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【読書記録】2023年8月13日〜8月19日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 仕事柄、盆も正月もなく慌ただしく働いているので、仕事中に季節感を感じることは少ないのですが、夜にふと耳を澄ますと、秋の虫が申し訳なさそうに泣いていたりして…。
 今週は珍しく、テーマをギュッと絞って読む本を選んでみました。

 早速、今週出会った本たちをご紹介します。

【2023年8月13日〜8月19日に出会った本たち】

⚪️それでも、日本人は「戦争」を選んだ

著者 加藤陽子

【内容紹介】
 膨大な犠牲と反省を重ねながら、明治以来、四つの対外戦争を戦った日本。指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそれぞれに国家の未来を思いなお参戦やむなしの判断を下した。その論理を支えたものは何だったのか。鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高生への5日間の集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感のなかで生き、考える日本近現代史。小林秀雄賞受賞。

裏表紙より

【感想】
 この本は、神奈川県鎌倉市にある栄光学園高等学校の、中高生に向けで行われた、5日間の特別講義を書籍化したものです。
 実はこの本、昨年の「夏の文庫フェア」の時に購入し、手にとっては挫折を繰り返し、結局1年間積読となっていましたが、ちょうどいい時期なので再チャレンジ!
 内容は日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争から第二次世界大戦までの歴史を振り返るものですが、ある程度わかりやすくは説明されているものの、それでもやっぱり難しく、時々加藤さんから生徒たちに投げかけられる質問に、しっかりと返答する中高生に頭が下がりました。
 近代史をあまり学んでこなかった私としては、とにかく頭と体力を使う読書でした。
 大人なのに、日本人なのに知らないことも多くて、出会えてよかった一冊です。

⚪️あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

著者 汐見夏衛

【内容紹介】
 親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸けて戦地に飛び立つ運命だったー。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。涙なくしては読めない、怒涛のラストは圧巻!

裏表紙より

【感想】
 〝それでも、日本人は「戦争」を選んだ〟を読んで、今週は戦争小説を読むことに決めました。
 反抗期の中学2年生・百合が、昭和20年の6月にタイムスリップし、特攻隊員の青年・彰と出会い恋をする物語。
 現代と過去の行き来については多少唐突な印象を受けますが、現代に生きる女の子が戦争当時の情勢や習慣、価値観などに触れることで、それまでの考え方や態度が少しずつ変わり成長していく姿にグッときます。
 彰と同じく隊に所属する他の特攻隊員たちの話や、隊を離れた板倉さんのその後、そして最後に百合が出会うあの男の子の正体など、この後の展開がとても気になります。
 どうやら続編があるようなので、機会があったら手に取ってみたいと思います。

⚪️出口のない海

著者 横山秀夫

【内容紹介】
 人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第二次世界大戦の終戦前に展開されていた。ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、青春の哀しみとはー。ベストセラー作家が描く戦争青春小説。

裏表紙より

【感想】
 戦闘機による特攻にせよ人間魚雷にせよ、こんな戦闘方法を考え出した軍の上層部に憤りを感じる物語でした。
 こうやって未来ある若者の命がまさに機械部品のように扱われていたという事実。そういうたくさんの人たちの犠牲の上に今の我々が立っているという事実を決して忘れてはならないと強く感じました。
 並木少尉が相当の葛藤と決意を胸に乗り込んだ回天が、機械トラブルで出撃を断念せざるを得なかった場面、その後自分なりの目的を見つけての再搭乗、最後に残した手紙はとても切なく、苦しく…。
 読み終えてまずコーヒーを入れ、ボレロを流しながら物語の余韻に浸りました。

⚪️永遠の0

著者 百田尚樹

【内容紹介】
 「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくるー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。

