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【経血カップって何だ?】

「インテリアになるかもですよ」

ソルドジャパン株式会社の代表取締役・越智登志子さんは、冗談とも思えない様子でそう語った。

確かに、可愛い。
しかし、だ!男性諸君、さて、これは何だ?「これも、知らない(汗)」「これも、分からない(涙)」と萎縮することはない。女性も、まだ見たことがない、触れたことがないと言う人も多いらしい。
これが、これこそが「月経カップ」なるぞ!と、まぁ、気張って言うことでもないかと思うが、聞いたことぐらいは、男性の皆さんもあろうかと。
ナプキン、そしてタンポンに次ぐ第3の生理用品と言われ、腟内に挿入する医療用シリコンや医療用TPEなどを使用したカップのこと。
前項で紹介した「吸水ショーツ」同様繰り返し使えるという環境への優しさから注目を集めているそうだ。しかし、決してそれだけではない。と言うか、それは耳当たりの良い「キャッチフレーズ」のようなものであって、生理には、もっと解決すべき日常における切実な問題があるのだ。いやはや本当に知らないことだらけ。またまた初めて知った生理の問題を紹介する前に、まずは、この月経カップについて、その使い方をもう少し説明をしよう。とは言え、ソルドジャパン株式会社の月経カップ「メルーナ」の使い方の説明書の内容をそのまま拝借するのだけれど。
まず挿入するときは①カップを折りたたむ。②すこしかがんで力を抜き、折りたたんだまま挿入します。(尾てい骨方向がスムーズです)③一度奥まで入れ込み、軽く引いてカップを開きます。引いてみて抵抗があればセット完了です。 とまぁ、文字にすればこうなる。
体温でカップは変形し、腟にぴったりとフィットするらしい。腟内に挿入する生理用品は「タンポン」もあるが、それよりは“手前”でいいらしい。でも、そこも無感覚ゾーンらしい。と、自分で書きながらも、具体的なイメージは全くわかないし、「腟」だの「挿入」だの、こうした言葉だけで何となく気恥ずかしい。しかし「腟」と言う漢字が「肉月」に「室」と書くのかと改めて気づき、なるほどと妙に納得をした。
ところで、この月経カップはSからL、XLと様々なタイプがあるが、口径は4センチ足らずから5センチ足らずで、長さは5センチ足らずから7センチ足らずと言った感じ。インテリアとすれば、確かに可愛いが、タンポンよりは当然太いし、さらに折りたたんで挿入するなど、怖くないのだろうか。

(ソルドジャパン株式会社・寺山美緒さん)

スタッフの寺山美緒さんはこう話す。

「私も最初は、この大きさのものを入れるのかと、なんとなく怖かったです。実際、恐る恐る入れようとしても入らないんです。そこで『エイヤッ!』とすると、ちゃんと入って、入ると、こんなもんなんだと思いました。一回入ったら全然大丈夫。確かに、最初は『さぁ、やろう!』と、勇気はいるけど、ドキドキするのは、初めの1回目だけでしたね」

そうなのか・・・としか言葉が浮かばない。越智社長が補足する。

「よく言われるのが、コンタクトレンズと同じようなもの、と言うことです」

なるほど、それならイメージがわく。
そして、こう続けた。

「『こんなのが入るの?』『こわ~い』と、子どもを2~3人産んだお母さんが言う。何を言ってるんですか、と思いますね(笑)」

これまた、確かに。
ところで、この月経カップを装着している間はと言うと、全く違和感がない、全く気にならないらしい。そこで、注意書きにもこうある。「メルーナを取り出すのを忘れないでください」と。まさにコンタクトレンズと一緒だ。しかし、寺山さんは、カップならではの感覚をこう語る。

