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ウィーラーが巨人軍にもたらすもの


 プロ野球開幕から早くも1週間が経った。

 いや、まだ1週間なのだ。

 いきなり開幕カード阪神戦を3タテし、2カード目の初戦も取り開幕4連勝とロケットスタートを切った巨人軍は、東北楽天との間に衝撃的なトレードを成立させてみせた。

池田駿 ↔ Z.ウィーラー

 夜勤明けで寝ぼけてた頭にはこの情報を理解するには時間がかかった。

「池田駿+1億 くらい積んでるんじゃないか?」
「ウィーラーどこか痛めてるんじゃないか?」

 これはようやく頭が目覚めた上で私が考えていた事だ...

 まぁとにかく、それだけ衝撃的なトレードだった。

 そこで、私なりにこのウィーラーが巨人軍にもたらしてくれる効果を何点か考えてみた。


1.ウィーラーという人物

 まずセントラル派閥にはそこまでお目にかかる機会の少ない、ウィーラーという人物を簡単におさらいしよう。

ゼラス・ウィーラー
右投右打 / 33歳 / 三塁.左翼.一塁

NYY(2014年) - 東北楽天ゴールデンイーグルス(2015年〜)
(NPB通算成績)
5年 596試合(2112-553).262 106本 345打点
出塁率.339 長打率.459 OPS.797


・2017年 パ・リーグベストナイン(三塁手)

 日本での実績は十分と言えるだろう。
 打率はそこまで高くはないが、来日5年連続で2桁本塁打、特に2017年は来日最高の31本塁打82打点OPS.835を記録 と、長打力は確かなものがある。

 一方、守備は大胆が故に失策は多い。2017年、2018年は2年連続でリーグ最多失策をマークしている。三塁というポジションで守備機会が多いため若干仕方ない部分はあるが、堅実さというよりは、ダイビングキャッチ等魅せるプレーが多い印象だ。

 人柄的にはパ・リーグの野球をあまり見ない私からしても良い人だと認識している。
 印象的な場面として2017年9月1日の楽天対ソフトバンクの試合でソフトバンクの東浜巨がアマダーへの危険球でアマダーが激怒。その際NPB史上最重量135kgの巨漢へ飛びつき、鬼の形相で説得していたのがウィーラーだった。
 普段は陽気だが、仲間思いで情熱家 助っ人外国人のみならず、チーム全体のことを考えられるリーダー資質を持った選手だと思う。


2.ウィーラー獲得の背景

 ではなぜ、このウィーラーを獲得することになったのか、紙面報道では、「左腕投手が欲しかった楽天と右の長距離砲が欲しかった巨人の思惑が一致」とテンプレの文が並ぶが、いちばん知りたいのは、なぜ池田なのか。なぜウィーラーなのか。という点だ。
 池田は1年目33登板、2年目27登板と早くから一軍で経験を積んでいたが、チーム内の競争に埋もれ、その後はファーム暮らしが続いていた。
 正直、このまま巨人にいても出場機会はなかったように思うし、このままだと今季オフ戦力外は避けれないさえと思っていたので、本人にとっては大きな転機になる事は間違いない。
 楽天の石井一久GMは「彼の長所としては140キロを超える真っすぐを投げられるし、右打者に対してのチェンジアップや、左打者から逃げるスライダーもある。まだ映像で確認しただけなので、自分の目で見て、彼の適材適所を決めたい。」(スポーツ報知)と、映像でしか見ていないわりには高評価。プロとして、評価してくれるチームがあることは嬉しいことだと思うし、心から新天地での活躍を願っている。

 さて、ウィーラーはというと、同じく石井一久GMによると、「ウィーラー選手と話をしたら、出場機会を求めていた。僕自身も米国に行っている時に、違う国でやる苦労は感じていた。野球だけをしに来てる選手に出場機会がないのは、僕としては違うと思った。またウィーラー選手からも『プレーする環境が欲しい』という話もあったので、こちらが(新たな)環境を探していたというのが、今回のトレードのいきさつです。」(スポーツ報知)と語っており、こちらも楽天のチーム内の外国人枠争いから外れてしまった事により、出場機会を求めてのトレードだった。

 今回のトレードでは、「格差」がよく取り上げられる。
 確かに、年俸的にも実績的にも決して釣り合っているようには見えないが、トレードとは前述のように、出場機会を求めている選手がチャンスを掴めるとても有意義なものだ。
 環境を変えて、自分を必要としてくれ、求めているチームに移籍する事はとても大きな転機になる。トレード前は芽が出なかった選手も移籍後に花開いた例は過去に沢山あるし巨人ファンも1番分かっているだろう。そういった選手の野球人生を見守るのもプロ野球のひとつの醍醐味ではないだろうか。


