油断大敵を噛み締めた夜(油断大敵の心理的な要因と対策)
今回は、油断大敵!という話です。
やればやるほど、「慣れ」はでてきますよね。慣れちゃいけないと思って自分では細心の注意を払ったつもりでも、怖いですよね。同じことをずっと続けていると気のゆるみがでてくるということがあります。
僕は様々なところに行っていまして、安全大会という講演で「安全に気をつけましょうね」という話をさせていただく機会が最近増えています。工場や林業が主ですね。林業でも、悲しいことに死亡事故が少なくならないということで、「安全確認は何度も何度もしましょうね」という中で、どうしたら安全確認をできるだろうかということ、心理学的にいうと、ここに気をつけると安全確認できる、みたいなお話をさせていただいています。
自分でそういう話をしているので、慣れは怖いと知っていたつもりで細心の注意を払っていたのですが、すっかりやってしまいました。どうしたら自分のゆるみをなくすことができるかを、ツラツラ考えていたんです。それで今回のお話でして。でも、ゆるみをなくすのは正直無理だなと僕は思っています。人の心というのはそうできているものなので。
車の運転がいい例だと思います。車の運転される方、車の運転されない方は、自転車でも少し似たところがあるので思いだしていただいて。教習所に通うと、いちいち指差し確認をしますよね。バックミラーはいいか、シートベルトはいいか、シートの位置はいいか、後ろから車はきていないかミラーで確認をして、ギアーを入れてもう1度確認をしてウィンカーをだしてやっとスタートみたいな。
僕のころはオートマがなかったので、クラッチをローに入れてハンクラかけて、と細心の注意を払ってスタートしていました。車線変更でもそうですよね。後ろ、バックミラーで見て確認してウィンカーだして、もう1回見て車線変更して、とドキドキでした。
でもそれを続けていくうちにどんどん慣れてきて、そんなことを考えなくても体が慣れている人だと、別のことを考えながら体はちゃんとスタートして、ウィンカーをだして車線変更をする。車線変更のときは意識はそちらにあると思いますが、そうできるようになっていると思うんです。
先ほども言いましたけれど、これは僕たちの脳がそうできているからです。最初は意識しなければいけないことを1つ1つ意識をしていく。でも意識は1度に1個のことしかできないので、自動化できるものは自動化していこうと働いていきます。自動化していったものは無意識に入って、慣れた行為として考えなくてもできるようになっていくのです。
このようになっているので、慣れてくると意識がそこにまわらなくなってしまう。別にこれ、言い訳ではありません。ある種仕方がないことです。なので「慣れるな」ということは「疲れろ」ということで、人間の脳の働きと逆のことをしているので、できないと思うんですよ。
では、それを踏まえてどのようにこの油断大敵、防ぐことができるのだろうということなんですが、「書いておく」しかないと僕は思います。痛い思いをするのもそうですよね。「わー、これは…うぅ」と僕のように反省をするというのも必要ですし、その反省を繰り返さないためにも、指さし確認やチェックリストは先人の知恵ですよね。すごく大事です。もう僕はつくづくそれを思いました。
なので「ここは絶対忘れるなよ!」というものがあったときに書く。ついでに「ここもちょっと危険かもしれない」、「ここも危険かもしれない」と、チェックリスト化することが1番いいんじゃないかなと思います。
開始前にチェックリストを見直したり、紙で書いていたならデバイスを見直して次からはwebやアプリに書くなど、できる限り慣れないようにする事がいいと思います。
口にだしてやってみるのもいいですね。駅員さんのやっている指さし確認は、ものすごくいいです。「発車、オーライ!」とか「なんとかよーし!」と口にだす。口にだすと耳でも聞くことになります。
口と耳をそこで使っています。指をさすということで体を使って、さらにさした方向を見るので、目も使っているんですよ。なので、4箇所の感覚器を使ってチェックしているので、抜け漏れがない。指さし確認は本当によくできているなと思っています。
何かに慣れしまって気持ちに隙ができてしまっていること、ゆるんでしまっていることは果たしてないだろうか?ということを、何か大事な場面に行く前に思い出していただき、チェックリストを書いてチェックをしてもらうと、お役に立つかと思いますので、ぜひお試しください。(僕も自戒を込めております)。
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