中央経済社24年9月期3Qと旧本社の状況

今週は、本当にハードな一週間でした。

月曜は市場がまさかの大暴落。次々と指値が約定し、気づけば中央経済社もS安に。震える手で追加購入しましたが、リーマンショック当時の恐怖がよみがえり、吐き気を催すほどのストレスでした。特に週の半ばまでは不安定な相場が続く中で、日中は張り付きで株価のチェック、夜はNYダウが気になって眠れないという日々が続いたため、株価のみならず視力までも下がってしまいました。

週の後半になると株式市場は落ち着きを取り戻したものの、宮崎での地震を発端とした南海トラフに脅かされる日々。金曜日の夜には関東で緊急地震速報が鳴り響くなど、本当に落ち着かない、ストレスの多い一週間だったと思います。被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

そんな中でしたが、8月6日の火曜日13時に中央経済社の3Q決算が発表されました。個人的な感想を記しておきます。

*ディスクレーマー*

テンプレで恐縮ですが、ディスクレーマーは以下のポストに記載の通りでお願いします。あくまで個人の意見を書き散らかしているだけで、投資助言等ではないし、なんら内容に責任を持てるものではないことをご了承の上、ご覧ください。
https://note.com/9476/n/n2d660946cf56


まずは各数字を見てみると、売上高2,274(+0.4 %)、営業利益76(+241.2 %)、経常利益93 (+118.2 %)、当期利益52 (+91.0 %)となっています(いずれも単位は百万円)。株探ニュースでは「中央経済HD、10-6月期(3Q累計)経常が2.2倍増益で着地・4-6月期は黒字浮上」と強めの見出しがついていますが、昨年の3Qは本社移転のコストが発生していたので、二期の単純比較はあまり意味がありません。

上記は、過去5期分のデータ(2019年9月期〜)と比較した結果です。見出しほどのインパクトはなくとも、3Qのみの決算としてはそこそこ良かったと判断しています。過去5期を含めた6期でも上から3番目の数字となっており、3Qまでの累計を見ても、最終的に1.5億円近い営業利益を出した2021年,2022年に近い数字となっています。

また、5月に発表があったように、今期の累計決算には2Qの時点で26 百万円の特別損失(流通倉庫として使用していた建物の老朽化に伴う使用停止による減損損失)を抱えていますので、実際の純利益としてはさらに上振れしていると言えます。もっとも、4Qに旧本社の解体が終わるので特損が予定されてはいるのですが…、

https://www.chuokeizai.co.jp/ir/press/pdf/20240510tokuson.pdf
特別損失の計上に関するお知らせ


決算短信(p.3)に「前期に比べ新刊点数・部数がともに増加するとともに、返品率が減少いたしました。」と記載があったのも、(個人的には)ポジティブサプライズでした。6月に発売された四季報には「【横ばい】書籍の新刊点数は前期比約1割増の400点近くに回復。値上げも進める。ただ、返品増える。大学向け教科書も急減速。営業益横ばい。」と書いてあったので…。何か4-6月にヒット作が出たのかもしれません。GJです。

とはいえ、その後の株価推移を見ても、手放しで喜べる状況ではないのはよくわかっています。残念ながらこのポストのエグゼクティブサマリー冒頭に記載した内容に通じる課題も感じました。

「はじめに、作成者は中央経済社の持つ資産(IP、不動産、現金同等物)を高く評価している一方、企業価値の向上・株式市場における評価が改善されない状態に強い不満を抱いています。」

https://note.com/9476/n/n2d660946cf56

率直に言うと、業績に不満はありませんが、株主とのコミュニケーションが不足しているため、市場の評価に繋げられなかった、ということです。上場企業のIRは100%株主の期待に応えろとは言いませんが、中央経済社の株価は地合いに関係なく決算後に(主に成り売りで)下落して始まることが多く、今回の決算でも翌日にその動きが見られました。

具体的に言えば、今回の3Q発表と合わせて業績修正も株主優待も出なかった、つまり株価対策が打てなかったことです。3Qの発表があった火曜の13時は、月曜を大底に日経も大きく反転していたタイミングでした(日経平均は、13時の時点で前日比+3000円を超えていました)。今週は決算発表が重なった週でもあったため、ソフトバンクグループやNTT、伊藤忠、キヤノンなど、多くの企業が自社株買いを打ち出しました。