3.ウィーラーに求める役割

 巨人軍は開幕前から、退団したゲレーロ、阿部慎之助らに代わる長距離砲を探していた。
 リストアップしていた選手も何名かいたようだが、なかなか交渉は進まず。そうこうしてるうちに世界的なコロナウイルス感染拡大により、国外の選手の獲得は断念せざるを得なくなった。
 一軍レベルの外国人野手もコロナ拡大前に獲得したパーラのみというのが不安要素のひとつだったため、開幕後も国内に絞って大砲候補は継続して模索していたのだろう。
 そこで目をつけたのが楽天のファームで出場機会を求めていたウィーラーだったという訳だ。

 そのウィーラーに求める役割として、まずは長打力だろう。現在チームは坂本が.364 1本4打点、岡本が.409 2本7打点、陽岱鋼も.364と、右打者が好調だ。またパーラも一時リーグ三冠の活躍をしており、チーム得点はリーグトップだ。(いずれも6月26日試合前時点)
 そこに実勢のあるウィーラーが加入することで打線の厚みは増すし、代打としても心強い。

 また、その守備力は置いておいて、複数ポジション守れることも強みではある。原監督曰く、「左翼か一塁での起用」となっているが、チーム状況次第で前言撤回する事は十分考えられる。三塁は基本岡本で固定するものと思われるが、岡本もウィーラーと同じく三塁、一塁、左翼を守れるので、同じく右の中島らとの兼ね合いで色んなポジションで出てもらうことになりそうだ。

 代打の面でも、右の代打は現在石川が筆頭となっている。彼は左腕には強さを発揮するが右腕相手には不安が多い。また、守備にも難がある為、スタメンで使うには左右ムラを無くしてもらわなければならないが、そう簡単にはいかないだろう。亀井がスタメン起用の際は代打成績の良い陽岱鋼が待機しているが、そこにウィーラーも加わると層は一気に厚くなる。
 また、ウィーラーと陽のどちらかを左翼で起用することでもう片方を代打待機させ、左の亀井と共に左右で代打を用意できるのも大きい。

 このようにウィーラー加入によって選択肢が増え、采配に幅が生まれるのは良い事だと思う。

 他にも、陽、ナカジの乱闘ストッパー兼慰め役、ベンチ前でのランコー役、元木ヘッドとの掛け合いを公式YouTubeチャンネルで放映、パーラとのサメダンスコラボや、パーラにフラストレーションが溜まった時の精神安定剤...など、期待したい役割は非常に多い。


4.ウィーラーのポジティブ情報

 最後に、ウィーラーと巨人軍という組み合わせから生まれるポジティブ要素をご紹介して気持ちよく終わろうと思う。

①東京Dとの相性が良い
https://twitter.com/kunireni630/status/1276337784911851521?s=19

 ウィーラーは来日1年目の2015年から昨年までの5年間で東京Dで通算14試合プレーしているが、その成績は素晴らしい。2018年の交流戦で鍬原から放った満塁弾はよく覚えている。

②横浜DeNAとの相性が良い https://twitter.com/kunireni630/status/1276316709176045572?s=19

 同じく過去5年間で、巨人以外の5球団との対戦成績を見てみると、DeNAとの対戦成績がいちばん良い。

 個人的に今年、巨人の対抗馬として2位に予想したDeNAは先発の枚数も揃っており、打線も破壊力がある。そこに打ち負けないようにするためにもこのデータは気休め程度ではあるが追い風だろう。


5.最後に

 今回は取り急ぎ、ウィーラーが巨人軍にもたらすものというテーマでnoteを書かせて頂いた。
ムードメーカーとして無観客の寂しい球場を盛り上げて欲しいし、そのバットでも大いに活躍を期待したいところだ。

 また、今季は試合数が減り、CSが無くなったこと影響があるのか、原辰徳全権監督の先手先手の采配、起用が目立つ。ビエイラのデビュー登板で内容が思わしくないと即降格させ再調整を命じ、開幕前の練習試合で大活躍だった湯浅も開幕後、代走、代打、守備要因と一通り起用すると、ファームで結果を残していた若林と入れ替えを実施。そしてその中水面下でこのトレードだ。原辰徳。改めて恐ろしい男だ。

 ウィーラーの入団会見は6月30日となっている。※個人的な事だがその日は私の誕生日なので、良い誕プレとなって欲しい

 最後の最後に、トレードの駒にすらなってくれるか心配な立岡宗一郎の奮起と意地を期待して締めとします。

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