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【読書記録】2024年6月16日〜6月22日

 みなさんこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
 人生のB面に入ってから読書に目覚めたオヤジ、タルシル📖ヨムノスキーです。

 6月21日、約2週間遅れでやっと梅雨入りしましたね。
 とはいえ梅雨に入れば入ったで、ジメジメして嫌な気分になるのですが、それでもこの梅雨がないと、夏の水不足や米・野菜にも影響してくるし。
 梅雨が明けた時の夏の開放感を満喫するために、ここはぐっと我慢。

 そうそう6月20日から集英社の「ナツイチ」2024が始まりました。とはいっても、近所の本屋さんで大々的に展開されるのは7月に入ってからのようで、まだ専用の棚は作られていませんでした。
 しかし一部の対象商品はすでに平積みされていたので、それを手に取りレジへ直行し、恐る恐る「あのー、ナツイチの購入者特典って、もういただけるんですか?」と。
 …でGETしました!!

塞王の楯(上・下)、ブレイクニュース、その扉をたたく音。そして購入者特典のよまにゃ「クリップブックマーカー」

 なんかすごいかわいいので、ブックマーカー欲しさにあと何冊か買っちゃうかも。

 その前に、目の前にある「積読」をなんとかしなくちゃ。
…ということで、今週出会った本たちのご紹介に移ります。

【2024年6月16日〜6月22日に出会った本たち】

⚪️あの子が欲しい

著者 朝比奈あすか

【内容紹介】
 新人採用プロジェクトを完遂せよ。アラフォーの川俣志帆子はそのチームリーダーに突如指名された。ネットの裏工作や学生との心理戦を制し、成果を上げるが、なぜか心は満たされない。同居する男には惑わされ、猫カフェの猫ザビーだけが癒やし。このままでいいの? 独身女性の働く辛さをリアルに描く!

出版書誌データベースより

【感想】
 以前読んだ就活がテーマの物語は、ほとんどが就活する大学生目線の物語でしたが、こちらは採用する企業側視点の物語。
 不景気なこの時代に、なんとか安定した企業に潜り込みたいと考える学生と、少しでも優秀な人材を獲得したいと考える企業側双方の思惑の行き着く先は…。
 ラスト前、内定を承諾させるための面接の場面の緊張感はすさまじく、あそこまでくるとなんか恐怖すら感じます。まぁ結果的には大学生の方が一枚上手だったけれども。
 自分も数年前まで就活に携わっていて、面接の質問事項などにはとても苦労したことを思い出しました。頑張れ就活生!

⚪️声を聴かせて

著者 朝比奈あすか

【内容紹介】
 女手一つで娘の奈保子を育てた花江。その奈保子が出産のため里帰りしていた。かつて奈保子には弟がいたが、不慮の事故で亡くなっていた。過去の大きな喪失と、静かに向き合って生きてきた母娘の慟哭を、切なく繊細に描いた表題作。他に、幼稚園で他の子供とうまくやっていけない息子に苛立ち、人間関係に追いつめられていく母の孤独が胸に迫る「ちいさな甲羅」も収録。

裏表紙より

【収録作品】
ちいさな甲羅
声を聴かせて

【感想】
 子育てがテーマの中編2編。どちらも心を抉ってくる内容。
 とは言ってもこれを読んで本当に心を抉られるのは現在子育て中の、そして子育てを終えて孫の面倒をみるお母さんたちだと思います。
 多分この本を奥さんに読ませて「この気持ちわかるよねぇ」なんて言おうもんなら「あなたは子育て丸投げだったでしょ!」ってキレられると思います(汗)。
 生まれたばかりの赤ちゃんは確かに可愛い。可愛いのだけれど親としては自分が生み出した命を育てる責任がある。しかも向き合うのは自分の子供だけじゃなくて、近所の子供やその親たち。これが一筋縄ではいかないのです。

⚪️ばんちゃんがいた

著者 朝比奈あすか

【内容紹介】
 親友のばんちゃんが死んだ。以来、俺は口を閉ざすようになった。そんな態度がうざいという裏掲示板の書き込みをきっかけに、刃のような言葉が飛び交う。あの夜、ばんちゃんに対して俺が密かに計画していたことは、誰も知らないー。トンとあだ名をつけて蔑んでいた男の子。あたしのことが好きだったらしい。中二の冬、突如この世からいなくなった。中学を卒業して10年、夜の街で働くあたしは壊れそうになる「心」の守り方を、かつてトンから教わったー。表裏一体の二編から立ち上がる、未熟な魂のあやうさときらめき。

裏表紙より

【収録作品】
あいつと俺
トン骨とジュリアン

【感想】
 2011年刊行の単行本『BANG! BANG! BANG!』を文庫化にあたって改題。
 中編2編。共通するのは「ばんちゃん」という男子が不慮の事故で亡くなったこと。
 前半の「あいつと俺」はばんちゃんが亡くなったことで同級生とほとんど話をしなくなった三沢太一。後半の「トン骨とジュリアン」は、その事件から10年後、ばんちゃんが当時憧れていた同級生・山丘梢の物語。
 自意識過剰で他人の気持ちを慮れないのは思春期特有の症状かと思ったら、SNSの普及が影響しているのか大人の世界でも。
 悪口のルールや本当の味方の見つけ方を教えてくれる物語。

