🅿︎78。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page29

🅿️16。🅿︎17〜🅿︎34・🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

白木徹の真意を強く求めた鈴木萌歌に対して早坂相（たすく）は、
「まだ『センターには早かった』なんて皆の前で言ったら、君を侮る者が現れて、今後のチーム編成に影響するだろう？それよりも怪我をして『運が悪かった』事にすれば、君を蔑む事にはならない」

「そんな気遣いが有ったのでしょうか？」

疑問視する萌歌を無視して続ける早坂は、

「また、新ユニット結成での『現状では君よりも他のメンバーがセンターに近い』だが、そこには博多に派遣した岩崎志保も候補に入っていなかったかい？」

「はいメンバーに選ばれてました」

「そうだろね。チーム編成に合わせて彼女をセンターとして再登板させるべく潜り込ませたんだよ。それは「現状では鈴木萌歌よりも岩崎志保の方がセンターに相応しい』と言う意味なんだよ」

意地になった萌歌は、
「それならば、挑戦者として私も候補に加えてもいいじゃないですか！」
大いに不満をぶつけますが、

「挑戦者だって？何を言ってるんだ。一つのチームに二人のセンターは要らないだろう？」

また理解不能な事を語る早坂に、呆気に取られた萌歌です。

「まだ分からないのかい？白木さんはとっくに君をセンター候補として認めているが、それ以上に岩崎志保を重要視していた。その彼女の後ろで、もう一人の主役である君を、格下扱いの晒し者にしたくなかったんだよ。二人は異なるタイプの主役として対等な扱いをされていたんだ。事実、岩崎志保の脱退後、直ぐにメンバー入りを果たしたのだろう？君は飽く迄も『岩崎志保の後任』で有って、メンバーの交代要員ではないのだよ」

驚愕の言葉に全身からの力が抜けて行く萌歌は、

「でもセンター審査は行われましたよね。他のメンバーが立つ可能性だって有りましたよね・・・」

鼻で笑った早坂は、
「そんなの演出に決まってるだろう。岩崎志保が在籍のままなら彼女がセンターで、予備のアンダーが存在するが、不在なら鈴木萌歌にと初めから決まっていたのだよ。何度も言うが、君は予備ではなく後継者なんだ。それにライブステージはファンの為のパフォーマンスなんだよ」

「それはファンを置き去りにしたインチキじゃないのですか？」

「そんな事はない。運営側は常に人気投票を実施していて、最新の結果では君と『脱退した』岩崎志保がダントツの上位だ。と言う事は鈴木萌歌、君が現在 I-１clubの トップと言う事なんだよ」

嬉しいのか残念なのか、中途半端な自分を情けなく思う萌歌です。

「アイドルとはね、プロボクサーと似ているところが有るんだ。活躍出来る年齢帯も同じだけれど、チャンピオンに立っても次々とタイトルマッチに晒される。どんなに勝利を重ねても陥落する時は惨めだ。挑戦者にノックアウトされてリングに沈むか、判定で引き摺り下ろされるんだよ。しかも、満身創痍の状態が誰の目にも明らかとなる敗北だから、新鮮さをアピールして行くアイドルの激務と一緒だよね。睡眠時間が少なくプライベートも無く、若いが故に誹謗中傷の的に晒される…。青春時代の一瞬の輝きの為に消費される存在だけど、それでもリングに立ち続ける強者がアイドルなんだ…。鈴木萌歌、センターの地位を返上した君に、その覚悟が有るのかな？」

自分に怒りをぶつけた萌歌は立ち上がり、感情を乱しながらも宣言します。
「私はアイドルです。何が何でもアイドルの頂点を掴み取ります！」

その答えに反応して立ち上がる早坂、
「それでいいんだよ。その言葉通り、次に何をするべきか考えるんだね」

早坂は、そこまで伝えると右手を振りながら部屋から去ろうとし、萌歌も後を追います。
近付いて来た彼女に、
「そうそう、今日は白木さんが言う所の『真のセンターのため』の新曲を渡して来たのだけど、君がセンターを返上したので宙に浮いてしまったんだよね」
悪戯っぽく伝えました。

久しぶりとなる早坂相の新曲と聞いて興奮する萌歌へ更に、
「どうしたら良いと思う？」
決断を促すように問い掛けながら退出しました。

部屋を出ると、そこには職員が一人控えて居ましたので、萌歌には見送りに付いて来なく良い旨を伝え、職員の案内に付き従い去って行きます。
その後ろ姿に深々と頭を下げる彼女でした。

…やれやれ、カウンセリングなんて柄ではないんだよね。でも面白い事になりそうな予感かな…
島田真夢・岩崎志保・鈴木萌歌。
この三つ巴のパフォーマンスを想定しながら、新たな曲への構想を練る早坂相でした。

彼を見送った萌歌は、今後の自分はどう振る舞うべきかを、真摯に考えながら歩き出します。

…私は白木さんに嫌われてはいない。でも、I-１clubの絶対のセンターは島田真夢に固執している。それとステージでの華やかさは“しほっち”（岩崎志保）に私は敵わない。まず、この二人に『負けるもんか』じゃ無くて、偉大な先輩だと受け入れよう・・・でも、やはり悔しい…

自分らしさとは何か、二人よりも優位に立てるものは何かと自問自答を繰り返しますが、屈辱感と自尊心が邪魔をして未来が描けません。

…ならば、今私は何をすべきか？勝手にセンターを返上し、皆に迷惑と混乱を招いてしまった事・・・謝る⁈・・・ならば、とにかく頭を下げよう。もしかしたら何かが変わるかもしれない。でも誰に・・・全員には嫌だなぁ…

page30に続く。