中央経済社も、PBRには課題を持っている、つまり自社株が割安であるのはわかっていたはずですので、前述の業績修正や自社株買いの枠設定など、株価維持にポジティブな影響を与えるIRが出すことで、市場の評価を改善できる良いタイミングだったのではないかと思います。

他方、当社のPBRは約0.4倍であり、この指標を基準とした場合には市場評価との間に乖離が生じております。当社は今後も付加価値や収益力強化や株価上昇に向けた努力を続けるとともに、市場との対話を促進し、当社の経営や事業価値に対する適正評価を得られるよう努めてまいります。

中央経済社IR:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(2023年5月)
https://www.chuokeizai.co.jp/ir/press/pbr/009989.html


上記の企業で言えば、伊藤忠商事は自社株買いにとどまらず、デサント・タキロンに対するTOBも発表しました。極端な話を言うと、中央経済社も月曜大底の株価(S安418円・時価総額18.39億円)であれば、浮動株50%と仮定しても、手元の現預金だけでMBOが実施できたほどの安値だったのです。

また、3Q発表に合わせた業績修正も行われませんでした。過去の数字を振り返ると、中央経済社は2Q、4Qに利益が集中しており、11月上旬に業績修正を出す、というのが2021年から2023年まで3年連続で続いています。今回はどのように判断されたのか、慎重なだけなのか、今年は業績修正があるのかは分かりませんが、今回のような地合に直面したタイミングでは、せめて昨年比でプラスになる程度までは業績の上方修正ができたのではないかと思います。前日に強烈な下落となった中でも継続保有してくれている株主に対し、せめて不安を和らげる優しさは持っていて欲しかったところです。(必要なら11月に再度修正すればいい)

勢いで書いておくと、正直、もう少し株主に優しくても良いと思ってるんですが、甘えすぎなんでしょうか…。今回の暴落は地合いの悪化が原因ではありますが、上場維持基準となる株価をたった一日で割り込んでしまった状況です。あること無いことIRを出せと言ってるわけではなく、今回で言えば業績の修正や株主優待の発表というカードはあるでしょうし、なんなら自社株買いという選択肢もあったはずです。

引っ張りに引っ張っている株主優待についての発表も同様で、昨年12月の実施発表後、決算を跨ぐたびに、漫画カイジに出てくる利根川さんの顔が思い浮かぶんですよね…。あまりに傲慢だと、いつか足元すくわれるんじゃないかと心配になるくらいです。


決算については以上ですが、木曜にランチついでに旧本社の状況を見に行ってきましたので、その話を少し書いておきます。

工事中でした

工事自体は順調だと思いますが、もうしばらく完了までは時間がかかりそうです。天気の急変や台風などが発生し始めていることを考えると、日程に余裕はないのかもしれません。今期の赤字は工事完了に伴う費用計上がかなりの部分を占めていると思うので、工事の完了が10月に伸びた場合、期ズレで特損は来期になるのかな?なんて考えながら神保町の街を歩いていました(期ズレしても、本質的な業績には関係ありませんので)。

これだけだとつまらないので、発見というかポジティブサプライズもご報告です。

大通り沿いから中央経済社の旧本社方向

Googleのストリートビューなどでは工事前に建っていたビルの様子が確認できますが、もともと中央経済社の旧本社には、大通り沿いの土地に謎の中華料理屋?と低層ビル?が建っていました。どんなに優良な立地でも旗竿地では評価額に悪影響を及ぼすため気になってはいたのですが、今回確認したところ、これらの建造物も一緒に取り壊されており、大通りに面した旧本社の土地は、整形地として扱うことができそうでした。

暑い日が続きますが、せっかくの三連休ですので、9月末の決算、その先の株主総会に向けた準備に活用したいと考えています。皆様も体調にお気をつけながら、良い休日をお過ごしください。

来週は穏やかな気持ちでお盆を過ごしたいものです。

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