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【吸水ショーツって何だ!?】

夜7時。大阪・梅田のラジオスタジオにゲストをお迎えした。
レディスアパレルの企画・生産会社「株式会社マーキット」の代表、宮口真由美さん。ボクは女性起業家応援番組のパーソナリティを務めている。本来この番組では、何故起業したのか?今後その会社をどう大きくしていきたいのか?などを聞いていく。しかし、今回、ボクが聞いてみたかったのは、宮口さんが新たに手掛けた商品について。それはズバリ「吸水ショーツ」だ。

(収録後の様子 吸水ショーツを手に持つ宮口さん/写真真ん中)

さて、男性の皆さん!この「吸水ショーツ」のことをご存知か?
「吸水ショーツ」とは、ショーツの股の部分に吸水布が施されていて、ナプキンなどの生理用品のように経血を吸収してくれる下着のこと。宮口さんが開発し販売している「吸水ショーツ・ガールズリープ」の股の部分は、外側から「ナイロン・ポリウレタン」「抗菌加工された防水布」「コットン100%の吸水布」そして、一番内側が「吸水速乾布」と四重構造となっていて、給水量は、およそ20CC。“少ない日”であれば、ナプキンなどは不要で、これ一枚を穿くだけでよいらしい。ボクもスタジオで、宮口さんが持参された「吸水ショーツ」のその股の部分を何食わぬ顔で触ってみたが、(内心は、ちょっとドキドキしたけれど)ゴワゴワした感もなく、さほど分厚いとも思わなかった。
なるほど。これならば違和感なく穿ける。ナプキンを装着する面倒臭さから解放されるに違いない。そこが、この商品開発のキッカケかと思いきや、宮口さんは、このガールズリープの誕生までの経緯をこう語った。

「この商品の開発を思いついたのは2018年のこと。当時、ウチの娘は10歳。そろそろ初潮を迎える時期。そんな娘にコソコソ・ドキドキさせるのは可愛そうだと思ったからです」

“コソコソ・ドキドキ”。うん?男の子のボクには(って、この歳になってまでも『男の子』と言うな!と言われそうだが)、なかなか想像しづらい話になってきたぞ。

「学校で、休み時間になって、それまでは『トイレに行く!』と教室を飛び出すように、それも手ぶらで行っていた女の子たちが、初潮を迎えると、急にポーチを持っていかねばならないんです。大人の女性であれば、全員その意味は理解出来ますが、“まだ”の子にすれば、何故ポーチを持って行く必要があるのか不思議ですよね。男の子であればなおさらです。そこで、母親たちは『まわりのお友達に気付かれないように、質問を受けないようにコソッと持って行きなさい』と教えるんですが、これおかしくないですか?何も悪いことをしているわけでもないのに、なんでコソコソしなければならないんだろうって。それって、可哀想だなと。また、親としても『コソッと持って行け』とアドバイスするのも、おかしいんじゃないかと思ったからです」

なるほど、確かに。
であれば、穿くだけでよい吸水ショーツは、そうした「コソコソ・ドキドキ感」を娘に味わわせる必要がない。そこで、宮口さんは当時既に吸水ショーツが普及していたアメリカからサンプルをいち早く取り寄せ、その構造等を分析・解析して日本人の体形に合う商品を開発したと言うわけだ。女性たちは、大人の階段に足を踏み入れたその瞬間から、様々なプレッシャーに苛まれているのだ。タイムマシンに乗り込んで、小学校の高学年になった頃の自分に言ってやりたい。
「もっと女の子を大事にしろ!大切にしろ!!」と。
しかし、宮口さんがこの「吸水ショーツ・ガールズリープ」を開発した動機はこれだけではなかった。こんな問題を指摘したのだ。

(吸水ショーツ「ガールズリープ)

「使い捨てのナプキンの材料って、石油製品・プラスチックなんです。このプラスチックが今、海を汚染していることが問題になっていますよね。しかし、イギリスのある調査によると、海に捨てられるプラスチックゴミの第5位は、なんとこのナプキンなどの生理用品だと言うんです。そのナプキン一つに使われているプラスチックの量は、スーパーやコンビニで使われるレジ袋・4枚分と言われています。一方、女性は平均で40年間生理を経験し、月に一度その期間中に20枚のナプキンを消費すると仮定すると、一人の女性は9,600枚のナプキンを人生で使う試算になります。と言うことは、女性は生涯で、3万8,400枚ものレジ袋に値する量を消費している計算になるんです」

ム・ム・ム・ム・ム・・・
思わず言葉を失った。宮口さんはさらに続ける。

「そうした生理用品が、巨大な人口を抱える中国やインドなどで全国的に広がったら、怖いと思いませんか?」

怖い!確かに怖い!!そこまで理詰めで説明されると首肯せずにいられない。中国では、都市部の住民は既にナプキンを使用しているようだが、地方ではまだまだ普及していないらしい。それが、一挙に普及したら・・・。
わぁお!地球環境保護の観点から言うと、確かに大きな問題である。
さて、現時点での中国での反応はいかに?

「以前の日本同様『これ、何するものですか?』と言う感じですね、まだ」

しかし、宮口さんはさらに続けた。

「日本でも、吸水ショーツの認知度は随分広まったけれど、まだ抵抗感を持つ人がいる。しかしウチの娘は、ナプキンを経ずして“最初”から、この吸水ショーツ。当然、何の抵抗感や違和感を持つことなく穿いている。と言うことは、まだナプキンが普及していない地域では、一足飛びにこの吸水ショーツが受け入れられる可能性が高い。特に中国では一度火がつくと一挙に広がる。そう言う意味から言うと、今がチャンスなんです」

ナプキンの誕生は、多くの女性を助けた、そして今も多くの女性を助けているに違いない。しかし、それが、今度は環境問題になろうとは。いやはや、どうしたものか。けれど、その現実を真摯に見つめる女性がいる。そして、それを解決しようと努力をしている。さて、我々男性は、ただ手をこまねいて見ているだけでいいのか?“生理=タブー”の呪縛からそろそろ自らを解き放たないことには、イノベーションは生まれない!

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