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妄想レイディオ #25

~教えて!摂食障害との付き合い方~

午前0時を回り、今夜も始まりました「夜な夜な倶楽部・妄想レイディオ」
こんばんは、DJのKUNIです。
毎回、ボクの独断と偏見で気になるニュースを取り上げ、そのニュースの内容をキッカケに、知的で、お馬鹿な、お気軽トークを繰り広げます。
番組の命綱は、この一台の電話だけ。
(SE:リリ~ンと、電話が鳴る音)
リスナーの方とこの電話を繋いで、KUNIとのお喋りと、素敵な音楽で、朝までお付き合い下さいませ。
さて、先日、こんな記事を見つけました。毎日新聞の5月9日版ですね。
えっと、なになに「10代の摂食障害相談が急増、過去最多。低年齢化、明らかに」と言う見出しが躍ります。そもそも、この摂食障害、若い女性に多いと指摘されてきたことから、この番組のリスナーにも、実は同じような悩みを抱えている人もいるんじゃないかなぁ~と、今日は、この話題を取り上げようと思ったんですが、実際のところ、どんな障害なのか詳しいとこまで分んない。そこで、今日はズバリ、つい最近まで、この摂食障害に苦しんでいたと言う当事者にゲストとしてご登場いただきます。
サッコです!こんばんは!

「こんばんは」

まぁ、ゲストと言うものの、サッコとは以前からの友人で、確かに、摂食障害の話、一度はしたと思うけれど、突っ込んだところまでは、聞いていなかったよね。思い切りプライベートな話になるかと思うけど、今日は、よろしくお願いしたします。

「こちらこそ」

まず、サッコの今のお仕事は、助産師だったよね?

「はい、その通りです」

いわば、医療業界の人。もちろん、摂食障害の専門家ではないけれど、ボクら素人とは違った視点で、自分のその障害のことを語れるのではと思って、今日は白羽の矢を立てたんだけど、とりあえず、今は、おさまってるの?
手元に届いた写真を見てる限りは、元気そうだし、肌、ツヤツヤじゃん!
最近は、過食嘔吐なんてことは、ないの?

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「この半年ぐらいは、全然ないですね。肌がつやつやなのも、最近はちゃんと眠れるようになったからだと思いますよ。」

写真に加えて、『サッコの摂食障害年表』と言うのが、ここにあるんだけど、えっと、まず、中学3年時。部活を引退し、太りたくないとダイエットを開始。身長160㎝で体重52㎏だったのが、46kgまで落ちる。この時は拒食期ね?って、そもそも身長160㎝で体重52㎏であれば、ダイエットなど必要いと思うけどなぁ。まぁ、中学生女子なら、よくありそうなことなのかな?そして高校一年生のときのサッコがこれ!
なかなか可愛らしいんじゃないの。

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「はい!痩せていたときですね」

で、高校に入って、また部活を始めると、どうしようもない食欲が押し寄せて毎晩、毎朝、家で1人で食べ続ける・・・とのこと。ここが過食期。高校時代で15キロ増えたんだ。そして、大学でも体重は増え続け、体重は最大 88kgに。写真がこれね。

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た、た、確かに、ご立派にはなってるなぁ~。
そして、社会人に。最初は病院に勤めるんだよね。仕事は、まぁ順調だったようですが、この年表によると2018年に、また拒食期に入るのね?

「はい。社会に出て4年目、仕事が一通りできるようになり、新たな学びや目標が見えづらくなってきた時期でした。そこで、痩せて綺麗になれば、自信もついていろんなことに取り組めると思い、気合を入れてまたダイエットしたんです。その結果、1か月で8kgくらい落ちて、体重も標準範囲内に戻りました。となると普通サイズの洋服を着られるようになって、痩せて可愛くなったと言われて、嬉しくて有頂天になっていました」

まぁまぁ、その気持ちは、よく分る。そこまでは、何も悪いことじゃないよね?

「問題はその後です。ダイエットを始めて3ヵ月くらいで、今度は、食べたい衝動に駆られて、食べちゃう。しかし、その食べたことを後悔し、吐いちゃおうと思ったら・・・吐けたんです。その日から毎日過食嘔吐の日々が始まったんです」

あぁ、そう言うのが、過食嘔吐と言うやつなのか?

「リバウンドしていくことへの羞恥心。人と会うのも怖くなって、仕事以外、誰とも会わないようにしました。どんどんどんどん独りになっていく。すると、さらに過食はエスカレートし、冷蔵庫の中身を漁って食べたり、病院食の余ったものを隠れて食べたりとかもしました。自分でも信じられないことばかり。生活リズムもおかしくなり、注意力散漫で、仕事でもミス連発。もう駄目だと思って、一旦仕事のストレスから解放されたくて、退職することを決めたんです」

なるほど。摂食障害、確かに、それは“障害”なんだ。具体的な話を聞いてようやく分った気がする。でも、不思議。お腹って、お腹がへったら、食べたくなって、お腹いっぱいになったら、もうごちそうさま、となるもんじゃないのね?

