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てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショートnote】

「またですかぁ」
「まあそう言うな。なっアレックス頼む!」

てるてる坊主はアレックスに文字起こしを頼むしかなかった。アレックスというのは対話型人工知能だ。

「それにしても惚れやすいんですね…」

アレックスはてるてる坊主の依頼でついさっき恋文を起こして届けたばかりだった。月見団子48のセンター宛だった。

〝吸い付くようなもちもちの白い肌、ほのかな甘い香り、真球と見まごうかのような完璧な容姿〟…どうでもいい表現にアレックスは内心閉口していた。もちろん赤面することもない。

そして新たな送り先の登場である。

なんでもついさっき向かいの神社で見かけたドール宛だという。

アレックスは文字起こしを始めた。

〝あなたをひとめ見ただけで恋に落ちました.。赤いヘッドバンドとおそろのミサンガとアンクレットがとてもキュートですね。それと日頃厳しい制限を課しているのでしょうか、ふわっと浮きそうなエアリーなボディ。それでいて限りなく飾り気がないところが好感度MAXです〟

てるてる坊主はよどみなく続けた。アレックスも続ける。

〝それなのにあなたのハートにはすでにキューピッドの矢のようなものが刺さっているではありませんか。ああ!強い風だとそれを中心にあなたがくるくると回ってしまう。誰に射貫かれたのですか?〟

「そうだアレックス。あの矢みたいなものは何だろう?わかるか?」

画像検索の得意なアレックスはすぐさま回答した。

「あれは五寸釘というものです!」

(605文字)


たらはかに様の毎週ショートショートnoteに参加しました。

一度封印したはずなんですが、また藁人形さまにお世話になりました。いつも感謝しております。

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