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【都市伝説な心理学】吊り橋が生むのは恋でなくエロ!?

*この文章は、ボイスメディア「Voicy」にて放送した内容を書き起こしたものです。noteでは通常配信の内容をメインにお届けしております。恋愛でもビジネスでもモテるをテーマに。音声でお聴きいただける方は以下からどうぞ!

岸正龍です。こうしてご覧いただいている皆さんも、ネットで心理テクニックの話を目にしたことがあると思います。心理テクニックの話というのは、いまネットにいっぱい出ていますよね。セールスや恋愛心理学などいろいろあるわけです。

なかには、「それ噓でしょ」というものもあり、間違ったコピペが次々されていき、もとの心理実験と伝えている内容がちぐはぐで、全然違って大きく乖離しているものも少なくありません。なので、今回はちまたにある『心理テクニック』の本当のところをお伝えしていきます。


都市伝説な『心理テクニック』に気をつけて!

代表格の1つが『メラビアンの法則』です。メラビアンの法則は本来、「第一印象が大事」と言っているわけでは、まったくありません。第一印象は大事です。それは『初頭効果』において言われていることであり、メラビアンの法則ではないんですね

けれど、「第一印象は大事ですよ」という文脈の中では、「メラビアンの法則を知っていますか?」とか「視覚情報が……」や「聴覚情報が……」なんかが多いと思うんですよ。

そして、今日お伝えする『つり橋効果』も都市伝説化している心理学テクニック、心理効果の1つです。つり橋効果は皆さん聞いたことありますよね。有名ですが、よく見ていくと都市伝説な実験です。

揺れているつり橋の上を歩くとドキドキする。そのドキドキ感を恋愛と間違ってしまう効果。これをつり橋効果と言います。

だから、意中の人と一緒にドキドキする体験をすると、その目の前の人はあなたのことを恋人だと思います。好きだという風に勘違いする可能性が大きくなる、と。これがつり橋効果ということですよね。

「一緒にお化け屋敷にいきましょう」「ホラー映画観に行きましょう」「ジェットコースター乗りましょう」など、身体的に心拍数があがるドキドキする体験を2人でやりましょうね、と語られていることが多いと思うんです。

それでは、つり橋効果がどういう実験だったかご存知でしょうか。僕がパパッと調べたところ、多くのサイトではこういう紹介でした。

つり橋を渡ります。その渡った向こう側に異性が立っていて、その人が電話番号を渡しました。「よかったら後で電話くださいね」と言いました。すると、がっしりとした橋での実験よりも、つり橋の方がよりも電話がかかってくる率が高かった。

こういう感じで聞いている人が多いのではないでしょうか。
これ結構間違っています、この話。


つり橋効果の真実

「つり橋ってドキドキするよ」、「ドキドキするのは恋愛になるよ」というところだけが都市伝説化したのだと思うんですよね。こういう心理学の実験は、よく調べてみると本当なんですか?ということが結構あります。

では、本当のつり橋効果がどういう実験だったかというお話を、ここからしていきたいと思います。

まず実験を行ったのは、ダットンとアロンの2人です。実験が行われたのが1974年。50年くらい前の実験ですよ。今行って同じことが起こるかっていう。まずここも疑わしいですよね。

場所はカナダです。カナダのバンクーバー近辺にあるキャピラノ川という川のつり橋と、その上流にある固定橋を使いました。つり橋は川面から70メートルのところにあるつり橋です。高いですよね。結構揺れるつり橋を使いました。


固定橋はその川の上流にあるもので、川のフラットなところからの高さが3メートル。しっかりとした橋で揺れることもなく、そんなに心配がないという。この2つの橋を使いました。

この実験は男性限定です。年齢は18歳から35歳の年齢の方を集めました。そして、橋を渡ってくる男性に、魅力的で美しい女子大生がこんな感じで声をかけます。

「あのすみません。今、風景の美しさが創造的表現にどういう風に影響するという心理学の実験をしています。ぜひ、協力していただきたいんです。具体的には今から1枚の絵をお見せします。その絵を見て短い物語をつくっていただきたいんです。ご協力いただけますか?」


女子大生が見せたのは、TATと心理学で言われている実験法の絵です。投影法と言われている実験です。けっこう悲しい系の絵が多いんですが、それで1つの物語をつくりお話をするということをやりました。

男性たちが「うん、いいよ」と言って、「この物語はこうこうこうだよ」と物語を語りました。そして女子大生から「ありがとうございました」、「この実験がどういう実験なのかもっとくわしく説明したいので、よかったら電話してください」と言い、女子大生の名前と電話番号が書かれたメモを渡します。

それで、どれぐらいの人が電話をしてきたかという実験なんですよ。

その結果、揺れるつり橋では50%の人が電話をしてきました。固定橋では13%の人しか電話をしてきませんでした。というのがこの実験の結果です。

だから、つり橋の方が50%、固定橋が13%なので、つり橋の方はドキドキする。4倍差がでるくらい電話をかけてきたということは、恋と勘違いしたのではないか。というのがこの実験です。


そのドキドキはきっとエロだ!

これが実は都市伝説だというのは、実験した母数がめちゃくちゃ少ないんですよ。何人ぐらい実験したと思います?

実はつり橋の方で18人、固定橋の方で16人です。

それだけしか声をかけていないのに、これを一般的に持ってくるのは難しいですよね。さらに言うのであれば、これバンクーバーなので、おそらくカナダ人かアメリカ人です。しかもつり橋に観光に来ている人と書かれている文献もあります。その中で、さらに「協力してください」と聞いて「協力してもいいですよ」って言った人間だけだとすると。

ここで男性の皆さまはわかっていただきたいと思うんですけど、魅力的な女性から声をかけられて「協力しますよ」と言ったときに、すでに下心があるんじゃないか、と。

しかも、つり橋の真ん中ですからね。下心まる出しでもおかしくないですよね。固定橋の方は観光じゃない可能性が高いですね。ふつうの3メートルのところにある固定橋は生活で使っている。そこで声をかけられても「よっしゃ!この綺麗なお姉さんと、ここから。うひひ」とかあまり思わないです。

なので、これまずサンプリングもおかしいなと思います。

もっとおかしいことあるんですけど。いずれにしてもこの実験自体が『かなり角度が低い』。信憑性が低いにも関わらず、このドキドキするのはすぐに恋愛関係に使えるというふうになってきているというのはどんなものかな、と。

今はコピペの時代ですからね。ちゃんとこういう文献にあたらずに出ていますので。僕も引き続き、皆さまに、ちゃんとした都市伝説じゃないことをお伝えしていきたいと思っております。



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