(株)中央経済社ホールディングスの現状と課題について(2024年6月)

2024年9月1日追記
8月末日の時点で、中央経済社のHPにレポーティングに対する回答は掲載されませんでした。残念ではありますが、大株主とはいえ株主からの要望に答える義務は会社側にはありませんし、企業価値という結果で応えていただけるのであれば、特に不満はありません。

これに伴い、こちらのポストについては公開部分および価格の見直しをいたしました。会社からのレスポンス待ちというステータスでは株主共通の情報としてあった方が良いかと思っていましたが、返答が無いようであれば、単なる個人の企業レポートになると考えたためです。



はじめに

この記事は、東証スタンダード市場に上場している中央経済社ホールディングス(9476.T)の株主である著者が、2024年6月27日に同社取締役に宛てて送付した資料「(株)中央経済社ホールディングスの現状と課題について」をもとに作成したものです。

送付した資料との違いは、note版にディスクレーマーの追記、送付物には添付した保有株式の証明資料の有無、セキュリティ等を勘案して公開すべきで無いと著者が判断したページなどであり、本文の内容及び図表類については基本的に同一のものとなっています。また送付文章には、本資料に対しての見解及び回答について、2024年8月末日までに中央経済社HPにて公開してほしい、という旨を記載してあります。

相当量の校正は行なっているつもりですが、あくまで個人で作成したものであるため、誤字・脱字および誤用等も存在し得ます。また、一部に解像度の低い画像等も含まれます。Word換算で全35ページほどの内容のうち、無料公開は1/3程度、残りは有償での公開となっておりますが、これは、著者がいわゆるコタツ記事・まとめサイト等への全文転載・引用や生成AIを含むLLMへの無償記事提供を好まないためです。

また、ご購入の有無に関わらず、コメントおよび質問などへの回答は控えさせていただきます。以下の免責事項にも記載しておりますが、著者は公開・非公開を問わずSNS等において投資情報や意見を公開しておりません。今後、著者が中央経済社との意見交換などを行った場合、必要に応じてこのページ等を通じ情報公開に努めるつもりです。

なお、無料部分・有料部分問わず、今後こちらの記事について突然の修正・販売終了・公開停止があることをご理解ください。

免責事項(ディスクレーマー)

以降の記事をお読みになる前に、以下すべての免責事項をご確認の上、閲覧するかご判断ください。閲覧・購入された場合、閲覧者は以下の免責事項すべてについて了承したものと判断されます。

この資料及び資料に含まれる情報(以下、「本資料」)は、(株)中央経済社ホールディングス(以下、「中央経済社」)の株主である渡辺敏行(以下、「作成者」)が中央経済社の経営陣に質問・要請・議論するための基盤資料として作成したものになります。

作成者は、2024年4月23日提出の大量保有報告書にあるように、中央経済社株式の5%を保有する個人投資家です。同日時点で中央経済社と経済的利害関係を有しているだけでなく、将来においても株式を保有、または経済的利害関係を有する可能性があります。

本資料は、中央経済社の株主総会における議案・議決権の行使またはその他の行為について、作成者以外の株主に共同で権利行使することを勧誘・要請するものではありません。本資料は、情報提供のみを目的としたもので、作成者は、中央経済社に対する個人の評価及び意見を本資料にて記載・表明しているのみとなります。共同保有者・特別関係者・密接関係者として取り扱われる意図又は合意がないことを明確に示します。

作成者は、中央経済社の株主が保有する議決権の行使につき、中央経済社の株主を代理する権限を受任する意思はありません。

本資料は、サービスまたは商品の提案・勧誘・広告ではなく、また投資商品及び投資売買の助言を推奨するものではありません。また、本資料は投資・法務・税務、その他のいかなる助言でもありません。

本資料は、公表されている情報(作成者は特別な検証を⾏っていません)に基づき作成されたものであり、数値及び指標など、引用元の記載があるものについては、当該引用元のデータを用いています。また、中央経済社の事業や企業価値、保有資産の評価等については、作成者個人の評価及び意見に即して記載してあります。なお、本資料にはいかなるインサイダー情報も記載していません。

本資料は、作成者が作成時点にて入手している情報により、合理的と判断する作成者の意図・認識・仮定・評価等に基づいて作成されています。特に将来の記述については、何らその結果を保証するものではなく、予測困難な要素を多分に含んでおり、実際の状況と大きく異なる可能性があります。

作成者は、正確で信頼できると信ずる情報をもとに本資料を作成していますが、当該情報の正確性・信頼性について保証を行うものではありません。また、これらの記述についていかなる責任を負うものではありません。本資料に記載した情報や根拠となった数値について、それらの更新や修正に伴い本資料を修正する義務を負いません。

本資料では、ニュースソースもしくはその他の公開情報からの引用が含まれます。これらの内容については、情報引用元に対する作成者の見解・同意を示すものではありません。

いかなる投資も、完全な資本の喪失を含む重⼤なリスクを伴います。本資料に含まれるいかなる情報(引用元の不正確性なども含みます)についても、その使用やそれに関連して発生したいかなる損失に対して、作成者は義務又は責任を負いません。

作成者は、いかなる⼈に通知することなく、本資料の全部又は⼀部を追加・変更・削除することができますが、それらを提供する義務又は不正確な情報を訂正する義務は負いません。本資料に記載された内容は、予告なく変更・更新されることがあります。

