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【コラム】関西フットサル1部・FC大阪楽笑が勝利 ヴァクサは2部降格決定

関西フットサルリーグ1部・第11節のFC大阪楽笑 vs ヴァクサ高槻戦が10月9日、奈良県の生駒市立総合公園体育館で行われ、試合を観戦した。(文中の選手名、敬称略)

楽笑は昨シーズン12チーム中8位。元シュライカー大阪の稲田瑞穂(背番号88)や永島天太(13)らタレントを擁し、今シーズンは6位に位置している。

ヴァクサは昨シーズン2部で優勝し、関西1部に復帰した。だが今シーズンは1勝にとどまり、最下位の14位となっている。


ドライブがかかった超ロングシュートに会場はこの日、最も大きな歓声とどよめきが起こった。1-0で楽笑がリードして迎えた14分、ヴァクサの花田翔(7)が自陣から浮き球を蹴り込むと、楽笑のゴレイロ・澤野亮太(52)の頭上を越えて、ゴールに突き刺さった。

30㍍はあっただろうか。拳を握る花田にヴァクサの選手が駆け寄り、喜びを爆発させた。

ところが審判の笛が響く。ゴールは認められず、楽笑のフリーキックを示した。シュートの前にハンドがあった、との判定だった。スーパーゴールは幻になった。動画はヴァクサがX(旧ツイッター)でアップしている。

一転ゴール前のフリーキック。楽笑の稲田がシュートを放つと、ボールは壁とゴレイロの隙間をすり抜け、ネットを揺らした。

シュライカー大阪の主力として長く活躍した稲田が高い技術を見せた。ヴァクサにとっては1-1のはずが、2点ビハインドで前半が終わった。


後半序盤も楽笑がペースを握った。25分に稲田が中央でフリーになり、ゴレイロ・田原宙(99)との1対1を冷静に決めて3-0。一気に勝ちに近づいた。

負ければ2部降格が決まるヴァクサは、27分にゴレイロも攻撃参加するパワープレーに移行。残り13分ある状況で「何がなんでも勝つ」との意志を感じた辻崎陽監督の采配だった。

パワープレー開始直後、ヴァクサの山下大我(9)が得点。さらに20秒後、ファーサイドから岩圭介(20)がヘディングで決め、3ー2とした。1分間で2得点に会場は一気にヴァクサのムードになった。

ただパワープレーは、自陣ゴールをガラ空きにして攻める両刃の剣でもある。29分、楽笑のゴレイロ・澤野がヴァクサのシュートをキャッチすると、パントキック。美しい放物線を描いたボールはゴールに吸い込まれた。追い上げムードをかき消すスペシャルなパワープレー返しで4-2と引き離す。

それでもヴァクサは強い気持ちで攻め込んだ。ドリブルで右サイドの突破を試みた三浦糧太(5)が永島のスライディングで転倒した。これが故意に倒れたという判定になり、三浦に2枚目のイエローカード。レッドカードが出されて、数的不利になった。

楽笑はゴレイロも攻撃参加し、1人少ないヴァクサを攻め続ける。32分、山本和也(18)が5点目を挙げ、勝敗は決まった。

試合は最終的に9-3で、楽笑がヴァクサに勝利。ヴァクサは2部降格が決まった。若い選手たちが多いチーム。関西1部での経験を生かし、力をつけてまた1部に戻ってきてほしい。


最後にあの選手のことを書きたい。

金髪で派手なゴールパフォーマンス。楽笑の牟田口勇人(8)は、とにかく目立つ選手だ。この試合でも4分にヘディングシュートで先制点、38分にはパワープレー返しで得点した。

1年半ほど前だったろうか。彼がFリーグや地域リーグなどと一線を画した「新リーグ」を立ち上げる構想を打ち立て、興味を持って取材をしたことがある。取材は順調に終わったが、その後、試行的でも新リーグが実現不可能とわかり、記事化を見送ったことがあった。

これまでの決まりに縛られない「新リーグ」に興味を示した選手や関係者は、私も含めていただろう。一方、仕事、家庭を両立したうえで、フットサルの練習に取り組み、地域リーグ・府県リーグや全日本フットサル選手権に臨んでいる。さらに新リーグに参戦するのは、時間的にも想像以上に難しい。

ただ、そこからの方向転換が私の想像をはるかに超えていた。彼が作った「フットサルヒーローズ」のことだ。

フットサルヒーローズは元Fリーガーや、インフルエンス力のあるアマチュア選手らを集めて行う単発の試合で、演出に工夫を凝らしていた。ユーチューブで観戦させてもらったが、リーグとは違った魅力がある。11月25日には愛知県で開催される予定という。

元デウソン神戸でFリーグも経験した彼が、関西1部の楽笑に途中加入。周囲の連携は合わない部分も見えたが、個性的な選手が増えるのは楽しみだ。

関西1部も、残り2節(一部のチームは3節)になった。優勝はリンドバロッサ京都の可能性が極めて高い。残りの自動降格を巡って下位チームも必死に戦う。

最後にどんなドラマが待っているのか。シーズンはクライマックスに向かう。

(了)


フットサルの観客を増やし、競技環境を少しでも良くしたい。僕がnoteを書く理由です。サポートは取材費(交通費など)にしますので、支援して頂けると嬉しいです。