東北新社が3Dに提示したNDAがきつい

法務に持ってったらブチ切れると思います…。

最初に書いておくと、自分は事業会社勤めの経験もあるので企業間のNDA(秘密保持契約)を扱ったこともありますが、ロースクール出たわけでもありませんし、なにより東北新社の万株ホルダーです。という前提で感想だけ書かせていただきます。

10月4日の朝に、いくつかのWire Service(プレスリリース的な感じですね)で配信された、東北新社に対する3Dのデューデリ関連の記事を読みました。3D側のPR会社が作った記事とはいえ、内容を読むと東北新社側のやる気というか、「絶対にDDさせんぞ」という意図が透けて見えている内容になっています。

9月26日に東北新社のIR(3Dとの協議打ち切り)が出ましたが、それを読んだ際は「ああ、NDAに対して3Dが同意しなかったんだ」という程度にしか受け止められなかったのですが、3Dのコメント読んだら、さすがにそれは無理筋だろ、という内容満点でした。こんなNDA結ぶ会社あるのかな。。。

3D側の提示した論点としては
・3Dのみが守秘義務を負うことになっていた
・3Dの代表が当事者となり損害賠償の対象になっていた
・東北新社に立証責任はなく、3Dには反証責任がある
・裁判ではなく、東北新社が認定したら損害賠償が発動
・損害賠償の額が、実損額+10億円
・3Dの守秘義務期限が無期限
・NDA締結前の情報も含めて全部NDA対象
という7点が書いてありますが、唯一最初ののみが理解できるものの、あとは100%無理筋でしょ、東北新社さん。。。

というか、こんなん結んだ瞬間に適当な理由つけて損害賠償かけて、実損額が100円だとしても、反証できなかったら10億100円の賠償金だし、払うのが社長個人って、途中から精読していくのが無駄だと思う内容でした。これは締結できないでしょう。つまりDDやらせないってことだと思います。3Dがシンガポール国籍なので、トラブった時の迅速な裁判対応に社長にも責任負わせるとか、ぜひとも外国人投資家が大口である東証としての意見を聞きたいところです。ブラックロックとかバークシャーとかといったファンドにも同じこと言えるのか、という話です。

正直、自分が当事者でここまでやられたらTOBかけると思います、腹立つもん。まあ心情的には、企業側としては、これまで長い時間と先人の努力で蓄えた財産を、一気に持っていかれるのですから、気分的には面白くないのはわかります。

ただ、それならPBR低い会社でTOBされるの嫌なところは、全部MBOしておいたほうがいいのでは、という思いもあります。なんで上場維持してるのか、というか、上場しているということは、「買われても文句言えない」ということを理解しておいてほしいです。

感想としては、東北新社も、バトル続行という選択肢を選んだのでは無いかと思いました。流石にこのNDA投げて、3Dが同意するとは思ってなかったでしょう。若干思ったのは、東北側の想定外に円安に振れたところじゃないかな。円高だと3DはSGD建でしょうから買いづらいけど、円安に振れたらまた追加購入されやすくなるだろうし。一方で、東北新社が保有している不動産の時価は上昇するだろうから、TOBのハードルは下がっていくわけです。

株主総会や議事録閲覧の対応など、配当と株価が上がったことも含め、そこそこ良いイメージを持っていましたが、この一連のやり取りを見ていると、やはり会社として古い(保守的な)部分が多いのかなぁ、と残念に思ってしまったことは否めません。

ぜひ、東北新社からのコメントをIRで読みたいです。

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