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漫画家・つのだじろう氏の1977年の【藤子不二雄】評

タイトルの『なんでもやってやろう』は、推測ですが、作家・小田 実(まこと)氏のベストセラー『何でも見てやろう』(1961年)を踏まえてるんだろう。

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☆【つのだじろう(1936-)】
★【藤子不二雄(A)】 = 安孫子 素雄(あびこ・もとお/1934-2022)
★【藤子・F・不二雄】 = 藤本 弘(ふじもと・ひろし/1933-1996)
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藤子不二雄」は1951年にコンビを結成1954年から1987年まで活動


つのだ氏が半生を語る『なんでもやってやろう』(1977年/広済堂)より引用

《_藤子不二雄氏
_彼らはご承知の通り、安孫子素雄藤本弘の二人で同じペンネームを使い、漫画を描いているが、二人の性格はまるで正反対だ。
_安孫子素雄氏 座に彼がいるのといないのとでは、飛び出す笑いの数が違う。本当はイキでおシャレでまじめな男なのだが、テレ屋で人前に出るとチャランポランをいったり、おちゃらけて見せるのである。それがまたバツグンにうまく、人を楽しくさせる。
_藤本 弘氏 無口でまじめそのもので、なにが楽しみで生きているのか解釈に苦しむほど、机に向かって仕事ばかりしている。酒も飲まず、定められた時間がくると、家にまっすぐ帰るといったあんばいなのである。_ただ、イタズラが好きなことは天下一品で、仲間をひっかけては喜んでいる。_こんなぐあいだから、社交面や遊び、そのほか外の仕事は、ほとんど安孫子が一手にひき受け、藤本は机上の仕事をする。これほど性格の違う二人が、小学生時代からの親友で、その後も一度もケンカ別れもせず、現在までやってきているというのは、奇跡に近いといってもいいのではなかろうか。それだけ二人が、お互いを大切にする大人である証拠だろう。_現在、ぼくと同じビルで仕事しているが、彼らには本当に教えられる点が多い。
 
_ぼくはかつて結婚するとき、女房にいった。まんがいち「新漫画党」の仲間や、その奥さんたちとケンカしたり、ソリが合わないなどということがあったりしたら、ぼくはお前を捨てても、仲間の方を大切にするから、そのつもりでいろ」と。_それほど大切ですばらしい仲間たちなのである。そして一番大切なことは、我々の仲間は、自分が自分に負けそうになったとき、傷をなめ合う仲間ではなく、負けるやつはかってに負ければいい、と無言で切り落とす仲間であるということだ。_だから仲間でいたければ、自分にムチ打ち、自力で皆と対等の位置を保てる仕事をしなければならないのである。》 P.180-181


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