「月経カップ内に経血が十分溜まってきて、そろそろ経血を捨てに行きたいなと言う時には、コポコポ、チャプチャプする感覚はありますね」

そうなのか?そんな感覚があるのか。

「だから、使い始めた頃には、腟から取り出した後も、経血はそのまま流さずに、多い日には例えば4時間くらいでこれくらい溜まるんだと言うことを確認していました。どれだけの量が、どれだけの時間で溜まるかが分かれば、取り出すタイミングも分かるので」

ちなみに取り出すときの手順はこう記載されている。①きれいにした指でリングの根元をつかみ、カップを少しつぶす。②やさしく引っぱり出す。できるだけ傾けず力を抜く。③中身をトイレに流します。水で洗い流すかウェットティッシュで軽く拭いて再度使用します、とのこと。
確かに、ナプキンなどとは違い使い捨てではないと言うことはメリット。また、交換時間の目安も少ない日で6~8時間、多い日でも4~6時間と言うことなのでナプキンに比べてトイレに行く回数も少なくてすむのだ。
しかし、生理におけるトイレ問題は、改めて深刻であることに気付かされた。前項の「吸水ショーツ」の中では、娘に「コソッ」とトイレに行きなさいと言うのが嫌で、吸水ショーツを開発したと言うくだりがあったが、生理中はトイレに「行く」だけがハードルではない。「帰りも」なのである。
再び寺山さん。

「他人の家に行った時に、トイレでナプキンを代えて、その使ったナプキンを、さて、どうするか?と言う問題があるんです。例えば、ワンルームで一人暮らしの彼の家に行ったときなどは、なおさらですよね。」

そうなのか。折角、大好きな彼の家に遊びにいったとしても、そんな心配があるのであれば、楽しめない。それが、月経カップであれば、手ぶらでトイレに入れて、手ぶらでトイレから出てくることが出来る、と言うことか。
「トイレ手ぶら構想」。
どれだけの男性たちが、この構想立案の必要性に気付いていたか。多分皆無に近いかと思われる。
さらに、この月経カップが解決しようとしている生理の課題は「蒸れ」「かぶれ」と「匂い」だ。これは、すなわちナプキンの課題。しかし、何もナプキンを悪者にしようとするつもりはない。繰り返し書くが、ナプキンで多くの女性の活動範囲が広がった。それは間違いない。この月経カップが、日本でまだまだ認知度が低いと言うことに対して、2017年から月経カップを取り扱っているソルドジャパン株式会社の代表取締役・越智登志子さんも、こう解説する。

「それは、日本では良質のナプキンが安価で手に入るからです」

ナプキンは素晴らしい。ただ、課題もあると言うことだ。この「蒸れ」「かぶれ」と「匂い」は、ナプキンが身体から出てくる経血を体外で受け止めることによって起こる不可避な課題だ。と言うのも、液状のものを受け止めているものが、身体に、その中でも特に敏感な部分に密着しているのだから、それは蒸れるにちがいない。酷い場合は「かぶれる」こともあるだろう。また、血液は体外に出ると酸化が始まり、確かに「鉄臭い」匂いがする。女性からそうした匂いがしたと感じたことは一度もないが、女性は気にすると言う。いやはや本当に女性は大変なのだ。
再び寺山さん。

「私は旅行が好きなので、飛行機によく乗る。しかし、ナプキンを付け、ずっと座っていると、どうしても、その部分が、ムシムシする。また、座っていると、角度的に匂いが上がってきて、周囲の人が、その匂いに気付くのではと不安になります」

そうしたことが、この月経カップで解決できるのであれば、それは素晴らしい。もちろん、この月経カップのみで、生理の課題を全て解決できるものではない。越智社長も言う。

「選択肢が増えると言うことはいいことですね」

選択肢を増やさなければならないほど、生理には課題も多いと言うことだ。
多分、ボクはこの生理に関して、まだまだ理解出来ていないに違いない。

ドイツ製月経カップ・Me Luna(メルーナ)の販売 - メルーナジャパン (melunajapan.com)


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