⚪️やわらかな棘

著者 朝比奈あすか

【内容紹介】
 自分を裏切り別の女性との結婚を決めた彼への復讐を誓う晴美、盛大な結婚式を挙げ高級マンションに住むもなぜか満たされない奈那子、子供を育てる自信がもてない母親、亜季。強がったり、見栄をはったり、嘘をついたり。幸せそうに見えるあの人も、誰にも言えない秘密を抱えてる。女同士は面倒くさい。生きるって面倒くさい。だから、みんな一生懸命。

裏表紙より

【画像】
 こんな書き方をしたら今のご時世あっちこっちから突っつかれそうだけれど、女性特有の繊細でドロドロとした思考パターンを見せつけられた感じの物語でした。
 そのあたり男は基本単純バカなのでなかなか分かり合えないし、だから面白いともいえる。…のかな?
 様々な立場の女性が描かれているけれど、一番心に残ったのは若くして母親になった亜季が娘の寝顔に語りかけるこの言葉は心に沁みます。

 いつの日かあなたにも、泣きじゃくる日がくるかもしれない。どうしようもなく、ふるえる日がくるかもしれない。誰かを憎んだり、失くしたり叶わなかったり裏切られたり傷つけられたりして、このまま世界が終わってしまえばよいと本気で願う日がくるかもしれない。
 その時あたしが、あなたの横に居られることを、今から祈ろう。あたしがあなたのために、一日でも永く生きられることを。健康でいられることを。あたしが、あなたへ吹きつける風を、すこしでも和らげてあげられるよう。そして、求められた時には、「なりふり構わずに」あなたを守れる強い自分であるように。。あなたのぶんも、あたしが祈る。

本文より

コレが究極の親の愛情なのかな。
 最終話の摂食障害に悩む布由子の話はとても切ないけれど、それでも人はキッカケさえつかめれば前に進むことができるのだと教えてくれた。

⚪️繭の季節が始まる

著者 福田和代

【内容紹介】
 新型ウイルスに対抗するため、政府が定める期間、外出を禁じられ「巣ごもり」を強制される《繭》の仕組みができた日本。しかし警察官の水瀬アキオは、仕事柄、繭の外に出なくてはならない。ある日、アキオは、相棒のAI搭載の猫型マシン・咲良とパトロール中に、無許可で外に出ている犬を見つける。飼い主宅を訪ねると、死体が発見され……。外出禁止下でもなぜか事件が起こる街で、一人と一匹が謎に迫る話題のクライシス・ノベル。

出版書誌データベースより

【感想】
 コロナの流行から数十年後の未来。幾度もウイルスの脅威にさらされた人類は、完全なロックダウン、通称「繭」システムによりパンデミックを防ごうとする。
 そんな巣篭もり中でもやっぱり事件は起こり、それを解決するために警察官と猫型AIロボットが大活躍。猫型ロボットと言ってもどら焼きが大好物だったり、秘密道具が出てくるポケットがついていたりはしません、念のため。
 基本的に社会は自粛中なので、殺人とか強盗とかテロといった派手な事件は起こりません。
 ミステリーというよりはコロナに右往左往した現代社会を皮肉ったような内容。

⚪️やきとりと日本人 屋台から星付きまで

著者 土田美都登世

【内容紹介】
 鶏肉を細かく切って串にさして焼いた、いわゆる「やきとり」が日本中に広まったのは、実は1960年代からだ。江戸の文献にも「やきとり」は出てくるが、そのほとんどが野鳥を焼いた料理のことだった。また、「やきとり」を名のりつつ、豚・牛もつが出てくる地域や店もある。なぜこのような混乱が起きるのか? 「やきとり」は日本の伝統食ではないのか?
本書は、やきとりに関する初めての総合的な研究書かつガイドである。「歴史学」「文化学」「老舗学」「社会学」「名店学」「ご当地学」「こだわり学」「調理科学」「肉用鶏学」など、さまざまな切り口でやきとりの謎に迫るとともに、屋台からミシュラン星付きまで、70軒以上の店を紹介する。

Amazon書誌情報より

【感想】
 やきとりといえばオヤジの代名詞みたいな印象だったけれど、最近はそうでもないらしい。なにせ「ワインと合うやきとり」とか、「やきとりのコース料理」なんてものまであるらしいので。
 庶民の食べ物であるやきとりの歴史や社会的位置付け、調理法や鶏肉へのこだわりなど様々な方向からやきとりを解説したのがこの本。
 やきとりの解説以外にもやきとりの名店を紹介するグルメ本的な役割を果たしています。
 読みながらここまでくると単なる「酒のアテ」には止まらない奥深い料理なのだと、読んでいて考えを新たにしました。ちなみにあなたはタレ派、塩派?

 そうそう、この本ではやきとりの部位についてはほとんど触れられていないので、そちらに興味がある方にはこの本がオススメ。

鳥肉以上、鳥学未満。
著者 川上和人

【まとまらないまとめ】

 いかがでしたか。
 先週から、ずっと積んでいた朝比奈あすかさんの本を集中読破!
 朝比奈さんとの出会いは(って、ご本人と直接出会ったわけではない)昨年2023年の夏の文庫フェア「カドブン2023」のラインナップだった〝君たちは今が世界〟でした。
 物語の中で先生が子供たちに放った「あなたたちはろくな大人にならない」
 あの言葉の衝撃といったらもう、「しばし呆然」という言葉がぴったりでした。
 新しい作家さんに出会える夏の文庫フェア。今年はどんな作家さんに出会えるだろうか。
 楽しみ。楽しみ。

最後に
 読書っていいよね。


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