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名探偵ボディビルディング【毎週ショートショートnote】

一回も事件を解決したことのない名探偵の小籠包蒸(ショーロン・ポームス)探偵の事務所をふらっと訪れた。久しぶりだった。

チャイムを押しても反応がない。ドアには鍵も掛かっていない。開けてみるとポームスがバーベルを胸のところでキープしたまま動けないでいた。よくあるベンチプレスの失敗だ。

僕は慌てて駆け寄って手助けをした。

「遅いじゃないか!小林君」

「いや思い立って寄っただけだし。それにしてもこの機材、ジムさながらだな」

「ああ、実はあるイベントに備えてだ。『名探偵登場』という映画を知っているか?」

「だいぶ前に見た。富豪が世界中の著名な名探偵を集めて知恵比べをさせるあれだな」

「そう、あの映画にオマージュを捧げるイベントがここ日本でも開催されていて、今回の舞台は主催者の趣味にちなんであるボディビルディングの大会なんだ。そこに日本中の名探偵が集められ必ず事件が起こる。その謎解きを競うというわけさ」

「お前も招待されたのか!いよいよ名実ともに名探偵か」

「いやそうではない。出場者側だ。選手枠で参加だ!」

「だからか。ドウェイン・ジョンソンかと思った」

「ああ!これはステロ・・いや何でもない。ここ最近の追い込みの成果さ」

そう言いながらポームスは、事務所の空きスペースで壁を背にして中腰姿勢を取った。

「これを機に、安楽椅子探偵から空気イス探偵に転身だな!はっはっは」

2月とはいえ、外も事務所も凍てつくような寒さだった。

(600字)


いつも字数オーバーで、たらはかに様の毎週ショートショートnoteに色モノ枠で参加しております!いやそんな枠あったっけ?いずれにせよ恐縮です。










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