オバケレインコート【毎週ショートショートnote】
「よ、よ、いの、よい!」
「あいこだ~!」
誰もが好きな野球拳ではあいこでも場がどっと沸く。
「あ、それっ、よ、よ、いの、よい!」
「負けた~!」
出っ歯の亀太郎は負けたほうがうれしそうだ。
「やだなあ~、これ一枚だもんな~…………ほれほれ」
「きゃー!やめてー!」
出っ歯の亀太郎が高級そうなレインコートを一枚脱ぐと全裸だった。芸者衆も慣れたもので亀さんに付き合って嫌そうな振りをしている。お座敷代を奮発してくれる亀さんとのお約束だ。
のぞきが趣味の亀さんだったが最近は趣向が変わって露出がお気に入りだ。
そう、そしてお座敷で遊んでいるうちは良かったがとうとうストリートに出て、道行く人にレインコートの中を見せるようになった。
こうなるともう犯罪だ。被害者が続出し捕まるのも時間の問題と思われた頃のこと。
露出中に後ろから来た自動車にひかれて命を落としてしまった。ある意味幸せな最期だったかもしれないが亀さんの想いは残った。
おなごの嫌がるところを見ずに死ぬなんて。死んでも死にきれない!
それからその通りでは夜な夜なレインコートを着た出っ歯の幽霊が現われるようになった。
「お嬢さん!ほれほれ」
「ぎゃー!」
亀さんは想いを遂げた。だが成仏をこばんだ。面白くて仕方が無かったからである。
そして亀さんは知らなかった。お嬢さんが本気で怖がっていたわけを……
レインコートの中は、脚がなかったのだ。
そして無いのは脚だけではなかった……
(598文字)
なんだこのお話は!😭
そして例によって皆様の作品を確認してませんのでネタかぶり等……あったら怖い😅
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