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企業法務部員として知っておくべきM&Aプロジェクト(14)_M&Aプロジェクトを成功させるためのポイントその8_(C)M&Aプロジェクトの全体的な戦略の合理性(ⅴ)_(d)正しく課題をみつける_M&A法務百科>企業法務大百科

M&Aは、
「結果とそこに至る経過が明確で一定の資源(時間と費用と労力)をかければ属人的な能力差にかかわらず予定調和的に成功ないし成果がイメージできるルーティン」
とは違い、
「正解も定石もなく、結果がどこまでいっても蓋然性にとどまるゲーム」
としての性格を有します。

このM&Aのような
「常識が通用しない、イレギュラーでアブノーマルなプロジェクト」
を進める上で、正しい目的が設定された、すなわち、状況を正しく認知・解釈し、環境や相場観を把握し、そして、現実的で、達成可能で、経済的に意味のある目的が設定された、としましょう。

また、その目的は、
「あいまいで、多義的な解釈を招く、目的」
ではなく、
「具体的な完成予想図」
であり、
「成功時の未来の姿を具体的にイメージしたもの」
であり、しかも、しびれるくらいわかりやすく、
「どんなに、理解力不足な、妄想力豊かな、アホでも、勝手な独自解釈をしでかしようがない」
形で、共有される状態になった、としましょう。

もちろん、
「楽観バイアス」
を徹底的に排除して、自分に都合よく解釈できる要素は皆無となり、そのうえ、成功者や達成した経験者の話をよく聴いて、悲観シナリオやプランB(予備案、バックアッププラン)も含めた、保守的で、現実的で、堅牢な二次目的も設計・設定・具現化された、とします。

じゃあ、
「そろそろ、目的を達成するために、目的から逆算した手段構築に入るか」
というと、まだ早いのです。

目的が正しく設計・設定・具現化されたあと、次に行うべきことがあります。

それは、
「正しく課題をみつけること」
です。

よくある戦略の誤りというのは、課題抽出をせずに、いきなり段取りを組みはじめ、実行着手することです。

「ストレステストをせず、原発をおっ立てて、後から、津波が来て、深刻な厄災を撒き散らしちゃった」
という話も、要するに、
「課題発見プロセスがあることを知らなかった」か、
「そのようなプロセスを無視ないし軽視した」か、
「課題を探索するのが面倒くさいので、やっつけで、課題探索を適当に手を抜いておざなりにして、とっとと原発作りをおっ始めた」か、
のいずれか、またはすべてが原因であろう、と推察されます。

どんなに状況や環境が正確に認識され、具体的で合理的でシビアな目的が設計・設定・具現化されたとしても、課題がよくわかっていない、あるいは課題がないと信じてしまい、不安要素や都合の悪い事象や障害を、無視したり、見て見ぬふりをしたりして、いきなり取りかかれば、大きなプロジェクトは確実に失敗します。

そもそも、人間や組織は、ミスを犯すものです。・・・(以下、略)

以下、ご興味のある方は、

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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