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内定斬り!?>労働法務百科>企業法務大百科

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
羽田モバイルソリューション株式会社 社長 羽田 章(はねだ あきら、35才)

相談内容:
先生先生、ちょっと面倒なことになっちゃってさ。
いやいや、単純な話なんだよ。
うちの会社で内定出してた奴がいたんだけどさ、やっぱ採用を止めようと思ってるってだけ。
理由は何かって?
まぁ、一言でいえば
「陰鬱な印象」、
横文字でいえばグルーミーって感じ?
もちろんね、ペーパーテストもしたし、面接もクリアしてる。
俺が会ったのは最終面接の1回だけだけどさ、ピンと来なかったから、内定出すかどうか悩んでたんだよ。
そしたら専務がさ、
「社長面接までの選考の成績は十分ですし、暗い印象というのも緊張してただけですよ。
体操部のマネージャーをしてたくらいですし、就職が決まったら明るくなりますって」
なんていうから、そういうものかもしれないな、と思って内定出すことにしたんだよ。
でもね、内定後に会ってみて、やっぱりあいつは変わらずグルーミー。
このご時世じゃん?
天井の電灯も間引きして節電に励んで、職場は実際問題暗いわけよ。
雰囲気だけでも明るく頑張ろう!
ってときに、ああいう奴がいたら雰囲気まで暗くなっちまう。
うちみたいに勢いだけでのし上がってきた会社には、雰囲気が一番大事なんだ。
だからさ、仕方なく、内定取消しをさせてもらうことにしたんだよ。
そしたら、いきなり
「従業員としての地位を確認する」
とかいう裁判起こされてさぁ。
なぁ、先生、内定通知なんてあくまで採用予定だし、取り消しするかどうかなんて会社の自由だろ?
言ってやってくれよ、
「でもアンタ、グルーミーですから!
残念!!
内定斬り!!」ってさ!

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:「採用は易し、解雇は成り難し」
「人を雇う」
という契約は、いったん成立すると、解消は大変困難です。
雇用と婚姻とは取引としては酷似しており、
「結婚は簡単だが、離婚は大変」
なのと同様、
「採用は安易にできるが、採用した人間を辞めさせるのは極めてハードルが高い」
といえます。
すなわち、解雇は
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法16条)
とされていますが、労働者がよほどのこと、それこそ横領・背任等の犯罪行為やこれに準じるような非違行為でもやらかさない限り、要件の充足は困難と考えられています。
では、
「採用内定を出したが、やっぱ気に入らないから、採用やーんぺ!」
としたい場合はどうでしょうか。
結婚になぞらえると、
「婚約したが、やっぱり婚約解消します」
ということになりますが、これもカンタンに解消できる、というものではなく、それなりに苦労が待ち構えています。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:採用内定の法的性質
そもそも採用内定の法的性質はどういうものでしょうか?・・・(以下、略)

以下、ご興味のある方は、

をご高覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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