「私は、多分、当時、お腹が空いたと言う感覚は、なかったと思います。ご飯の時間が来て、みんな食べてるし、ま、食べておこうかなと言う感じだったかと。一方、お腹いっぱいと言う感覚もなかったかな。自分の限界を超えて食べて、吐いているわけだから。満腹感や消化機能がおかしくなっている、と言う感じはありましたね」

でも、それって、決して消化機能の問題じゃなく、メンタルな問題じゃないの?ストレスが原因とか?

「私、思うんですけど。色々な依存症があるじゃないですか。ネットとかタバコ、恋愛、アルコール、私は、それらに似てるなと思うんです。なんか、そういう、自分の満たされない心を埋めようであったり、外に出せないストレスなどから、自分を守ってくれている一つのシステムじゃないかって」

うん?それって、どう言うこと??摂食障害が、自分を守ってくれている一つの「盾」になるってこと?

「例えば、過食嘔吐やったら、食べて吐くって言うことで落ち込むけれど、それはそれで、一瞬の幸福感や、ストレス発散みたいな、あぁ気持ちいいと言う感覚があるんですよ」

そうなんだ。そうかも、いや、そうかなぁ、いや、やっぱり、ちょっと分らない。

「じゃぁ、一方、拒食の時は、自分を制御出来て、気持ちいいとか、体重が落ちてきて、嬉しいとか、目標体重まで痩せることが出来て、自分が満たされた感じがするとか、そんな心が、スカッとする瞬間があるんですね。」

あっ、それは分るかも・・・

「そういう感覚にも依存的になっててしまう感じはあるんですけど、多分、そういう発散の方法とか、表現の方法がなかったら、それこそ、ホント、自傷や自殺にも繋がると思うんですよ。」

そう言えば、君のさっきの年表にも、高校時代の欄には『毎日死にたいと思いながらも誰にも相談できない日々』と言うメモが付いていた。でも、結局、君は、そうした最悪の選択はしなかった。確かに、摂食障害と言うのは自分の身を守るシステムと言う面もあるのかもしれないね。

「アルコール依存も、何かやりきれない思いとか、どうしようもないことがあるからお酒を飲む。しかし、そのお酒を飲んでる間はすごいハッピーでいられる・・・そうしたことに似ている気がします」

でも、依存症と同じであるなら、なかなか、そこから抜け出すのは難しいんじゃないの?君も、今の状態になるまでには、相当辛かったと言うこと?

「うん・・・そうですね」

では、どうやって抜け出したの?

「まず、自分と向き合うと言うのが一つのポイントだと思うんです。摂食障害、過食嘔吐していることは、自分にとってはすごい嫌なこと。そういうことをしてる自分が受け入れられない。でも、そんな自分を受け入れることからスタートするんです。摂食障害、過食嘔吐している自分を客観的にとらえて、まず、自分と向き合う。そして、そんな行為をしている自分が悪いわけじゃなくて、自分の中に、何か別の原因があるんやろなぁ~と対話し始めるのが第2ステージ。で、第3ステージでは、その問題と向き合って、必要なら、誰かの手を借りて治していく、そう言う複数の段階があるんじゃないかなと思います」

自分と向き合う、って、よく言うけど、実際のところ、どうしたらいいんだろね?

「自分と向き合う、言い換えると“自分の問題として認識し直す”と言うことですかね?」

うん?じゃぁ、サッコの場合も、それまでは人のせいにしてたとか、何かのせいにしてたってこと?

「あぁ、それはあります!確かにそれはあります。私の場合は、例えば家族、社会に出てからは、人間関係とか」

周りが悪いと思ってたんだ?

「そう、被害者意識、自分は悪くないと思う節があったと思う。周りが悪い、って。例えば、姉は痩せてて、全然太らへんのに、私は太ってて、なんで私だけこんな風に産んだんやって、産んだ親にむかつくなぁ~って。正直、そんな気持ちはありましたよね」

でも、そうじゃないんだ、と気付く。そう言うことが、自分に向き合うってこと?

「自分以外に原因をなすりつけることはできる、でも、それだと変えられない。生まれ変われるわけでもないし、周りのストレスが減るわけでもない。だから、自分が変わらないといけないな~、って気付けたんですよね」

そう気づけたキッカケと言うのは、あったの?

「キッカケと言うか、ターニングポイントになったのは、年上の友人に久しぶりに会って、迷ったんですけど、何か喋ったら、変われるんじゃないかなと思って。とりあえず喋っちゃおうとその瞬間は思えたんです。すると、その人も聞いてくれて。どうやったら治せるんかな?って、色々とその人なりに調べてくれたりして、そのときに、ちゃんとこれ、病院に行かなあかんなと思ったんですよ」

どうして、そう思えたの?