裏表紙より

【感想】
 第二次世界大戦の終戦直前、誰よりも生きることに執着し、それでも最後は零戦に乗り込んで死を選んだ宮部の物語。
 取材により宮部の人物像が明らかになっていく中で、昭和17年のラバウル、ガダルカナルの戦いの悲惨さ。命の大切さを誰よりも心に留めていた宮部が、パラシュート脱出した敵兵を撃った理由などは、読んでいて胸が苦しくなり幾度も読む手が止まりました。
 何よりも驚いたのは8時間連続で飛べるという当時最高水準の零戦を作った技術者や、その零戦を使った作戦を立案した軍上層部が、操縦する人間の気力や体力のことは考慮していなかったという話。
 これからの日本を作る世代の人たちにも、ぜひ読んでほしい一冊です。

⚪️紺碧の果てを見よ

著者 須賀しのぶ

【内容紹介】
 会津出身の父から「喧嘩は逃げるが、最上の勝ち」と教えられ、反発した鷹志は海軍の道を選び、妹の雪子は自由を求めて茨の道を歩んだー。海軍兵学校の固い友情も、つかの間の青春も、ささやかな夢も、苛烈な運命が引き裂いていく。戦争の大義を信じきれぬまま、海空の極限状況で、彼らは何を想って戦ったのか。いつの時代も変わらぬ若者たちの真情を、紺碧の果てに切々と描く感動の大作。

裏表紙より

【感想】
 テーマは同じでも〝出口のない海〟や〝永遠の0〟と少し雰囲気が違うのは、主人公・鷹志の軍人としての生き様に加え、あの時代には珍しく自由奔放に自分の生き方を貫いた妹・雪子がいたからだろうか。
 会津藩出身の父に「喧嘩は逃げるが、最上の勝ち」と厳しく育てられ、それに反発する形で軍人になった鷹志は、最後の最後になってこの父親の教えを思い出します。
 終戦直後軍旗を燃やしながら鷹志が部下に語った言葉

「我らは敗北を糧に立ち上がる防人である。いかなる時代でも、紺碧の果てを見よ」

本文より

が胸を打ちます。

⚪️零式戦闘機

著者 吉村昭

【内容紹介】
 昭和十五年=紀元二六〇〇年を記念し、その末尾の「0」をとって、零式艦上戦闘機と命名され、ゼロ戦とも通称される精鋭機が誕生した。だが、当時の航空機の概念を越えた画期的な戦闘機も、太平洋戦争の盛衰と軌を一にするように、外国機に対して性能の限界をみせてゆき……。機体開発から戦場での悲運までを、設計者、技師、操縦者の奮闘と哀歓とともに綴った記録文学の大巨編。

裏表紙より

【感想】
 今から55年前に刊行された.本書。出会いのきっかけは読書メーターに投稿した〝永遠の0〟のレビューを読んでくださった読友さんからのご紹介でした。
 日本が誇る戦闘機「零戦」を中心に描く第二次世界大戦の物語ですが、小説というよりはノンフィクションというかドキュメンタリーという感じ。
 軍からの「軽くて、長距離の飛行ができて、重武装可能な戦闘機」という一見矛盾した無理難題を実現させた、堀越二郎を中心とする開発者たちの努力には頭が下がりますが、その結果が人命軽視というのは実に日本的で、とても悲しい現実でした。
 何よりも驚くのが、その最先端技術の結晶である零戦を、その誕生から終戦までの間ずっと、名古屋の工場から飛行場までの約50キロの道のりを牛車で運搬していたという。これは本当に驚き。

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 8月15日は終戦記念日ということで、ちょっとだけ「戦争」について考えてみました。
 戦争は良くないことというのは間違いないことだけれど、軽々しく良し悪しだけを語るのではなくて、その時の状況や立場など、まずは正しく知ることが大切だと感じました。

…ということで、今年の初めから続けていた「毎週1冊新書」は、今週はお休みでした。

 そして、全然話は違いますが、noteを初めて一年になりました!

 1年間手探りでやってきましたが、何よりも毎回駄文にお付き合いいただいた皆さん、皆さんの❤️を励みに、なんとか一年続けることができました。
 本当にありがとうございました。
 これからもマイペースで続けていきたいと思いますので、よかったら遊びに来てくださいね。

最後に
 読書って、いいよね。


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