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長時間労働の悲劇_残業トラブル対策法務事典>労働法務百科>企業法務大百科

企業から、顧問弁護士に対して、以下のような法律相談が持ち込まれた場合の助言方針を検討してみます。

相談者プロフィール:
株式会社ライト・ライム代表取締役 光田 萬九郎(みつだ まんくろう、36歳)

相談内容:
「女装者限定、ノーマルな方はお断り」
っていうコンセプトのバーってやつ、最近、なかなか調子が良くって、多店舗展開とかしてんだけどね。
何せ飲食業で、しかもバーって業態ということもあって、就業時間がどうしても不規則になっちゃうのよ。
それで、ちょっと不安になって相談にきたのよ。
別に、今のところ従業員から苦情が出てるとかそういうんじゃないわよ。
もちろん前に先生に教えてもらったナントカ協定とかいう届け出はしてるし、残業代だって支払ってるわよ!
といっても、給与に、何時間分かの時間外労働分を上乗せして支払う、って感じでやってんだけど。
でね、業界の噂なんだけど、深夜までやってる飲食店を経営している会社があって、少ない人数で目一杯残業させてたら、ある従業員が亡くなったらしいのよ。
それで、未払残業代とか過労に対する損害賠償責任を会社が背負わせれそうになってんだけど、役員報酬とかバンバン取ってるから、会社にはほとんど財産とかないわけよ。
そしたらね、その会社では、役員個人が賠償責任を負わされて、相当な金額を払わされたとかって、怖い噂があんのよ。
そんなことあり得るの??
ちょっと後学のために教えておいてちょうだいよ。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:違法残業のリスク
残業とは、法定労働時間を超過して働かせることを言いますが、この場合、まず労働基準法36条に基づく協定(36協定)の締結が必要です。
そして、週40時間以上勤務させるような法定外残業の場合には、残業代として基本給の25%増を支払わなければなりませんし、それが休日の場合には35%増とする等の規制が働くことになります。
加えて、これらは取締法規であるため、違反行為に対しては刑事罰(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)も定められております。
実際に、2003年2月3日には、特別養護老人ホームの経営者が、残業手当を支払わずにサービス残業をさせていたなどとして逮捕されるという事件が起きています(共同通信)。
このように、会社には、法で定められた時間を超えて従業員に残業をさせている場合には、未払残業代の支払い義務が生じることはもちろんですが、さらに、仮に超過勤務が原因で従業員が過労死してしまったような場合には、安全配慮義務違反(労働者の生命及び健康等を危険から保護すべき義務の違反)があったとして損害賠償義務まで負担するとされています(「電通事件」、最高裁平成12年3月24日判決)。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:役員個人の責任
さて、会社が責任を負うとしても、役員個人が賠償責任を負うなどということがあるのでしょうか。・・・(以下、略)

以下、ご興味のある方は、

をご高覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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