。

⚪️トップリーグ

著者 相場英雄

【内容紹介】
 「トップリーグ」とは、総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだごく一部の記者を指すー大和新聞の松岡は、入社一五年目にして政治部へ異動、またたく間にトップリーグ入りを果たした。一方、松岡と同期入社だった酒井は週刊誌のエース記者として活躍している。そんな酒井が「都内の埋め立て地で発見された一億五千万円」の真相を追ううちに、昭和史に残る一大疑獄事件が浮かび上がってきて…。各紙誌で大絶賛され、続々重版された「官邸」の最大のタブーを抉る問題作、熱望の文庫化。

裏表紙より

【感想】
 日本を動かす総理大臣や官房長官、与党の大物幹部から突っ込んだ話を聞くことができるごく一部の記者を「トップリーグ」と言うことをこの本を読んで初めて知りました。
 この物語は大手新聞社在籍15年の松岡と、松岡の元同期で現在は雑誌記者をしている酒井が主人公。
 物語中に登場する芦原首相は多分、今は亡き安倍首相、阪官房長官は菅官房長官。そして物語の鍵となるクラスター事件は昭和の大スキャンダル「ロッキード事件」。
 お恥ずかしながらこの小説を骨の髄まで味わい尽くせるほどの政治知識がない私。それでも最後に究極の板挟みにあう松岡の苦悩は容易に想像がつきます。
 結局彼はどっちを選んだのか。

⚪️トップリーグ2  アフターアワーズ

著者 相場英雄

【内容紹介】
 大和新聞の政治部で、官房長官のトップリーグとして活躍していた松岡直樹は、史上最年少で特別編集委員になっていた。一方、大手出版社の週刊誌でスクープを連発していた酒井祐治は、京都で小さな学習塾を開いていたが。そこに元同僚の大畑康恵が突然現れた。「五年前の酒井さんの仇討ちをします」-昭和の一大疑獄事件のさらなる深い闇とは!?「永田町」激震のノンストップ政治エンターテインメント。驚愕のラストが待っています!!

裏表紙より

【感想】
 主人公の松岡がどっちを選んだのかが気になって、続けてこの続編を手に取りました。
 前作〝トップリーグ〟から5年、
 あの時松岡が選んだ答えは決して間違いではなかったと思います。しかし結果として大切な元同僚の酒井の志を踏み躙ることになり、そのことにずっと苛まれ続ける松岡。そんな中再び浮上するクラスター事件の陰。そこには松岡の父親の死の謎まで絡み…。
 その他にも奔放すぎる総理の奥さん問題とか、コロナ前のの政治のゴタゴタがぎゅっと凝縮した感じで、しかも味方だと思っていた人が実は…!?なんて展開もあって読み応え抜群でした。
 実際今のマスコミで、「記者は国民の代理」だと心に留めて仕事をしている記者は、果たしてどのくらいいるんでしょう。
 マスコミ関係者には一読をお勧めします。

⚪️キッド

著者 相場英雄

【内容紹介】
 上海の商社マン・王のボディーガードを任された香港在住の元自衛隊員・城戸。王の秘書も連れ降り立った福岡空港で、こちらを見張る刑事の存在に気づく。想定外の事態を訝り始めた矢先、秘書が王を射殺して自死、城戸は殺人の濡れ衣を着せられてしまう。警察は秘密裏に築く監視システムを駆使して城戸を追うが…。傑作ノンストップ警察ミステリー。

裏表紙より

【感想】
 まず、この物語が気になった人は、〝血の轍〟と、〝トップリーグ〟を先に読むことをお勧めします。なぜなら公安の志水、そして週刊新時代の大畑が重要人物として登場するから。
 〝トップリーグ2〟で大畑がチラッと語っていた「元自衛官と逃げ回った」ってのは、この話だったのか。
 この物語で一番気になるのは、公安が捜査のために用いる最新の情報収集システム。コレはどこまで本当なんだろう。もし事実だとしたら、もはやプライバシーなんて無いに等しい。
 政治の話が絡んでくるからか、幕引きはどうにもあっさりというかうやむやというか。
 兎沢刑事の娘さんの墓参りに行ったり、最後に香港に足を伸ばしたりと、一見サイボーグ的な公安の志水の、人間臭い部分を垣間見ることができたのがなんだか嬉しい。

⚪️高校生からのリーダーシップ入門

著者 日向野幹也

【内容紹介】
 新しいリーダーシップを知り、学ぼう。誰もが持つべきあるいは持ちうるスキルだ。問題解決に力を発揮するのみならず学びや生活の場も豊かにする。

裏表紙より

【感想】
 タイトルの頭に「高校生からの」とありますが、決して高校生向けという意味ではありません。
 ただこれを実体験として学ぶには、やはり部活動やクラス対抗イベント、委員会活動なんかがある高校や大学が適していると思いました。なぜなら「リーダーシップ」とは、我々が(少なくとも私が)思っているのとは意味合いが違うから。
 私にとってリーダーシップとは、カリスマ性があって、ハイスペックで、周囲を巻き込んでグイグイ引っ張っていく能力だと思っていましたが、この本では「何らかの成果を見出すために、他者に影響を与えること」だと定義しています。
 つまり特定の誰かではなく、参加しているみんながそれぞれの能力を活かすことが大切だと。
 このことを知れただけで、私にとっては大収穫でした。

⚪️その情報はどこから? ネット時代の情報選別力

著者 猪谷千香

【内容紹介】
 私たちはいつの間にかインターネットと毎日繋がっています。知らず知らずのうちに行動や考えがインターネットに影響されているかもしれません。たくさん流れてくる情報に惑わされないために大切なこととは。

裏表紙より

【感想】
 「そもそもネットの情報は本当に正しいのか?」なんて言い始めるとキリがないし、だったら「テレビやラジオや新聞は正しい情報を伝えているか?」というと、このご時世それも何だか微妙で…。
 そんな私たちは一体何を信じたらいいのか。
 とにかく情報の海で溺れないためにまず心に留めておきたいのは、その情報の出どころは何処なのかを明らかにするということ。
 少なくとも個人が発信している情報よりは公の、無料よりは有料の情報の方が確実性が高い。…と信じたい。
 本文中にあった「インターネットの情報は確実さと安定性が欠落している」ということを忘れないようにしたい。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか?
 今週は、夏前から積んでいた相場英雄さん作品が4冊。
 そして、先週の分も含め新書が2冊でした。
 〝キッド〟の感想でも書きましたが、登場人物やエピソードなど、物語同士のリンクって、見つけるとなんだか嬉しくなりませんか?
 今まで読んできた中でこの「リンク」が巧みな作家さんといえば、最初に浮かぶのが中山七里さん、そして辻村深月さんです。
 中山さんの作品では〝テミスの剣〟と〝連続殺人鬼カエル男〟、辻村さんの作品では〝ぼくのメジャースプーン〟と〝名前探しの放課後〟のリンクが強く印象に残っています。
 それにしても、執筆時期が異なる物語同士を繋ぎ合わせる作家さんの頭の中って、一体どうなっているんでしょうね。

 この駄文にお付き合いいただいている皆さんの中で、「意外なことに、この作品とあの作品はリンクしてるんだよ」という情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「コメント」お願いします。その際にはできれば読む順番も。

最後に
 読書っていいよね。


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