🅿︎93。アニメーション「ＷakeＵp,Ｇirls！」2018年回の設定page 44

🅿️16。🅿︎17〜🅿︎34。🅿︎47参照。
裏プロフィールを主軸に、公式プロフィールを補助として創作してます。

島田真夢の…擦れた藍里も有りかもね…の言葉に、林田藍里は真坂の表情で彼女の顔を見つめます。
改めて皆の顔を見渡すと、真顔の裏に笑いを押し殺す表情が見て取れます。

「私を何だと思ってるの」（サメ）

腹立たしくなり不満を口にすると、片山実波が、

「“あいちゃん”はねぇ、真面目な優等生だよ」

と薄笑いを浮かべながら口走るので、それまで自分が弄られた不満から言葉通りに受け取れず、少し思案すると、

「それってさ『面白味がない』って言う意味じゃないの」
と言い返しました。

すると、驚いた表情を見せた実波は、

「え〜私は褒めただけなんだよ。そう考えちゃうなんて、それを『擦れてる』って言うんじゃないの？」

直後に大笑いした真夢に釣られて、次々と笑いが広がります。

ハッとして恥ずかしくなった藍里は声を張り上げ、

「“みにゃみ”私を嵌めたわね！」（サメ）

と不平をぶつけますが、

「ほら、悪い方向に解釈するのも『擦れている』って事じゃないの？」（トラ）

却って淡々と反撃され、言葉に詰まる藍里でしたが、真夢の笑い声が更に高まると悔しくて黙ってはいられません。

「そう言う“みにゃみ”だって、以前は言い負かす事はしなかったよね。年齢的に先に『擦れた』のはどっちなの？」（サメ）

反撃したつもりの藍里でしたが、

「何を言ってるの？年の差はあってもＷＵＧ歴は同い年だよ、磨き合って来たから、どっちもどっちじゃないの？」（トラ）

自虐も込めて論破されるのでした。
反撃出来ない藍里は、顔を背けて口を閉ざします。

周囲は姉妹の口喧嘩みたいな問答を、温かい目で見守っていたのですが、一人真夢だけは笑い続けています。

「“まゆしぃ”笑い過ぎだよ」（サメ）

と藍里が不満を口にします。

「ごめんごめん『二人とも息がピッタリ合ってる』と思ったら可笑しくなってね…。それにしても“みにゃみ”はクレバーだね。私ツボに嵌っちゃったよ」（ライオン）

真夢の褒め言葉？に満更でもない実波ですが、二人を静視している藍里は面白くありません。
その表情に気付いた真夢は、

「藍里ぃ、そんなに険しい顔をしていたら、折角の美人さんが勿体ないよ」（ライオン）

笑みを浮かべながら優しく語り掛けると、

「そっ、そうかなぁ」（サメ）

機嫌を直し、照れ笑いを見せる藍里でした。

推し問答が一段落したようなので、自分が質問した答えを知りたい久海菜々美が、

「ハイハイ、腹の探り合いをしている“あいちゃん”と“みにゃみ”は『ネガティヴアイドル』決定として、それよりも“まゆしぃ”は志保さんに何て言ったの？」（オオカミ）

何か言いたそうな二人を置き去りにして、再び真夢に問いながら問題の映像まで巻き戻し、一時停止にしました。

皆が画面に集中すると、菜々美は更に巻き戻して再生し、岩崎志保が真夢に険しい視線を向けた瞬間に一時停止します。
直後にＲＧＲの三人からは驚きの声が上がり、他のメンバーらはそれぞれ相槌を打ちました。

「ほら志保さん、全く自分の名前を呼ばれないから徐々に不機嫌になって、ついには“まゆしぃ”を睨んでいるでしょう」（オオカミ）

菜々美が詳しく説明するも、真夢は全く場面を理解できず首を傾げます。

「『どうしてなの？』って声が聞こえない？」（ワニ）

更に菊間夏夜が説明するのですが、真夢はどう反応して良いのか戸惑います。
少し考え込むと、

「皆んなには、志保が嫉妬しているように見えるのでしょうけど、いつもと変わらない姿なのよね・・・何て言ったら良いのか分からないけれど、普通に志保の仕草なのよね」（ライオン）

困った表情をする真夢に、次々とメンバーが質問をします。

「それって、いつも志保さんから対抗心を向けられていたって事なの？それが普通なの？」（シロクマ）

「これだけのプレッシャーを受ける事が当たり前なの？とても私には耐えられない」（ワニ）

「 I-１の規律遵守と、志保さんからの突き上げで板挟みでしょう。メンタルが崩壊しなかったのですか？」（ワシ）

問い詰められるような言葉に、困った顔をしながら真夢が口を開きます。

「対抗心を向けられると言う意味なら全員からだったよ。あぁ、愛（吉川）と麻依（近藤）からは感じなかったけどね…。愛（めぐみ）は私がセンターに指名される度に、自分の事のように喜んでくれたし、麻依はチームを纏めるのに集中していたからね…。皆んなもそうだと思うのだけど、アイドルを、芸能界を目指すとか、生き残りを掛ける以上は、何らかの活動で主役を張りたいと思うのよね…。主役以外の出演者で満足しているアイドルって、皆んなの中に居る？」

全員ゆっくりと首を横に振るのを確認して真夢は続けます。

「メンバーから直接言われた事は無いけれど、規則の遵守とハードな練習に束縛され続ける中で、私がセンターに指名される度にお祝いはしてくれても羨む目が痛かったし、蔭では『自分も一度でいいからセンターに立ちたい』って囁きあったり、一人壁や鏡に向かって呟いているのを聞いていたの。今思えば当然よね、まだ世間知らずの少女が極限状態に置かれ、結果を出せなければ契約解除なのだから…。私自身も常にセンターに指名されると、それが当たり前になって『今度も勝ち取るぞ』と言う欲が出て、他に譲る気持ちは全く無かったからね…。と言うより陥落する事が怖くなったんだよ。今思えばどうでも良い事なのに、当時は人として視野が狭かったんだよ。でも志保だけは隠す事なく真っ直ぐ私を見据え、挑戦を訴えていた。素直なお姉さん（二歳年上）だったよ。こんな事言うと自虐的かもしれないけれど、お蔭でセンターに立つモチベーションを保てたんだよ『負けてたまるか』ってね。それが普通で日常のアイドル活動だったの」（ライオン）

愁を含めながら思い出深く語り終えると、いつの間にか真剣な顔で見つめられている事に気付いた真夢。
何か不味い事を言ったのかと不安になり、

「変な事を言ったかな、気を悪くしたのなら御免なさい」（ライオン）

取り繕うように言うと、

「アイドル活動ってサバイバルなんですね」（あっちゃん）

“阿津木いつか”の素っ気ない呟きと共に感嘆の声が上がり、同時にそれぞれが考え込むのでした。

page45に続く。