「なぜかと言うと、この苦しさを、この人にも背負わしちゃあかんと。この人も疲れちゃうなぁと思ったから」

なるほど。そこはサッコらしい。でも、ボクも、そう思うかも。

「で、実際、病院にも行って、そこで、やっぱり『摂食障害』と言う診断を受けて、カウンセリングも受けました。正直言うと、カウンセリングで、自分のことを話すことがしんどくて。話していたら色んなこと思い出して、結構心が揺れる状態になって、一旦途中で、治療は中断しちゃったんです。でも、その後、暫くしてから別のドクターのところに行くと、『過食嘔吐を無理に辞めなくてもいいよ。それより、今の考え方のままでいる方が、この先も辛いんじゃないかなあ』と言われたんです。あぁ確かに!と思って、その頃から、自分の考え方や、自分の置かれている環境を変えようと努力し始めました。今は、自分の責任で生きていければいいなと思って、自分の責任で生きだして、自分をもっと素直に表現したらいいんだと思えてきて、随分、楽になってきました」

じゃぁ、それまでのサッコって、どう生きてきていたの?苦しかったと言うわけ?

「自分の判断基準じゃなくて、人の判断基準で生きてたと思います。こんなことしたら、この人、どう思うかな?と言うような、人の目を気にしすぎていたと思いますね。両親の目とか。なんかこれ言ったら、嫌な顔をされるかなとか、判断基準がそこ。仕事をするときにも、自分がこうしたら先輩に怒られるからこうしようかなって。また、自分の想いや意見を抑えていた部分もあり、それが結構大きなストレスになっていたかなと思うし、自信のなさに繋がっていたかなと思います。だから、そこをスタイルとか、外見でカバーしようかなと考えて、ダイエットしだしたりとか、過食嘔吐して、ストレスを解消していたのかなぁと思います」

なるほどなぁ~。摂食障害の“流れ”と言うか、“構造”のようなものが分ってきたような気がする。また、なんとなく、なりそうな人のタイプも、朧気ながら見えて来た気がする。ならば、リスナーの皆さんの中にも、同じような悩みを持っている人もいるんだと思うんだけど、アドバイスをお願いするとしたら、どんな内容になるの?

「過食嘔吐や摂食障害をしていても、それはそれで、あなただからいいんだよ、って言いたいですね。摂食障害は、自分から切り離すべきものじゃなくて、自分を守ってくれているんだと。何か苦しさや、辛さがあってそういう風に表現してるだけだから、そういう状態になってても、悲観しなくて良いし、『それも自分や』と受け入れるところから始めて欲しいですね」

それが自分と向き合うことだよね。その他にも、アドバイス、ある?

「自分が安心できる環境に身を置くようにしてほしい。安心出来る人たちの中とか。できるんだったら、その人たちに喋ることかな」

じゃぁ、それらを、まとめていただくとしたら・・・

「自分を大切にしていいんだよ!ってことかな。自分の人生なんだから、誰かがそう言ったからとかじゃなくて、本当に自分がこうしたいと思うことを選ぶことが凄く大事。でもそれは一人で全部やって行くんじゃなくて、たくさんの人の力を借りてやっていけばいい、助けてもらいながらやっていけばいいんだと思いますよ」

なるほどなぁ~。なんか、摂食障害に悩む人たちだけに向けてのアドバイスじゃないかも。誰にでもあてはまることとちゃうんかなぁ~、って、ここだけ大阪弁になってもた。では、最後に、リスナーの皆さん全員にもメッセージをお願いします。

「まず、摂食障害は、誰でもなり得る可能性があることを知って下さい。そして、摂食障害になったとしても、そのことだけで、本人を責めないであげてほしいです。だって、すべての人が自分の苦しみを何らかの形で表現しているわけで、摂食障害もその表現の一つなんですから。しかし、あの人、摂食障害かも?と、気づいた場合は、早く専門の機関に繋いであげることが重要かと思いますね」

なるほど!いや~、今日は、よ~く分ったよ。確かにヘビーな内容だったけれど、みな、その可能性がある、と言うのは、知っておかねばならないことだよね~。今日はありがとう!助産師のサッコでした、って、本名、言ってなかった!(汗)ごめん、ごめん。改めて、助産師のサッコこと、深尾咲貴子さんでした。ありがとうございました。また、今度、ゆっくりね!

「は~い!こちらこそ、お話しさせていただく機会を与えて下さって、ありがとうございました。楽しかったです。では、おやすみなさい」

はい、おやすみなさい。
では、最後に、今日は、この曲でしめくくりましょう。ディズニー映画 「美女と野獣」から、「ひとりぼっちの晩餐会」♪です。でも、やっぱり 大勢で食べる晩餐がいいなぁ~。早く、そんな日が来ますように。皆さん、おやすみなさい。また、良き明日、良き朝をお迎え下さい!(了)

※ 参考:深尾咲貴子さんのプロフィール紹介ページ
https://suits.media/mtm/profile/2705

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