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【お客様がいらっしゃいました.のメンバーに訊く】

「衝撃的でした。私たちにとって、生理は当たり前だったので、参加された男性の皆さんは本当に分からないんだ、と」

セミナー終わりで、NPO「お客様がいらっしゃいました.」のメンバーに時間を作ってもらい話を聞いた。
18歳の大学一年生から25歳の大学院生まで計5人。男性メンバーも一人いる。こうした活動に男子が学生もちゃんと参加してるんだ。時代は着実に変化していると思う。
そもそもこの団体は2021年に同志社大学の学生が中心となって設立されたもの。「生理の貧困」をはじめ、生理に悩む方への支援と生理に対する理解が高まることを目指して活動していく、と言うことをモットーに掲げている。普段の活動の中心は、余った生理用品の寄付を募ったり、それらの生理用品を無料で配布すること。(少し話はそれるが、この“余った生理用品”も、当初は実はピンと来なかった。妊娠で不要になった。これは理解できる。閉経で、不要になった。それもイメージ出来る。しかし、「買ったけれど合わなくて、使わなくなった生理用品もあるんです」と言われ、その“合わない”と言うことが、実はまだ完全には理解出来ない。こうしたことも取材を進めるうちに頭の中でクリアになっていくのであろうか)そのため、こうしたセミナーは、まだ数えるほどしか実施しておらず「男性向け」と言うのは、この団体にとっても初の試みだったと言う。それだけに当日を迎えるまで、本当に参加者など来るのであろうかと不安だったそうだ。来るとしても「仕方なく来ている人」が多いのではと思っていたとも言う。それが蓋を開けてみると、参加者は皆真剣で、積極的に質問も行っていた。メンバーは胸を張ってこう言った。
「関心の高さが見てとれた」と。

NPO「お客様がいらっしゃいました.」の皆さん

確かにそう。しかし、実態はと言うと冒頭のコメント「衝撃的!男性の皆さんは、本当に分からないんだ」となる。
そうなのだ。本当に、我々は何も分かっていないのだ。ごめんなさい。しかし女性メンバーの一人はこうも言った。

「男性は、私たちと同じ経験をしていない以上、こっちから伝えていかない限り、伝わらないなぁと思いました」

いやぁ、本当にありがとう。
しかし、女性側からだけ歩み寄っていただくだけでは一方通行。男性側からも一歩踏み出さねばならない。
そこで、恥ずかしさをこらえ、女子大学生の皆さんに、超・直接的な質問を試みた。

「あのぉ~、生理って面倒ですか?」

これが、長年取材を生業にしてきた者の最初の質問かと思うと、自分でも心底情けなくなる。けれど、今回は、そうした見栄やプライドをかなぐり捨てて、取材と言うより教えを乞うと言うスタンス。かっこ悪いとなど言っていられない。しかし、皆さん、実にフランクに話をしてくれた。
口火を切ったのは団体代表の同志社大学大学院総合政策科学研究科で学ぶ河野有里子さん。彼女はこう説明した。

「この団体で活動する前は、生理って面倒くさくて嫌だなと思っていたんですが、活動し始めてから、知れば知るほど面白いかなと。嫌だと言うこと・面倒くさいと思えるものが、最近よく聞くフェムテックなどで改善できるんだと知ることが出来て、今は、ちょっと前向きに考えられるかなぁと思っています」

“面倒”だと思っていたものが“面白い”と思えるようになってきた・・・その考え方こそ面白い。
しかし、この生理に関しては、同じ女性であっても、考え方、感じ方が様々あると言うのが、事態をまた複雑にしている。
メンバーそれぞれに聞くと、それぞれの回答が返ってきた。

「何とも思っていなかった、だってそれが日常だから。これからも先も、ずっとあるんだろうなと言う感覚でしかなかった。生理痛はあるけれど、皆もそんなもんだろうなと。ただ、対処していかなければと言う程度で、何とも思っていなかった。なので生理が面倒だと言う思いは今もないです。」

「私は、生理“前”に、メンタルが・・・。ずっと泣いていたりとか、学校の授業に集中出来ないとか。それが、排卵が終わって次の生理が来るまでずっと続く感じ。月の半分はフルパワーを出せていないなと思います」

「私は生理の当事者であっても、周りの人々の生理のことを理解出来ない。そこに壁を結構感じています。友達と『生理って辛い』と言う話になっても、そうだろうなと思うけれど、それを理解することは出来ない。やっぱりその辛さは個人の辛さなので、それを完全に理解することは出来ないなと葛藤を感じていて、自分の限界を感じています」

そうなのか。「生理」と言っても、女性の中ですら、それは完全な共通言語にはなっていない。同じ生理などないのだ。さらに、女性であっても、この団体の活動をするまで知らなかったことも多かったと言う。例えば「PMS」。最近ではテレビコマーシャルでもよく聞くようになったワードだ。Premenstrual Syndromeの略で、「月経前症候群」と言う。生理の三日から十日くらい前に始まる、様々な精神的・身体的な不調のことを指すらしい。先のインタビューで「生理前にメンタルが」と答えてくれた彼女が、まさにこれにあたる。しかし別の女子学生は、生理前に何となく眠たいであるとか、イライラすると感じていても、「それって、そういうものなんだろうな」と思っていたそうだ。それが「PMSなんだ」と知り、対処法も分かったので、その後は楽になったと話していた。そして、こうも言った。

「女性でも生理に関して知らないこと、めちゃくちゃあると思いますよ」

う~ん。生理当事者である女性であってもそうであるなら、男性はチンプンカンプンであるのは当たり前か。いやいや、だからと言って「生理を知ること」を諦めるわけにはいかない。その先に何か必ず新たな世界が広がることを信じて、取材を続けるのであった。きっと何か必ずある。多分やけど。自信ないけど。知らんけど(汗)。

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