本資料の英語版が作成者により公開された場合、英語版と日本語版の記述が一致しない時には、別途明示がない限り、日本語版に記載されている意味が優先されます。

本資料及びその内容は作成者の著作物です。無償公開されている部分については、常識的な範囲での引用を許諾します。有償部分については、引用・転載等はお控えください。無断での引用等、著作権侵害については別途対価を申し受けます。

いかなる場合においても、作成者は、本資料の使用から生じる直接的又は間接的な特別損害、付随的損害又は派生的損害(逸失利益を含む)について、いかなる当事者に対しても責任を負わないものとします。

本資料は今後の議論・検討過程において、note以外のサイト等にて有償もしくは無償にて公開される可能性があります。

作成者はEDINETにて公開した情報以外には、公開(X/旧Twitter・Facebook等)・非公開(LINEグループ・Discord等)を問わず、2024年6月時点で投資情報や助言、意見を公表・掲載しておりません(中央経済社のみならず、為替、その他銘柄等の情報を含む)。

免責事項(ディスクレーマー)は以上です。


エグゼクティブサマリー

はじめに、作成者は中央経済社の持つ資産(IP、不動産、現金同等物)を高く評価している一方、企業価値の向上・株式市場における評価が改善されない状態に強い不満を抱いています。

中央経済社の株価は、過去10年間にわたってPBR1倍割れが継続しています。PBR1倍割れとは、市場から解散価値以下の評価をされているということであり、10年という長期にわたり企業価値の向上が実現できていないということに他なりません。2024年2月には日経平均株価が約34年ぶりにバブル絶頂期の水準を超えたにも関わらず、中央経済社の企業価値・株式市場における評価は2024年5月末の終値で530円、PBR 0.46(2023年9月末における株価:453円・PBR0.395、2024年3月末における株価:525円・PBR0.458)にとどまっています。この水準は、東京証券取引所より2023年3月31日付で公表された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」において「プライム市場・スタンダード市場の全上場会社が対象」とされている「プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社がROE8%未満、PBR1倍割れと、資本収益性や成長性といった観点で課題がある状況」の指摘に当てはまるように「今後の各社の企業価値向上の実現に向けて、経営者の資本コストや株価に対する意識改革が必要」であり、至急是正に向けた改革を行う必要があります。

出典:日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」(赤枠は作成者による追記)
https://www.jpx.co.jp/news/1020/20230331-01.html

そもそも、中央経済社の有価証券報告書にあるように、中央経済社は「経営の基本方針」として【当社グループは、企業経営に関する書籍・雑誌の出版を通して社会活動に参画し、その発展に貢献することを基本理念としております。1948年の創業以来、この理念に根ざした真摯な姿勢は高く評価され、出版物は広く世に受け入れられてきました。今後も経営、経済、法律、会計、税務、情報など広範にわたる企業実務のすべてを取り扱う専門出版社としての社会的役割を十分に認識しながら、読者からの信頼を拠り所にして企業価値を一層高めてまいります。】とする企業体です。

経営・会計などの知見を有しているはずの出版社が、自社の企業価値については上場取引所からの要請すら満たせない状況で、どのように読者の信頼を得ることができるのでしょうか。昨年7月には雑誌にて「PBR1倍割れ」問題の特集をしていますが、自社のPBR1倍割れが10年以上も継続している状況を改善するのが先だったのではないでしょうか。

出典:企業会計2023年8月号(中央経済社刊)

中央経済社は2023年5月25日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」と題して現状の課題認識と対応策を公表していますが、一年以上が経過した2024年5月末時点においてもPBRは1倍に大きく届かない状況が継続しています。

出典:中央経済社「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(赤枠は作成者追記)
https://www.chuokeizai.co.jp/ir/press/pbr/

このような状況を改善するために、作成者は経営陣に対し、ROE8%、DOE2%、PBR1を最低目標とした中期経営計画の策定を強く求めます。中央経済社の取締役は2015年9月期より『代表取締役最高顧問・山本時男、代表取締役会長・山本継、代表取締役社長・山本憲央、取締役・松尾武(いずれも敬称略)』というメンバーで構成されていますが、直近10年における中長期的な企業価値の向上実現はおろか、数値目標を株主と共有することすらできていません。

この中期経営計画策定をはじめとし、作成者は以下の6項目を早急に実現すべきだと考えています。

  1. 中期経営計画の策定と取締役のコミットメント

  2. 組織体制と経営報酬の見直し

  3. 株主優待の中止と中間配当の開始(増配)

  4. 保有不動産資産の圧縮

  5. 労働生産性の向上

  6. デジタルへの投資

なお、作成者は本資料をもとに経営陣と対話・議論を進め、中央経済社の中長期的な企業価値の向上と中央経済社のステークホルダー(作成者は上場企業におけるステークホルダーを「株主・経営陣・従業員・ユーザー」のコミュニティだと定義しています)にとって意義のある将来像を提起していきます。

表1:過去10年間の年度末(9月末)における日経平均・TOPIX・時価総額・PBR・売上高・営業利益(中央経済社の有価証券報告書、Yahoo!ファイナンス等のデータを元に本書作成者が作成)


・中央経済社の企業価値について

作成者は中央経済社の持つ資産(IP、不動産、現金同等物)を高く評価しており、2023年9月末時点における中央経済社本来の企業価値について、54.84〜73.6億円と評価しています。

ここから先は

4,511字 / 7画像 / 1ファイル

¥ 2,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?